2007年7月26日 17時28分
鳴海淳義(編集部)
携帯電話向けのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が盛り上がっている。現在トップを走るのはディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する「モバゲータウン」だ。同サイトは2006年2月に開始され、2007年5月の時点で会員数が500万人、1日のページビューは4億を超えている。
そのような中、ウェブドゥジャパンが7月2日にオープンした携帯電話向けSNS「プチゲーフレンズ」がネットで話題を集めている。
このサイトでは、無料のミニゲームなどで遊べるほか、サークルや日記などでユーザー同士がコミュニケーションできる。また会員登録をしたユーザーは、サイト内通貨「プチゴールド」を使って、髪型や目、服装などのパーツを自由に組み合わせ、自分そっくりのアバターを作ることも可能だ。
ここまで聞くと、プチゲーフレンズが話題となっている理由がわかってくるだろう。そのサービス内容が先行する携帯電話向けSNS「モバゲータウン」にそっくりなのである。
とはいえ、SNSに限らずネットのサービス内容は突き詰めていけば最終的に似通っていってしまうのかもしれない。無料ゲームや日記、アバターなどはどのサービスでも提供している。サービス内容がある程度似てくるのはよくあることである。
ところが、だ。サイトの画面を見比べてみると、プチゲーフレンズとモバゲータウンには驚くほどの共通点があることに気づく。むしろ差異を見つける方が難しいのではないか。
左が「モバゲータウン」、右が「プチゲーフレンズ」(7月26日現在)サイトオープン当初はさらに酷似していた。レイアウトやデザイン、文言など、共通する部分が非常に多い。例えば両サイトともトップページには「お知らせ&新着情報」でサービスの新機能などを告知し、その下には「遊ぼう」と題してミニゲームなどを配置している。
左が「モバゲータウン」、右が「プチゲーフレンズ」(7月3日時点の画像 提供:西山圭氏)また、マイページのメニューには自分のプロフィールへのリンクである「マイプロフィール」、コミュニティー機能の「サークル」がある。ちなみにサイト内の仮想通貨の名称は少し異なっている。モバゲータウンが「モバゴールド」であるのに対し、プチゲーフレンズは「プチゴールド」だ。
ウェブドゥジャパン取締役の櫻井英哉氏両サイトの類似性について、ウェブドゥジャパン取締役の櫻井英哉氏に話を聞くと、「結果的に似たということ。当然いろいろなSNSを勉強させていただいて、その結果としてやはりもっとも優れているのはモバゲーさんなのかなと。そこを真摯に勉強させていただいた結果としてあの形になったというのがあります」とした。
両サイトが似ていることはネットでも話題となっているが、これは社内でも認識しているという。
その点について櫻井氏に感想を求めると、「結果的に似ているので特に感想はない」という回答。「まあ似てないのかと言われると、似てないことはないですよね、と思います。」(櫻井氏)
ただ、モバゲータウンが急成長し、ユーザーのみならず業界全体から注目を受けるなかで、そのサイトと似すぎている箇所をあえて変えようとは考えなかったのだろうか。
「たぶんレベルの差だと思うんです。パクリなのかオマージュなのか、とかよく言うじゃないですか。そこの線引きって特にないと思うんですね。あくまでも我々は先ほど申し上げたとおり、真摯に勉強させていただき、すべてにおいて一番いい形と思われるものを選択させていただいた結果として、似た形になっている、かもしれません」(櫻井氏)
モバゲータウンとプチゲーフレンズの類似性について言及するブログへのリンクを集めた、“まとめサイト”も登場している。このサイトから貼られているリンクの中で最も興味深いのが、モバイル系ベンチャー企業のアサップネットワークの代表取締役である西山圭氏のブログ「五反田ではたらけ!五反田社長の日記」だ。
2007年7月3日付けのエントリで同氏は、プチゲーフレンズについて「このサイトは21世紀に最も感動したコンテンツです」と評価する一方で、モバゲータウンとプチゲーフレンズのスクリーンショットも掲載し、「※すいません、なんか別のサービスの画像も混じってしまいました。でも、誰が見ても区別できますから大丈夫ですよね!!」とオチをつけていた。
このエントリはすでに削除されているため読むことはできないが、一部ではウェブドゥジャパン側が削除要請をしたのではないか、という憶測も飛んでいる。西山氏の7月7日のエントリーに「昨日、WebDoJapanの小渕社長、古瀬取締役と直接ご挨拶する機会がありました! 小渕社長には『頑張って当社の売上を超えて下さい』という激励をいただきました。Blogについてもご意見をいただきましたので、ちょっとエントリを変えてみました」という記述があるからだ。
実は7月6日から7日にかけて開催された「モバイル・ビジネス・サミット 2007」で、アサップネットワーク代表取締役の西山圭氏とウェブドゥジャパン代表取締役社長の小渕宏二氏が顔を合わせていた。
