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 商品購入時やサービス利用の際に付与される「ポイントサービス」。航空会社のマイレージ、大手家電量販店、携帯電話キャリアなど、各社が発行するポイントの総額は年間4500億円〜1兆円にも及ぶといわれ、バーチャル通貨の様相さえ呈している。

 インターネット上でも「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」など大手ECサイトがポイントを発行したり、「ちょびリッチ」、「ECナビ」、「ネットマイル」「Gポイント」などが、アフィリエイト型ポイントサービスやポイント交換サービスを展開している。

 リアルワールドもネット上におけるポイント発行やポイント交換をビジネスの主軸に据えているベンチャー企業である。

 2005年7月に同社を設立した菊池誠晃社長は、愛媛県出身の28歳。菊池社長は大学時代からウェブ企画・制作・運用を行い、卒業と同時に同県松山市でウェブ関連のベンチャー企業を仲間とともに設立。その後、2001年に上京し、サイバーエージェントに入社して数々のポイントビジネスを立ち上げた後、2005年に独立して起業する。菊池社長はリアルワールド起業の動機を次のように語る。

 「サイバーエージェントに在籍していたとき、さまざまなポイント系ビジネスを立ち上げたんですよ。でも唯一できなかったのが、異なるサービスや企業間で流動性を持たせるポイント交換ビジネスだったんです。でもアフィリエイト市場が伸びてきたので、うまく組み合わせれば絶対あたるだろうと。それで起業して一気に攻めたわけです。

 世の中の流れをみても、組織力より個人の能力が発揮される時代になってきています。インターネットの普及で、時間や場所に縛られない状況が生まれつつある。そのなかで弊社がやっていきたいのは、ソーシャルネットワークにお金の概念を加えたSMNS(ソーシャルネットワークマネーサービス)です。アフィリエイトを軸にした個人間取引で、ユーザーが報酬を得られるサービスです」

 同社の特徴は、ポイント獲得サービスと交換ビジネスを明確に区別し、別々の会社で運営していることだ。

 リアルワールドはポイント獲得サイト「げん玉」、携帯メール作成サイト「デコメッチュ」、引っ越しや転職などの個人間仲介サービス「Real Agent」、ブログによるアフィリエイト・バズ広告サービス「AFFILIATE MASHUP」を運営し、ネット、リアル、モバイルの3方面からユーザーを取り込む仕組みをつくっている。そして、ユーザーはそこで貯めたポイントを関連会社のポイントスタイルが運営する「ポイントエクスチェンジ」を通して、商品や現金、ネット通貨に変えることができる。

 ユーザー層は、地方の主婦、学生、サラリーマンが多いそうだ。

 「地方在住のサラリーマンは、収入と情報は少ないのですが、時間のある方が多いんです。私も愛媛出身なんですけれど、機会があれば能力を発揮できる人が大勢います。しかし、これまでは、その能力を発揮する場がなかった。主婦もそうですよね。

 その点、ネットなら場所の制約も時間の制約もない。ネット上には、マーケットプレイスができていて、そこで生活する人たちが増えている。弊社はそこに入り込んで、そういうマーケットがあるということを多くの方々に知っていただく役割を果たしています。

 あとは学生のユーザーさん。貯めたポイントを、オンラインゲームで使われているようです」

 

 ポイント発行、ポイント交換ビジネスを手がけるベンチャーとしては、後発となる同社。しかし、ユーザー本位のサービスにすることで、同業他社との差別化を計り、ユーザー数を急増させているという。

 「うちの場合はポイントの利用期間を無期限にしているんです(ただし、半年アクセスしないユーザーのポイントは無効になる)。それがユーザーに評価いただいている理由かと。ポイントの還元率も、他社さんは3割程度のバックなのに対し、弊社は5割以上です。ユーザーさんに、できるだけ多くのポイントを与える薄利多売形式を取っているんです。

