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2006年10月10日 13時19分

初心者向けの新ブログサービスで復活に賭けるライブドア

インタビュー:岩本有平(編集部)
文:加藤さこ

 ブログをはじめとしたCGMコンテンツをポータルの中心にする方針を打ち出したライブドアは、7月3日にポータルサイトを大幅にリニューアルしてからというもの、ユーザーがテーマを決めてランキングを作成できるサービス「livedoor リスログ」を開始し、ソーシャルブックマークサービス「livedoor クリップ」のAPIを公開するなど、サービス強化を図っている。

 そして9月26日に開催したシーネットネットワークスジャパン主催のイベント「CNET Japan Innovation Conference 2006 Autumn」では、新ブログサービス「PRAC(開発名)」の構想も明らかにした。

 2007年に向けて、ライブドアはどのような戦略を描いているのか、イベントでスピーカーとして登壇したライブドア 執行役員社長室長 コーポレート戦略担当の伊地知晋一氏とメディア事業部 コンシューマメディア部 シニアマネージャの有賀之和氏に聞いた。

--ポータルサイトのリニューアル後から2カ月経ちましたが、ユーザーの反応はどうですか。

有賀:良い、すっきりしたという声が多く、おおむね好評です。明確に方向性を出したことで好感度が上がりました。しかし、ブログ、ニュース、サービス一覧の3ページに分けたことで、以前に比べるとページあたりの情報量が多く、見づらいという声もあります。この点はもう少し整理していく必要があると考えています。また、10月2日には、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「livedoor フレパ」のほか、いくつかのコンテンツについてデザインを中心にリニューアルしました。

 今後の取り組みとしては、まず「livedoor ニュース」をより充実させていくことを考えています。現在、ライブドアではパブリックジャーナリスト制度を設け、300〜400人ほどが記事を書き、ニュースを編成して見せていますが、もっとニュースの見せ方を変えられると思っています。情報系のコンテンツを束ねて、各ユーザーに最適な形で情報を届けられるような仕組みにしていきたいです。

--ビジネスモデルとしては、広告収入がメインになりますか。

有賀:ライブドアでは、堀江貴文前社長の逮捕後に広告出稿が大きく減ってしまいました。その減ってしまった広告収入を事件以前の状態に戻すために動いてきましたが、今はその効果が出てきていると実感しています。6月頃からはナショナルクライアントも戻ってきて、9月以降はどんどんクライアントが入って良い状況になってきています。

伊地知:全盛期の勢いは取り戻せていませんが、6割くらいは戻りました。悪いイメージが薄れていったこともありますが、ライブドアが以前からWeb 2.0に力を入れていたことがあらためて認識されつつあるのではないでしょうか。また、リニューアルによって方向性が明確になったというのもあるかもしれません。2006年内には100%まで戻したいと思っていますが、今の調子であれば実現できそうです。

ライブドア 執行役員社長室長 コーポレート戦略担当の伊地知晋一氏 ライブドア 執行役員社長室長 コーポレート戦略担当の伊地知晋一氏

 収益源は広告のほかに有料課金などがありますが、まずは広告できちんと収益を得ることが当面の課題です。

--ほかにも物販やオークションなどがありますね。現在休止中のオークションなどは縮小を検討していると聞きました。

伊地知:縮小というよりも、見直しを検討しています。オークションもCGMという方向性に沿ったものに変えていくことが必須となります。ヤフーを踏襲したようなサービスを提供することはCGMを全面に出した戦略にそぐわない。「コンテンツを買って流すメディア」ではなく、「ユーザーがコンテンツを作ってメディアにしていく」という流れにしていくため、現在、サービスを作り変えているところです。

--フィード広告は検討されていますか。

伊地知:利用されるフィードが増えて、媒体として成り立つのであればフィード広告もやっていきたい。Internet Explorer 7(IE 7)はフィードに対応するため、IE 7が出る時までには何かしらの対応をしていきたいとは思っています。

有賀:RSS広告社やFeedburnerなどがサービスをしていますが、まだ国内では実験段階のようです。我々はまずはフィードの利用を促進していきます。フィード広告については今後考えていきます。

--新ブログサービスPRACについて、CNET Japan Innovation Conference 2006 Autumnの講演では、初心者ユーザー向けのブログという印象を受けました。ターゲットはブログ初心者になりますか。

