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経営者×ベンチャーキャピタリスト=無限の可能性

 株式市場の低迷などを背景にアーリーステージのITベンチャーへの投資が控えられている中、積極的な投資活動を続けているグローバル・ブレイン。

 同社の投資方針や戦略について、代表取締役社長の百合本安彦氏とアライアンス担当の熊倉次郎氏に聞いた。後編となる今回は具体的な投資のスキームや、大企業とベンチャーとのマッチング施策、社会起業家の育成支援など幅広い活動について聞いた。前編はこちら

--どうやって500社を超える投資先候補を集めているのですか。

百合本:年間の投資分野を決めています。年末から年始にかけて、新年度にはどんな市場が有望なのか、というところをリサーチしています。それぞれのコンサルタントが来年フォーカスしようと考える分野からじゅうてんを決めて、その分野で活躍する会社を探す。そういう手順を踏んでいます。

 最近はウェブサイトに直接入ってくる案件も増えていますし、事業計画書を直接送付される方もます。こういう積極的なアプローチの中にも良い案件があります。また後で述べますが、アライアンスフォーラムメンバーなどの大企業からの紹介も多い。それで、年間600件にも達するわけです。

--2009年はどういったテーマで投資をしていますか?

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 株式市場の低迷や実体経済の落ち込みを受けて、大手証券系などのベンチャーキャピタルの多くがアーリーステージのITベンチャーへの投資を手控えている。そうした中、独立系のグローバル・ブレインは積極的な投資活動を続けている。

 現状を「100年に1度の投資の好機」ととらえ、有望なベンチャーを選別、徹底して経営に関与して高い投資リターンを狙っている。一方で、社会起業家の育成支援など活動の幅も広げている。同社の投資方針や戦略について、代表取締役社長の百合本安彦氏とアライアンス担当の熊倉次郎氏に聞いた。

--御社はどういったスタンスで投資を行っているのでしょうか。

百合本:大手ベンチャーキャピタルと違う大きな特徴がありまして、スタートアップやアーリーステージにフォーカスしています。

 ここは非常にリスクの高い分野だと思われがちなのですが、基本的には、厳選投資でリスクヘッジをしています。広く浅く投資するのではなくて、事業分野であるとか、市場の成長性とか、その会社の強みであるとか、経営者の資質とか、起業家精神があるとかないとか、道徳性はあるのかとか。1カ月半くらいかけて徹底的に検討します。大体100社検討して1社投資する感覚です。年間に500から600社検討して投資件数は1カ月もしくは1カ月半に1社くらいですね。

代表取締役社長の百合本安彦氏 代表取締役社長の百合本安彦氏

 投資をした瞬間から徹底的に支援します。主担当と副担当を決め、成長ステージに合わせて支援内容を検討します。初期の段階ですと、まずビジネスモデル自体の構築をご支援します。そのあと、投資をしっぱなしにするのではなく、ある程度立ち上がってくると営業戦略の立案であるとか、アライアンス先の探索、人材の採用支援なども行います。公開時期が近づいてくると、株式新規公開(IPO)のプロセスも支援します。監査役や最高財務責任者(CFO)はわれわれが紹介して採用していただいています。

 スタートアップ直後の会社などでは経理や総務部門が整っていないので、アウトソーシングを受けることもあります。グローバル・ブレイン・ヒューマン・キャピタルという子会社では人材紹介もやっています。こういったことをとにかくデイリーで続け、徹底的に経営に関与するやり方をしています。

--投資の体制はどうなっていますか。

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 金融危機に端を発した世界的な不況は、国内のITベンチャーにも影響を与えている。このような状況を、ベンチャーキャピタルはどのように見ているのだろうか。2009年1月に日本オフィスを構えたDCM(旧:Doll Capital Management)パートナーの伊佐山元氏に話を聞いた。(前編はこちら

--前回、投資手法の特徴について伺いました。具体的には、どのようにベンチャーを育成・支援するのですか。

 実際にうまくいった投資事例をご紹介しましょう。51job.comという会社があります。中国の人材関連の会社です。オンラインの人材派遣では断トツでナンバーワン。実際は紙媒体による求人広告もやっています。

DCMパートナーの伊佐山元氏DCMパートナーの伊佐山元氏

 どうやって投資したかというと、日本のリクルートを参考にして、このビジネスはまだ中国にはないねと決めました。投資したのは1999年なんですが、民主的な市場経済ができると必ず人材の移動が起きる。そうするとリクルートみたいな存在が必要になると仮説を立てました。順調に業界ナンバーワンになって2004年にはナスダックに上場しました。

