2007年3月5日 13時37分
島田昇(編集部)
IPO(新規株式の公開)を目指す企業はどのようなことに注力して組織作りをすればいいのか──。
会社経営において製品やサービス以上に重要となる組織作りについて、すでにIPOを果たしたIT関連の有力企業経営者たちが一同に介し、「IPOを目指すベンチャー企業の組織マネジメント」と題したパネルディスカッションがこのほど、開催された。
議論の中心となったのは「人」の獲得と育成。いかに優秀な人材を確保できるかにトップランナーたちも頭を悩ませており、これに対する各社の独自手法が明らかにされた。
パネルディスカッションはサイバーエージェントグループによる出資先企業経営者100人が集まった交流会の場で実施。スピーカーにはエスグラントコーポレーション社長の杉本宏之氏、ドリコム社長の内藤裕紀氏、ミクシィ社長の笠原健治氏、サイバーエージェント社長の藤田晋氏が参加し、モデレーターはCNET Japan編集長の西田隆一が務めた。
まず、藤田氏は今の株式市場でIPOするのは当時と比べて厳しくなったとし、サイバーエージェントが上場した2000年当時は今ほど厳しい状況ではなかったとの感想を述べた。
その上で、IPOを実現しやすくする一例を紹介。証券業界に人脈があり、IPO業務の経験者を一人でも採用することがそれで、そうすることにより「一気にIPOが決まる」(藤田氏)。また、信頼できるマスコミに頻繁に取り上げられていたり、株主に信頼できる会社や社外取締役に信頼できる経営者が入っていることも重要であるとした。
笠原氏は2004年2月のmixi開始に伴い、組織の形成や成長にあわせて、企業の内部統制を行っていくことが重要だと考えた。クライアントやユーザーに対する信頼性の向上の面でもIPOを意識し、組織構築の基盤を作ってきた。
IPO業務を行う管理部は、IPO業務の経験者が携わっていたわけではなく、営業経験者などが一から取り組んでいったため、「時間はかかったかもしれない」(笠原氏)が、「より現場のことが分かる管理部になったことが良かった」(同)。こうしたことがベースとなり、現場の事業スピードを緩めることなく、IPOの準備を進めることが出来た。
ドリコムはIPOを意識し始めた当時、役員と開発部しか存在しない企業だった。そこで前述の藤田氏の話のように、IPO業務に詳しい管理部門の人間を他社から獲得したことで、早期のIPO実現に結びついた。
杉本氏は前の3氏とは異なり、不動産業界を営業するのに適したコミュニケーション能力の高い人を多く採用し、ひたすら社内の明るい雰囲気作りに務めた。
IPOを実現するのに、4社が共通して語ったのは「人」の問題だ。組織の最小単位が会社の望む方向へ向かえなければ、組織は動かない。人の教育環境において各社はどのような手法を用いているのか。
藤田氏はやる気のある社員に思い切って重要な役職を与えることで、個々人の成長を促している。「抜擢すると意外と人は頑張るもの」(藤田氏)。杉本氏は自社が完全実力主義ということで、利益に応じた報酬が社員に還元される制度で士気向上を図っている。また、見込みある人間には杉本氏が個人の判断で帝王学を教え込み、次期幹部を育てるという手法を取っている。
内藤氏は自社が開発者の多い企業のため、「ソフトウェア開発コンテスト」や1週間出社しないで開発に専念することを認める「山篭り制度」──などで社員のモチベーション維持を図り、個々人の成長を支援している。
社員教育の一方で、やはり重要となるのは優秀な人材の中途採用。これについて藤田氏は「相当時間をかけて、熱意をこめて口説くしかない」と、人材確保が難しい現状を指摘。また、入社後の自分に対するイメージを向上させるような、説得するシチュエーションも重要であるとした。
出資先交流会ではパネルディスカッションのほかにサイバーエージェントが出資した会社でIPOを果たした内藤氏、笠原氏、インタースペース社長の河端伸一郎氏、オウケイウェイヴ社長の兼元謙任氏など6名がIPOの経緯などをスピーチした。
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