A CNET SITE CNET Japan

 2006年7月にベータ版が公開された「Goody★Goody」は、エンタテインメント関連の連載やインタビューといったコンテンツに加え、ユーザーによる作品レビューなど、CGMの要素も兼ね備えたソーシャル・エンタテインメント・メディアだ。2007年に入り、誰でも簡単にホームページ制作ができるオンラインツール、「hotweb」を導入したことで、ユーザーインターフェースもさらに向上している。

 同サイトを運営するワンダービジョンは、2006年8月に設立されたばかりの、社員数3名の小さな会社。しかし、その代表者たる関塚滋人氏は、17年前に起業した別会社を、映画関連業務を一手に引き受ける企業へと成長させた実力の持ち主だ。

site ソーシャル・エンタテインメント・メディアとして提案する「Goody★Goody」

 関塚氏は大学を卒業後、広告代理店に入社。大手化粧品会社のマーケティングを担当し、チェーンストアの店舗開発に携わるが、在社1年半で独立を決意。1990年にコミュニケーションプラスを設立する。1年半という決して長くない広告代理店在職中に、関塚氏は、その後の活動の礎となる貴重な“資産”を手にしていた。それは、エンタテインメント業界とのつながり、人脈である。

映画宣伝分野の主流はインターネット

 「私の入社した広告代理店は離職率が高く、同僚もみな2、3年で退社し、新たな道へと進んでいきました。それで、偶然にも私の友人の多くは、エンタテインメント業界のあちこちへ散らばっていったんです。そうした友人たちの伝手で、ビデオのノベルティグッズや店頭用ポップの製作など、販促関連の様々な仕事を回してもらえました。本当に恵まれていましたね」

 友人の中には、今やアニメ会社や映画配給会社の社長を務める人物もいる。関塚氏は自らの運のよさを強調するが、それが単なるラッキーでないことは、同社のその後の発展を見ても明らかだ。参入障壁の高い映画業界において、人的なつながりの重要性を再確認した関塚氏は、人脈のさらなる強化を図る。

 「映画業界は、人脈がなければ仕事を取るのが難しい、閉鎖的な世界です。だから私は、とにかく人的なパイプを太くしようと決め、映画宣伝以外にも、イベントやエリアマーケティングなど、いろいろな仕事をこなしました」

 映画、音楽といったエンタテインメントを、「あくまでビジネスの対象」と冷静に割り切る関塚氏は、まずは販促物デザインの請負、続いて映画の宣伝と、徐々に業務の幅を広げていく。そして、宣伝・デザイン・予告編と、各々別の会社に発注されることの多かった映画関連業務を一括して請け負う、発注のワンストップ化に成功する。

 インディペンデント系の映画配給会社の仕事に携わっていたとき、関塚氏に転機が訪れる。UIPやワーナーなどのメジャーと比べ、インディペンデント系配給会社は、劇場側から公演許可の出るのが遅いため、宣伝に割ける時間が少ない。わずか1カ月、下手をすれば2週間で、雑誌やテレビに宣伝を仕込まなければならないのだ。そこで着目したのが、まだ普及して間もないインターネットを、映画の宣伝媒体として利用する方法だ。

 「当時は、ようやくADSL回線が出始めたころ。私は、写真やテキストといった、公式サイトを作るための素材の受け渡しを効率化するため、映画のウェブセンターを設立し、素材をすべてデジタル化してやりとりする仕組みを作ったんです。現在そのシステムは、権利の売却先であるNTTデータによって提供されていますが、そのシステム制作を通して、今後、映画宣伝分野の主流はインターネットに移行していく、と確信しました」

 インターネットによって、新たなパブリシティと公式サイト制作が可能となったが、他社の媒体を使う以上、使用料も発生し、すべてを自由に作る、というわけにはいかない。自社でハンドリングできる媒体を持ちたい、との気持ちが、日増しに強くなっていったという。そうして誕生したのが、Yahoo!やMSNなどの既存サイトとは一線を画す、WEB2.0型メディアのGoody★Goodyと、同サイト運営を主業務とする新会社、ワンダービジョンである。