 それに同業他社さんは、大手とポイント交換したいとやっきになっている。しかし、モノを持っていない会社がそれをやったとしても、存在意義はない。ウチはそこで戦おうと思っていなくて、自分たちでマーケットをつくっていこうと。ポイント交換ビジネスを目的にしても中長期的なビジネスとして成り立たないんです」

 加えて、一風変わったエンタテインメント性の強いコンテンツやサービスをそろえているところも同社の特徴だ。

 たとえば、1月にはポイント付き音楽ダウンロードサービス「げん玉ミュージック」をスタート。また、「Real Agent」では、CtoCの仲介(個人間のクチコミ)サービスを提供している。不動産物件の紹介や人材紹介、更には歯のホワイトニング紹介──などポイントをフックに個人間のクチコミを活性化させ、企業にとっての契約までの効率化とユーザメリットを同時に実現するものとなっている。

 「『Real Agent』では自分で契約しなくても、友達にサービスを紹介してその友達が契約すれば、会員にポイントを差し上げています。まさに個人の仲介業です。日常的なサービスでユーザと継続的なコミュニケーションをとりながら、引っ越しや転職など非日常的なところでも、いかにリアルエージントを使ってもらえるか。そのマーケティングをチューニングしているところです。最近コツをつかみはじめています」

 一方の「ポイントエクスチェンジ」では、ポイント交換対象品として、郵便貯金や電子マネーのほかに、ポイントでミュージシャンの卵に投資をし、曲がヒットすれば印税を山分けするという「音楽ファンド」などをそろえている。

 そして、その中でももっとも興味深いのが、「カンボジアに学校を建てる資金と交換する」というものである。「お金より大事な物を手にいれましょう」という同社のモットーを実現するために創業直後に、この企画を実行に移したという。

 「カンボジアに学校を建設するのにかかる費用はおよそ400万円です。今年5月から設計がスタートし、8月頃から建設を始めます。ポイントを寄付してくれた人たちの名前を、学校の前のプレートに刻もうと。NPOと組んでこの話を進めたんですが、最初、NPO側に話を持ちかけたときは、ライブドア事件と重なっていたため、IT企業と同じ枠組みにされまったく信じてもらえませんでした。創業してまだ3カ月後で、会社もどうなるかわからないときだったからでしょうね。でもこれは、リアルワールドとして、なんとしてもやりたいこと。何度も頼み込み、最終的に進めさせていただく事にしたんです」

 とはいえ、同社のビジネスはボランティアではなく、あくまで利益最大化を目指している。最終的にはポイントを通貨として扱いたいと考えている同社。今後の中長期的な目標は何か。

 「アフィリエイト市場の拡大に乗りつつも、リアルの世界との融合を進めていきます。チャイナクイックと共同で2月にリリースしたポイントの貯まるデリバリー注文モバイルサービスや、今年よりJ1リーグの大分トリニータのスポンサーをする中での新事業など、独自のビジネスモデルを加えることで大きく飛躍していこうと。

 業績ですか? 好調です(笑)。設立当初から黒字になるビジネスモデルを考えていたので。カンボジアに学校をつくろうとした理由のひとつには『リアルの世界にお金より価値あるモノを生み出したい』という弊社の基本方針の実現にあります。

 5年後に1万人の人が月50万円の報酬を得られるようなサービスにしようと考えています。月に50億円くらいのお金がユーザーに支払われていければと。

 そして、そのうちの1割でもいいので、同じ価値観を持つ人たちが集まってリアルの世界に新しいモノを生み出していく。その手始めとしてやっているのが、学校建設です。同じ価値観を持つ人たちが集まって、別荘をハワイに建てたり、ゲレンデを買ったりして、自分たちだけのものをつくっていく。そういった未来を最終的なものとして見ています。もちろん今すぐできるわけではありませんが、ちょっとづつそこに近づいていこうかと。それを忘れないようにということで、社名を『リアルワールド』にしたんです」