 DCMの持ち株比率は30パーセント近くあって、上場後、どう売るのかと考えたとき、日本のリクルートに行ったわけです。「御社も国内マーケットではナンバーワン。これからの成長は海外ですよね。われわれの持ち分を買いませんか」と提案しました。

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 金融危機に端を発した世界的な不況は、国内のITベンチャーにも影響を与えている。このような状況を、ベンチャーキャピタルはどのように見ているのだろうか。連載第1回目となる今回は、2009年1月に日本オフィスを構えたDCM(旧:Doll Capital Management)パートナーの伊佐山元氏に話を聞いた。

--ベンチャーキャピタルとして、現在の経済情勢をどうとらえていますか。

 マクロ的なことで話すと、1990年代のバブルがはじけたころというのはIT業界が否定されたような崩壊の仕方で、われわれベンチャーキャピタリストにとっての心理的ダメージは、今回の金融危機よりはるかに大きかった。通信もダメ。半導体もダメ。インターネットもダメ。IT業界には次に何があるのか見えなかった時代でした。

DCMパートナーの伊佐山元氏 DCMパートナーの伊佐山元氏

 当時は、ベンチャーキャピタル(VC)としては何も投資できなかった。何が新しいイノベーションなのか、何も見当たらないようなIT業界を直撃したバブルでした。それに比べると、今回の不況は金融、証券化市場を発端としたバブル。半導体業界が完全にダメになったとか、通信業界がダメになったというのではありません。われわれが去年の前半に考えていた投資テーマはどれも存続しています。

 VCのマインドセットとしては、前回のバブルの方がよっぽどつらかったし、光が見えなかった。今回はこの先、何が起こるかはわれわれにはクリアに見えている。だから今は絶好の投資のチャンスじゃないかというのが、社内での一致した見方ですね。

--IPOの数も減り、投資回収も難しいとみる向きが多い。今、日本に拠点を設けたのは時期が悪いとの見方もあります。

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 国内のベンチャーキャピタル(VC)に危機感を抱く、国内では異質な存在のベンチャーキャピタリスト。同じく国内VCに疑問を持つ、米国帰りで熟練のITベンチャー企業経営者──。

 2人は出会い、本音でぶつかり合い、結果、大規模投資をして世界規模の成功を目指す「穴を掘る(創業段階、技術開発段階もしくは商品及びサービス開発段階に必要な資本で深く踏み込み、越えていき、成長する事業化につなげていくこと。デスバレーとも呼ばれる)」ベンチャー企業を創造する決意を交わし合った。リード・キャピタル・マネジメント マネージングパートナーの谷本徹氏、リプレックス最高経営責任者(CEO)の直野典彦氏の2人だ。

 「日本のITはなぜ駄目なのか」「日本のVCはなぜサラリーマン的なのか」などの国内IT業界の大きな悩みに対し、正面から“日本流”を否定して突き進んでいく両者。2人の出会いと関係性の構築、そしてITおよびVCに対する深い洞察と哲学は、どのような背景で育まれていったのか──。IBM Venture Capital Groupの勝屋久が迫る。

勝屋氏:まずは谷本さんが所属する日興アントファクトリーとリード・キャピタル・マネジメントについて、その概要と関係性を教えて下さい。

画像の説明 リード・キャピタル・マネジメント マネージングパートナーの谷本徹氏

谷本氏:リード・キャピタル・マネジメントという名前は、業界をリードして新しい産業を創出している会社に投資していくという意味でリードという名前をつけました。

 日興アントファクトリーとの関係についてですが、日興アントファクトリーの投資は、映画館や中古車オークションなど、キャッシュフローを生んでいる中堅企業へのPE投資が中心、ベンチャーキャピタルの本来の投資先としては少しイメージが違っています。そのため、別ブランドとしてリード・キャピタル・マネジメントを設立した次第です。

勝屋氏:谷本さんの部署の人員数と運用ファンド規模、また重点投資分野について教えて下さい。

谷本氏:投資担当者は現在12人です。フラッグシップファンドはリードシリーズで1号が153億円です。リード2号プラスアルファが数十億から100億円規模のファンドを組成しようとしております。他にも過去のファンドがあるので、それらを合算すると400億円を超えるファンドをマネジメントしております。

