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 モバイル業界のキーパーソンが一堂に会する、シーネットネットワークスジャパン主催のイベント「モバイル・ビジネス・サミット」が7月6日、7日の2日間にわたり、福岡県のホテル日航福岡で開催された。完全招待制をとるこのイベントは、第1回目の開催ながら150名以上の業界関係者が集まり、今後のモバイルビジネスを活性化するための方策について議論を交わした。総務省のモバイルビジネス研究会が既存のモバイル業界の構造を大きく変える提言を発表し、今後の業界動向に注目が集まる中で、それぞれのプレーヤーがどんな戦略を描き、市場全体がどのように変化していくのかが見えるものとなった。

総務省の谷脇康彦氏 谷脇氏はモバイルビジネス研究会の報告書についてより広い議論が必要とし、さまざまなパブリックコメントを寄せて欲しいと呼びかけた

 基調講演には総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部料金サービス課 課長の谷脇康彦氏が登場。モバイルビジネス研究会の報告書案は、市場環境を携帯電話事業者による囲い込みのクローズド型から、多様なプレーヤーが参入できるオープン型に変えていくのが趣旨だと紹介。現在のモバイル業界には必ずしも十分な競争が起きていないとして、競争を促し、多様なビジネスモデルが生まれるような政策を取っていく方針を示した。

 この話を受ける形で、アイピーモバイルやイー・モバイルといった新規参入組、ウィルコム、クアルコム ジャパンの4社はオープン型のモバイル業界の未来像について議論した。いずれも端末メーカーが独自の設計で端末を提供できるようにすることで、これまでにない端末が登場してくることを狙っている。デジタルカメラやデジタル音楽プレーヤーといったような家電製品に通信機能が備わるといったことが考えられるという。

 また、コンテンツ、サービス提供者側の視点ではエフルート、jig.jp、ロケーションバリューの3社が登場。端末の販売奨励金がなくなると買い替えサイクルが長くなり、新しい端末の普及スピードが遅くなると新機能を生かした新しいサービスが生まれにくくなるとの懸念を示した。また、現在はPCがインターネット利用の中心で、携帯電話が補完的な役割を果たしているが、この関係は今後逆転していくという意見で一致。高齢者や子どもなども含めた社会全体で見れば、PCユーザーのほうが実はニッチな存在だと指摘した。

 議論の的にされている携帯電話事業者は、コンテンツ、サービス提供者との協業についてどう考えているのか。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの担当者はそれぞれ、ユーザー1人あたりの月間利用料金(ARPU)を上げるため、また自社サービスの魅力を高めるためにも他社との連携は不可欠だと話す。ただし、端末が高機能化している中でこれ以上の機能を盛り込むためには、コスト面やビジネスモデル、使い勝手といった点をよく検討する必要があるとの意見で一致した。

モバイルの世界をいかに広げるか

 オープン型のビジネスという意味では、携帯電話事業者が検索サービスの提供を開始し、公式サイトだけでなく一般サイトにも門戸を開いた2006年の出来事は多くのモバイルサイト運営者に影響を与えている。今後の検索関連市場はどうなるのか。ウェブドゥジャパン、CAテクノロジー、シリウステクノロジーズの3社が未来を予測した。検索サービス事業者はヤフー、グーグルのほか1、2社程度しか残らないという厳しい意見が飛び出し、依然として携帯電話事業者の動向に大きく影響を受ける点を懸念していた。また、モバイルサイトの場合はYahoo! JAPANよりもページビュー数の多いサイトがいくつもあることから、こういったサイトにコンテンツ連動型広告が掲載されると大きなビジネスが生まれるとの意見が出た。

ディー・エヌ・エー、リクルート、りーふねっとの ディー・エヌ・エー、リーフねっと、リクルートの3社はコーポレートカラーのポロシャツをそれぞれ着て壇上に登場

 一般サイトの大手運営会社であるディー・エヌ・エーやリクルート、モバイルを使ったキャンペーンを数多く手がけるりーふねっとの3社は、一般サイト成功の鍵について語った。ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」は無料ゲームで集客し、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)機能でユーザーの定着を図ることに成功。また、リクルートの「R25モバイル」はフリーペーパーや屋外広告などと組み合わせることで広告単価を向上させた。りーふねっとはロッテのガーナチョコレートで無料の着信メロディがあたるキャンペーンを仕掛けて成功させた実績から、ほかでは手に入らないコンテンツを高品質で提供すれば、口コミであっという間に広まるとした。

 IT関連会社ではない企業も、モバイルの活用には注目している。全日本空輸(ANA)は携帯電話を使って航空券の予約や発券などができるようにしており、日本コカ・コーラもモバゲータウンで新商品のキャンペーンをするなど積極的なプロモーションを展開している。若者にリーチでき、いつでもすぐ利用できる媒体としてモバイルに期待する一方、効果を図る指標が確立されておらずほかの媒体との比較が難しい点を課題として挙げた。

 日本のモバイル業界は端末の進化や高速接続といった支えによって、世界でも最先端の部類に入る。コンテンツ、サービス事業者にとっては、自社のモデルをいかに海外展開していくかが成長の大きな鍵の1つになる。サイバードホールディングス、タイトー、フラクタリストの3社は自社の事例を元に、それぞれ北米、欧州、中国での展開について披露。現地で一緒にやっていくパートナー企業や社員をいかに選び、コミュニケーションをとっていくかが鍵になるとした。

 特別講演には、グーグル ストラテジック パートナー ディベロップメント マネージャーのラーゲリン・ジョン氏が登場。世の中の知識がモバイルインターネットを通じて手の中に届くのは、その人にとって大きな武器になるという考えを示す。また、日本ではインターネットユーザーの4分の1が携帯電話しか使っていないが、こういった人にもグーグルの価値を提供したいとして、モバイルサービスを強化するとした。グーグルの世界的な方針として、モバイルサービスは日本から世界へ発信していくとのことだ。