この場で当該ブログエントリの削除が要請されていたことが、他の参加者に目撃されている。ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長の清水亮氏は自身のブログで「セミナーの懇親会では、五反田社長がこの人にブログ記事削除を強く要請されていた光景が印象的でした」と書いている。
五反田社長とは西山氏の別名だ。そして文中の「この人」という部分からはウェブドゥジャパンの小渕社長のブログにリンクが貼られている。また別のエントリでは「裸の王様を指さして笑った子供に、感謝する王様と『削除しろや』と数人で取り囲んで強く要請(激励?)する王様の二種類の王様が居て、僕はただそれを眺めていた無害な聴衆に過ぎませんでした」とある。
果たして削除要請はなされたのだろうか。そしてその際に西山氏を数人で取り囲んだというのは本当だろうか。
この点をウェブドゥジャパンの櫻井氏に確認してみたところ、「削除要請ではないです。おそらくモバイルビジネスサミットのときにあった話のことを仰ってるのかもしれませんけれど。それについてお話をしますと、当社は似ていることについて何か言ったわけではないです。ただ、おそらく面と向かって宴会の席での出来事ですので、取り囲んでというか、結果的に取り巻きができたというのは事実でしょうけど」と述べる。
「似ているという話について削除要請はしておりませんし、当社のサービスに関して、『五反田社長さま』に対してブログ掲載の意図を問うたわけではありません。あくまでも、当社の企業理念や行動規範という当社で最も大切にしているものについても言及され、皮肉をこめて語られていたことについて、その意図を確認したということです」(櫻井氏)
ウェブドゥジャパンの企業理念は「7S」と呼ばれており、同社社員の行動を7項目に規定しているものだ。五反田社長の日記にも、削除前は下記のような内容で記載されていた。
「企業ビジョンに『7S』というのがありますが、まさに今回のサービスこそ『熱い思いで』『MAXスピードの行動で』『やるべきことをあたりまえに』『誠実を基本として』『顧客・社員の満足を喜びとし』『世の中に驚きを与え』『堅実かつ安定している』 まさに7Sを体現したコンテンツだと思います」
一見しただけでは絶賛とも皮肉とも受け取れる内容だが、ウェブドゥジャパンはこれを皮肉と見なしたようだ。
五反田社長こと、西山氏にも聞いてみた。それによると、「ウェブドゥジャパンは否定したらしいですが、ブログ記事削除を依頼されたのは事実」と語る。さらにウェブドゥジャパン側は小渕社長を含む3名がその場におり、「小渕さんが自分の口で言われた」と西山氏は述べている。
削除前の文章の意図について西山氏は、「プチゲーを褒めているのか、貶しているのかについては、読まれた方のご判断で」とコメントするにとどめている。
一方で、「悪いなと思ったかどうかについては、自分の文章で気分を害した人がいたことについては申し訳ないと思う」とも語っている。
「ただ、他社のことを書くときに、自社でもそうですが『胸を張って出せる』サービスと、『こっそり始める』サービスというものがあるわけで、自分としても『こっそりやっている』ものを晒し上げるようなことはしないつもり。プチゲーについては、プレスリリースも出てるし、ウェブドゥジャパン社長Blogでも誇らしげにリリースを宣言してたわけで、あきらかに前者ですよね」(西山氏)
「削除要請はない」とするウェブドゥジャパンと、「小渕社長が自分の口で言われた」とする西山氏。双方の主張は別れたままだが、こうした「言った言わない」を突き詰めても仕方がないところだろう。それよりも、もっと気になるのはモバゲータウンを運営するDeNAはプチゲーフレンズについてどのように見ているかということだ。
DeNAの広報担当者は「そのようなお問い合わせはいくつかいただいている」と苦笑いだ。同社から得た正式な見解を下記に掲載する。やはり最後に判断するのはユーザー、ということだ。
「当社のモバゲータウンが多数のユーザーから高い評価を頂いている中で、市場に競合となるようサービスが生まれるであろうことは、当初より想定しておりました。ご質問頂いた件に率直にお答えしますと、当社は、より幅広いユーザーの方に、より一層モバゲータウンをご利用頂くことに全神経を注力しております。我々がしっかりとユーザーを見て、当社が進化し続けていけばいいことだと考えております。最終審判は、ご利用いただくユーザーが判断されるのではないでしょうか」
プチゲーフレンズは現在、iモード公式サイトで提供されている。iモード公式サイトに加わるには、ドコモが定める倫理規定をクリアする必要があるため、良識のあるコンテンツしか公式化されないことになっている。
ドコモはプチゲーフレンズをiモード公式サイトに相応しいと判断したわけだが、同社広報は「個別の事例については回答できない」としており、詳しい審査の経緯についてはコメントを得られなかった。
コメント ( 1 )
そもそもモバゲーもハンゲームをそのまま携帯版にしただけと言われてますし。