永井美智子(編集部)
ジェイマジックの「顔ちぇき!〜誰に似てる?〜」、ミリオンセラーが続々と登場したケータイ小説など、2007年はヒットしたモバイルサービスが数多く登場した。では、2008年の注目株は何だろうか?
12月4日に東京都内で開催されたモバイル業界の交流会「第16回 体育会系モバイル部」において、モバイル業界で活躍する4社の代表が集まり、これから人気を集めそうなモバイルサービスや技術について議論した。
登壇したのはニューゲージ代表取締役で、ウィルポート編集長やガールズウォーカー副編集長を務める如月音流氏、シリウステクノロジーズ代表取締役の宮澤弦氏、アルカーナ代表取締役の原田和英氏、スクウェア・エニックス モバイル事業部 マネージャー兼プロデューサーの和智信治氏。モデレーターはスターマーク代表取締役の林正勝氏が務めた。
シリウステクノロジーズ代表取締役の宮澤弦氏2008年に注目している点として、新技術によって新たにできるようになったことを挙げたのが宮澤氏と和智氏だ。宮澤氏は下り最大3.6MbpsのHSDPA端末など、高速通信が可能な端末が各社から数多く出てきたこと、Flash Liteのバージョンが3.0に上がったことなどから、2008年は「リッチアプリケーション元年になるのではないか」と予測する。
ゲーム会社の立場から和智氏が注目するのは、携帯電話でTCP/IPが利用できるようになった点だ。ソフトバンクモバイルは12月3日より、TCP/IPによる高速オンラインゲームの提供を開始している。これにより、携帯電話でも対戦型などのネットワークゲームが本格化するとみる。さらに端末のディスプレイもVGA液晶など高精細になっており、「プレイステーションポータブル(PSP)やニンテンドーDSに近いものができる。高品質なゲームが生まれる黎明(れいめい)期になるのではないか」と期待を寄せた。
ニューゲージ代表取締役の如月音流氏一方、如月氏と原田氏は、高度化した技術をいかに使いこなすかが今後は重要になるとみる。如月氏は「これまでは新しい技術が新しいコンテンツを生み出していたが、ここまで技術が進化すると、必ずしも面白いコンテンツを作るのに新しい技術が必要ではなくなってくる」と指摘。
「高機能になるほど開発費は上がる。高機能であることがビジネス上優位なのはある程度のレベルまで。面白いと思ってもらうには企画が重要で、たとえばこれ以上画像がきれいになっても感動は変わらない」(如月氏)と話し、技術勝負からアイデア勝負へと競争の軸が変わると予測した。
原田氏は海外の事例を紹介し、単純なサービスでも人気を集めているものは数多くあるとした。原田氏が紹介したのは、着信メロディや着うたの中で、ユーザーが自分の好きな部分を自由に切り出したり、ユーザー間で楽曲の売買ができるサービスだ。また、自分がいまいるレストランやバーを登録して、同じ場所にいる人にサイト上で声をかけられるサービスも紹介した。このサービスはGPSなどを利用するのではなく、店舗の名前をタグとして登録し、おなじタグを持つユーザーに声をかけるというシンプルな仕組みだ。必ずしも高度な技術がなくても、若者を中心に人気を集める可能性はあるとした。
携帯電話やPC向け、電車やバスの乗換案内サービスを提供する駅前探険倶楽部。1997年に東芝の社内事業としてスタートし、2003年に分社化した同社は、2007年10月に投資ファンドと共同でマネージメングバイアウト(MBO:経営者による事業買収)し、東芝グループからの独立を果たした。ゆくゆくはIPOを目指すという代表取締役社長の中村太郎氏に、今後のサービス展開について聞いた。
駅探はもともと、1997年に「GENIO」というPHS機能を内蔵したPDAを東芝がリリースしたときに、世界初のウェブ版乗り換え案内サービスとして誕生しました。残念ながら端末がそれほど普及しなかったため、しばらくはPC向けに運営していたんです。
その後、1999年に、NTTドコモのiモード公式コンテンツとして採用されました。2000年にはサービスを有料化しましたが会員数は伸び、ASPサービスの依頼も増えてきて採算がとれるようになったため、2003年に分社、独立しました。
その後、2005年以降、東芝本体がデジタル機器や半導体、原子力に経営資源を集中するという方針を固めました。我々としても連結子会社という位置づけでは他社との資本提携などダイナミックな動きができないという悩みもあり、もう少し自由にサービスを運営、開発していきたいということで、資本構成を変えさせていただいたわけです。
いえ、当社の拡大方針に賛同していただいて、結果を出しさえすれば支援いただけるということだったので、協力をお願いしました。他の事業会社と組む選択肢もあったのですが、自由度を保ちたいという当社の考えと一致しなかったので、ポラリスと一緒にやっていくことにしたんです。
収入源は、大きく分けてモバイルサイトの有料課金、広告、ASPサービスの3つです。売上高は2007年3月期で20億円強ですね。内訳は、半分以上が有料課金、4分の1強がASPサービスによる収入、残りが広告販売などです。
広告はユーザーの行動履歴や検索結果をもとに、地域に連動した広告が掲載されるようになっています。もう少し売上高に占める広告の比率が上がればいいとは思っていますが、広告収入が課金収入をいますぐ上回ることはないでしょう。ただし、課金のビジネスモデルがいつまで続くかわかりませんからね。ハードの多様化にどう対応していくかも含めて、より成長率を高めていかなくてはいけないと思っています。
瀬井裕子(編集部)
アイ・ブロードキャストは12月7日、携帯電話向けの静止画・動画像変換配信サービスのASPを日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が開発・販売する「ホームページ・ビルダーVer.12」の追加機能として提供すると発表した。携帯電話への動画配信の需要が伸びていることなどを背景に、両社の協業が実現した。
提供するASP「Snap-pal(スナップパル)」は、自社開発の画像変換配信サーバのサービスを組み合わせたもの。静止画と動画像をそれぞれリアルタイムで変換し、携帯電話の端末ごとに最適化して配信する。
一般に、携帯電話は端末ごとに仕様が違うため、ホームページを制作する場合に静止画像や動画像を適切に表示できるシステムの構築には費用がかかる。
また、新端末が発売されるたびに携帯端末情報(UA)が必要になるため、個人や中小企業ではその情報を得にくいという。
これを解決するためにアイ・ブロードキャストでは、画像を最適化して配信する技術を開発し、静止画像を最適化して配信するサーバ「Snaprec」と動画像を配信するサーバ「SnapVu」を提供している。
これらを生かし、日本IBMが1995年の発売からバージョンを重ねているホームページ制作ソフト「ホームページ・ビルダー」の最新バージョンを発売するにあたり、月額980円で利用できる追加機能として提供することとなった。