2007年11月22日 01時40分
島田昇(編集部)
「無限の可能性を持つベンチャー企業を生み出す場」という意味を込めたイベント「Infinity Ventures Summit(IVS) 2007 Fall」。
初日となる11月21日、最後のセッションには宮崎県知事である東国原英夫氏が登壇。New Industry Leaders Summit(NILS)の頃から宮崎を開催地の1つに選んでいることに感謝するとともに、新しい宮崎を作るために邁進してきた自身のベンチャー精神を披露。IT関連企業の誘致策の1つとして六本木ヒルズに対抗した「宮崎ヒルズ」の建設に意欲的であることを改めて公言した。
世界と勝負できる日本に変わるためには--。約300人のIT関連ベンチャー企業経営者・経営幹部を前に、東国原知事が語り始めた。
まず、芸能界から全く別世界の行政の仕事にたずさわり、「住む世界が違う」行政特有のしきたりに戸惑い、周囲に的外れとも思われるさまざまな言動を取ってきてしまった苦労話を紹介。奇怪な失敗談を数点挙げ、会場を笑いに包んだ。
ただ一方で、行政の世界を知らない人間だからこそできることもあると指摘。官僚出身者では当然のしきたりと考えて変革の必要性すら感じずにいることでも、それをおかしいと感じ、別世界からの人間だからこそ変革に取り組めることも多数あるとした。
例えば、いくつかの県で問題になった「裏金問題」を就任当初からその可能性を指摘してあぶり出しに寄与したことや、知事の公用車などが不必要として、ネット競売で売却して県の財源に当てたことなどを挙げた。周知の通り、自身を広告塔にしてマンゴーなど農畜産物の知名度を全国的に高めたことにも触れた。
既存の常識を覆して新しい宮崎を作ろうとしている自身の姿を、同じく国内に新しい商流をもたらそうと挑戦している会場のベンチャー経営者たちに重ねつつ、続けて宮崎が企業誘致に積極的であることを訴求した。
会場の風景
「六本木ヒルズに対抗して宮崎ヒルズを作ることをマニュフェストに掲げている。周囲にはできるわけがないと笑われたが、宮崎がITの最先端になってもいいのではないか。仕事に疲れたらキレイな自然があるし、マンゴーも地鶏もある」
地域格差で雇用の創出に遅れている地方が疲弊し、格差社会を生んでいる現状にも触れ、「4年間で100社の企業誘致、1万人の雇用創出を約束している。皆さんに引っ張っていただいて宮崎が変われば、日本も変わる。これから日本は、海外とも勝負をしていかなければならない」と訴えた。
宮崎県知事である東国原英夫氏
さらに、New Industry Leaders Summit(NILS)の頃から通算4回目となる宮崎での経営者カンファレンスを振り返り、「宮崎は最近変わったと思いませんか?」と呼びかけた。「無から有を生み出す発想」で県庁を観光スポットとしてそこに訪れる観光客が22万人を突破したことなどを指摘し、重ねて今後の宮崎の発展の可能性に自信を見せた。
最後に、年間ヒット商品の格付けなどを発表する『日経トレンディ』で宮崎が5位に選ばれたことを挙げ、「ちなみに東京ミッドタウンは15位。こんな最先端の宮崎とコラボして、一緒に歴史的な転換点の目撃者にならないか」として話を締めくくった。
講演後、CNET Japanが東国原知事に企業誘致策について改めてコメントを求めたところ、「宮崎ヒルズは作ります。ほかにも具体的で細かい誘致策が多数ありますので、後ほどご紹介させていただきます」と語った。
講演後は会場のベンチャー経営者・経営幹部たちが東国原知事の周りに殺到した
コメント ( 2 )
九州に「太陽光発電」の生産拠点は集積しつつあるが、危機感を募らせていい動きもある。2006年8月、中国・太陽電池大手の「尚徳太陽能電力(SUNTECH)」が、日本の太陽電池メーカー、MSKを約345億円で買収。福岡の大牟田工場は閉鎖が決定、従業員の雇用機会が失われかけた。(後日、ファンドによるEBOで事態は収拾しつつあるが予断は許されない)攻撃が最大の防御なのはどちらの目線に立っても共通する。
地場の産業・金融・大学の期待が集まり、国策として打ち出しやすい産業振興策。某知事にはせめて「ガイアの夜明け」(http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview071106.html)でも観てもらって、状況を肌で感じたうえで“うまく踊ってもらいたい”ものだ。
彼に多くを求めてはいない(いけない)が、この発想はあまりに貧弱。あまりに“軽薄”で、地に足が着いた政策判断をしているとは到底思えない。
今、九州が、宮崎が取り組むべきは(成功しているとは言い難い)“六本木ヒルズ”をまねて、IT企業を集め「4年間で100社の企業誘致、1万人の雇用創出」・・・そもそも100人規模のIT企業がどれほどあると考えているのか?・・・などという(成功確立の低い)チマチマしたマニフェスト実行にこだわるのではなく、日本の半導体生産の1/4を占めるまでに至った「シリコンアイランド」に続くアジアに開かれた新たな産業基盤を根付かせていくこと。
言うまでもなく、集積しつつある「太陽光発電」の生産拠点としての方向はその萌芽。半導体生産とのシナジーは産業クラスター形成に有利に働くことは自明であるうえ、温暖化ガス排出量の多い東アジアに近い立地を活かさないのは行政として明らかな判断ミス。
...いや、実は1部局単位で対応しているのかもしれない...しかし、「宮崎」にとって必要なのは、九州の中で存在感を高め、「太陽光発電」産業クラスターのイニシアチブを執っていく姿勢であり、「イメージ」戦略である。某知事に