ライブドア メディア事業部 コンシューマメディア部 シニアマネージャの有賀之和氏 ライブドア メディア事業部 コンシューマメディア部 シニアマネージャの有賀之和氏

有賀:まずは初心者でも手軽に始められ、そして継続してブログを書けるようにサポートしていけるサービスを目指しています。

--説明だけを聞くとシックス・アパートの「Vox」に似ているようにも思えます。

有賀:外部サービスであるFlickrの写真をアップできたり、SNS同様の要素があったり、という意味では似ています。しかし、VoxはSNSのようにブログのユーザー同士をつなげていくのに対して、PRACは書かれている内容をつなげていきたいと考えています。同じ趣味や目的などで作られたサイト同士をつなぐ「ウェブリング」に近いですね。

--PRAC以外のサービスと連携するということはありますか。

有賀:しまくります(笑)。現在、livedoorブログでは、画面上部に「フレパ」「PICS」などのタブを表示できるデザインを用意しています。そのタブをクリックすると、そのブログユーザーのフレパやPICSのページに遷移できるというものです。今はただのリンクでしかありませんが、もっとブログと一体化して見られるようにしていく予定です。Voxを意識しているわけでなく、サービスを連携して見せ、CGM全体のトラフィックを増やしていくことは必須の取り組みです。

 PRACでは、グルメ情報、旅行記、仕事日記などを簡単に書き込めるような仕組みにしていきます。たとえば旅行をテーマにするなら、「行き先」「目的」「地図情報」「感想」など簡単に書き込めて、書いた記事をメールで知り合いにお知らせできるようにする。見る人が能動的に情報を取りにいかなくてもいいようにサポートします。また、旅行、グルメなど、テーマ別のCGMポータルを作るということも考えられます。これによってサイトでの広告収入の底上げができるのではないかという期待も持っています。

--現存のlivedoor ブログは新ブログのPRACと入れ替わるということですか。

有賀:この2つはまったくの別ものです。ですがlivedoor ブログが「旧」というわけではありません。あくまでもPRACは「新」、livedoor ブログは「現」なのです。現存のブログに関しては、個人に利用されているとともに、企業サイトとしても利用されています。そのため、独自ドメインの設定機能やアクセス解析など、サイトとして運営していくための仕組みがあります。つまり、スキルがあり、仕事用でも使う人に向いた仕組みなのです。

--コンセプトとしては、PRACとlivedoor ブログで具体的にどんな違いがありますか。

有賀:これまで「ユーザーにブログを使ってもらう」と「ユーザーにブログを見に来てもらう」という2つのことを1つのサービスでやろうとしてきました。しかし3年間の運営の中で、livedoor ブログだけでその2つを目指すのではなく、分けて運営した方がよりコンテンツが充実し、ブログが活性化すると感じました。それが新ブログを立ち上げるきっかけとなったわけです。livedoor ブログはユーザーが拡大し、システムも大きくなりすぎて、思い切ったサービスの変更ができないという問題もでてきました。

 見に来てもらうことに重点を置くPRACは、livedoor ブログよりカジュアルに利用できるものになります。リコメンド機能を付加し、記事にマッチングした広告が掲載され、他の関連コンテンツへの誘導もできる。見に来る人にとって最適な環境を提供できるようにしていきます。たとえば、「焼肉」という共通したテーマがあれば、livedoorグルメの特集を組むといったこともやりやすくなります。

伊地知:PRACでは、ブログ初心者向けに、ECサイトを作っていけるような仕組みも考えています。

--PRACのサービス開始時期を教えてください。またサービスは無料で提供するのですか。

伊地知:サービス開始は2007年2月を予定しています。プレミアムサービスの有料化はあるかもしれませんが、広告収益で運営していくので、基本的に無料です。

--今後、ライブドアでCGMコンテンツを増やしていく予定はありますか。

有賀:フェーズとしては、コンテンツを増やすよりも、今あるものを成長させ、確立していきたいです。livedoor フレパやlivedoor PICSなど、やっとCGMサービスがひととおり揃ったという状態です。動画共有についてもモバイルで実験的にサービスしています。今後は、動画をアップロードしたユーザーが自分のブログにFlash Video形式の動画を貼れるという仕組みを作る予定です。このようにそれぞれのCGMサービスを連携させ、相乗効果を出せるように考えていきます。