 ワンダービジョンの提供するGoody★Goodyのコンセプトついて、関塚氏はこう解説する。

 「これまでのCGMのように、単に文章を書く、写真を掲載する、というだけではなく、ユーザー各人がエンタテインメント系の“プチ編集長”となり、本物の雑誌の記事作りをしているような感覚でコンテンツを創出していく、そんな媒体にしたかったんです。それを実現するには、ユーザーがより簡単に、より自由に表現できるようになるためのツールが必要でした。そこで開発したのが、hotwebなんです」

本物の雑誌を作る感覚の媒体でありツール

 hotwebは、ドラッグ・アンド・ドロップで簡単にホームページ制作のできる、日本初のオンラインツールで、今年1月にベータ版がリリースされた。ブログなど、既存のCGMは、個人の情報発信ツールとして世界的に定着したものの、時系列的な制約がある上、表現方法にも限界がある。逆に、htmlによるホームページ制作は、一般のユーザーには技術的障壁が高い。hotwebは、そうしたユーザーの悩みを解決するツールとして、Goody★Goodyの中核を担う存在となった。

 Goody★Goodyそのものにも、新たな媒体への発展を期待させる工夫や機能がふんだんに盛り込まれている。その一つが、タレントやミュージシャンなどの著名人、プロの編集者といった業界人と、一般ユーザーとのコラボレーションだ。関塚氏は、これまで培ってきた人脈を駆使し、芸能事務所のタレントや、映画宣伝マンにプロモーションを行い、マイページを持ってもらうことに成功。彼らが定期的に掲載するエンタテインメント情報に、一般のユーザーが絡んでいくことで、両者が共同してコンテンツを作り上げることが可能となった。

 「例えば、著名人の写真に、みんなで文章を書き込んで、ひとつの写真集を作る、というようなコラボレートも、hotwebを使えば簡単にできます。あるいは、せっかくタレントやミュージシャンにマイページを持ってもらえるのだから、それを現実世界と絡め、Goody★Goody主催の小規模な音楽イベントを開催する、といったアイディアもあります。全国にチェーン展開しているファッション関連企業とコラボレートし、原宿を歩いている人たちのファッションを撮影して、アルバム風に仕上げる、などという企画も進行中です。いずれにせよ、Goody★Goodyとhotwebがうまく連動すれば、新しいコミュニケーション手段を創出することも、まんざら不可能ではないのです」

 次々と目新しい企画を生み出す関塚氏。社名の通り、まさに“ワンダービジョン”を持ち、その実現を目指し続けている。では、Goody★Goodyは最終的にどんなメディアを目指すのか?

 「何でもありの単なるリンク集ではなく、ある種の統一感を持ったエンタテインメントの集合体にしたい、と思っています。そのためには、我々の側からユーザーに対し、編集のテーマを投げかけたり、我々の目指すところを伝えられるようなキャンペーンやコンテストを実施する必要があります」

 その一例として挙がった企画が、映画のwebチラシのデザイン募集。プロモーションの一環として映画会社から提供された素材を自由に使って、ユーザーにwebチラシを作ってもらい、それをバイラル的に各所に配布・宣伝していく、というものだ。著名人とのコラボレーション、魅力的なキャンペーンの導入など、ユーザーのモチベーションを高める手法も、実によく計算されている。

 現在リリースされているGoody★Goody およびhotwebは、「まだガンマ版に近いベータ版」ということで、登録ユーザー数も1000人程度だが、4月末から5月頭までにリニューアルを完了し、その後本格的にプロモーションを開始する予定だという。

 同社が当面の目標として掲げる1万人の登録者が、“プチ編集長”となってGoody★Goodyに集う日も、そう遠くはなさそうだ。