2007年8月1日 15時06分
秋葉けんた(マイカ)
毎年、ラインアップと機能・サービスの強化が図られている携帯電話。それら携帯電話の新しいサービスを支えるテクノロジを持っている企業がある。アクロディアとPicsel Technologiesである。
New Industry Leaders Summitの「モバイルソフトウェアの動向と今後」と題したパネルディスカッションで、2社の代表取締役が今後の携帯電話を支える次世代のテクノロジについて語った。
アクロディアは携帯電話の使い勝手を左右するユーザーインターフェース(UI)を主軸に、携帯電話の新しい市場を開拓している企業だ。
携帯電話のUIを変える技術を持つアクロディアの堤氏「携帯電話は、子供からシニアまで幅広いユーザーを抱えています。しかし、使い勝手の部分は進化していません。メーカーが作ったUIをユーザーが覚えて使っているのが現状です」と、アクロディア代表取締役社長兼CEOの堤純也氏は語る。
確かに現在の携帯電話はカスタマイズの幅も狭く、多くのユーザーが「使いやすい」と思える状況とはほど遠い。また、メーカーごとにUIが異なるため、機種変更するたびに使い方を1から覚え直さなければならないといった課題もある。もちろん、UIを活用し、ユーザーを囲い込みたいというメーカーの意図もあるのだろうが、ユーザーの視点からすると利便性の低い状態にある。だからといって、子どもからシニアまでが全員使いやすいUIを追求しても「結局誰にもマッチしていないものになる」(堤氏)という壁に当たるのだ。
そこでアクロディアは、さまざまなUIを用意し、ユーザーが自由に「切り替え」られる仕組みを提供している。つまり、UIを切り替えることで、1台の携帯電話でも子どもやシニアといったユーザーそれぞれに特化した使い勝手が実現できるのだ。メニューの並び方だけでなく、UIの構造自体を変更できるため、1台の携帯電話で幅広い世代に対応することも容易だ。
「例えば、海外出張が多いユーザーであればグローバルローミング機能は必須でしょうが、海外に行かないユーザーであればこの機能は不要です。このように、ユーザーごとに適切なUIを提供する仕組みを提案しています」(堤氏)。
堤氏が提案するのは、ユーザーの携帯電話の操作ログを取得し、その情報を元にUIを変化させていくというものだ。ユーザーの使い方から操作画面が自動的にカスタマイズされるようになる。さらに、この操作ログをサーバなどにアップロードし、情報を分析することで、キャリア側のUIの改善も容易となる。また利用されている機能、利用されていない機能も正しく把握できるようになり、ユーザーへのサービス提供の情報としても活用可能だ。操作ログを活用することは、ユーザー、キャリア、コンテンツ制作会社それぞれにメリットのある提案となる。
Picsel Technologiesは、ワールドワイドで事業を展開している企業で、携帯電話や携帯端末などにさまざまな技術・製品を提供していることで知られている。同社製品が搭載された端末の出荷台数は1億台を超え「もっとお客様に届く製品を作っていきたい」(代表取締役・Ali Adnan氏)とのことだ。
Picsel TechnologiesのAdnan氏。同社のブラウザはNILS会場でも大きな話題になった「日常生活からビジネスシーンからまで、幅広くモバイルを活用しているユーザーが増えています。今や携帯電話でできないことはほとんどない、という状況になっていると思います」(Adnan氏)。
しかし、課題になっているのが画面サイズだ。液晶テレビなどは大画面化が進み、高画質なコンテンツを楽しむという潮流がある。しかし、携帯電話は、持ち運ぶという端末の性格上、大画面化は望めない。
「そこで、“奥行き”が重要になると考えました。必要に応じてズームし、詳細な情報を取得できれば、ユーザビリティも向上します」(Adnan氏)。まずは、全体像や概要を把握し、詳細が知りたい部分はズームして「奥行き」の情報を取得すれば、小さい画面の携帯電話でも、より効果的に情報にアクセスできることになる。
同社は、高速に画像処理するズームUIを有し、これを用いたフルブラウザ“Keitai Browsing 2.0”をNTTドコモN904iに提供している。
「これまでのフルブラウザと比べて、操作性が向上しています。拡大・縮小時にダイナミックに折り返しされ、縦スクロールだけで読める“スマートズーム”やビジュアルで使いやすいキーボードやツールバーを提供する“ダイナミックUI”など、さまざまな機能を搭載しています」(Adnan氏)。
今後の携帯電話はUIが改善されていくことになる。より使いやすく、より便利になっていくのは確実のようだ。また、これまでメーカーが手放さなかったUIが解放されることで、活用した新しい市場も創出されていくことになる。これらのメーカーの提案は、市場を広げ、キャリアやコンテンツプロバイダにとって、ビジネスチャンスにつながるだろう。
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