 エレクトロニクス、ネット系にモバイルコンテンツを加えたもの、バイオヘルスケア、金融系や人材派遣といったその他サービスでそれぞれ4分の1ずつです。

 ただ、エレクトロニクス・バイオヘルスケアの比率が高いので、今後は減っていくと思います。その分、産業にかかわらずバイアウト的なものが増えると思っております。

勝屋氏:リプレックスとはどのような会社なのですか。

画像の説明 リプレックスCEOの直野典彦氏

直野氏:リプレックスは一言で言うとソフトウェア会社で、クライアント・アプリケーションの開発を主に行って、世界中に提供しているベンチャー企業です。これだけウェブサービス系の企業が多い中、時勢に逆らっているとよく言われております(笑)。

 我々の持つ他社が真似できないユニークな技術の核は検索技術です。

 今の主力サービスとなるアドレス帳「Ripplex」をクラアントアプリケーションの形で提供しており、一番の特長としてはネットワーク上の人の探し方にあります。特に、mixiやSkypeなどで友人を探す時に効力を発揮するわけです。

 一般的な探し方ですと、自分が探せるということは、他のユーザーからも探せてしまうということがあります。しかし、我々のアプリケーションは人同士のみの繋がり、すなわち自分がリアルで知っている人たちであり、アドレス帳に入っている人だけを探しに行くんです。

 ただ、それだけでは公開したくないがコミュニケーションを持ちたい人には不満です。そこでRipplexのネットワーク上では知っている人同士でのみ探せる、つまり自分の情報を公開せずに、すでに知っている人同士の間だけで検索ができるという強みがあります。

 もう少し具体的にお話します。勝屋さんが友人の情報をRipplexに登録するとします。その友人がRipplexを利用している場合には、情報がリンクされ、勝屋さんのアドレス帳に不足している情報が自動的に補完されるんです。ですから、勝屋さんが友人のメールアドレスだけを入力すると、mixi IDや電話番号とかさまざまな情報がどんどん補完されていくんです。

 今申し上げたことを我々がユーザー情報に全く触れずにネットワークを構築できるという仕組みがユニークなテクノロジーなのです。

 また、今はアドレス帳の形をとっていますが、今後リリースする新バージョンでは世界中の方々を驚かせる仕組みをご用意しておりますし、ネット上で話題に上がると思いますので楽しみにしていて下さい。

勝屋氏:なるほど。日本だけでなく世界を相手にしているサービスなわけですね。

直野氏: Windows版・Mac版、日本語版・英語版は必ず同時にリリースしております。当然、ホームぺージも日本語版・英語版は同時に更新しております。

 今後、比較的大きな騒ぎになると申し上げたのは、誰でも知っている大手のサービス事業者2社と我々のジョイントプロモーションが始まるからです。2社とも国内の事業者ではなく、グローバルな事業者です。

リード・キャピタル・マネジメント マネージングパートナー(兼日興アントファクトリー 常務執行役員)
谷本 徹(たにもと・とおる)

 大卒後、1986年にJAFCOに入社。1996年に海外投資課長として、US投資先の支援およびファンド組成を実行。1998年より、投資チームのヘッドとして国内投資に復帰し、USテイストの投資スタイルを持込み、2000年の新興市場の活況と相俟って、数社がIPOを果たし成功した。

 2003年4月より、日興アントファクトリーの投資チームに参画。2006年10月に、VC投資グループを分離し、100%子会社のリード・キャピタル・マネージメントを設立し、代表取締役社長に就任した。

 半導体・光通信部品といったエレクトロニクス分野からモバイルコンテンツプロバイダーまで、広義のIT分野を担当している。平均投資金額は、3〜5億円と投資先の集中と大型化を進め、リードキャピタル型投資を実践している。

投資先:上場したのはマネックス証券、バリューコマース、アジアメディアほか。現在はファイベスト、アイディ、DMP、ネットクリアスシステムズ、アプローズテクノロジーズ、リプレックス、BBMF、イーブックイニシアティブジャパン、サクセスネットワークスほか。

趣味:サッカー観戦(横浜Fマリノスのサポーター、ホームゲームは年間チケットでほぼ全試合観戦。ほかトヨタカップなど、日産スタジアムでの開催試合多数観戦)

 佐島マリーナでヨット(不定期、年数回。2級小型船舶の免許保有。昨夏は安良里に行きました)

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