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 2006年1月に起きた「ライブドアショック」など新興企業の不祥事が続き、投資家の信頼を失った新興市場は、長い低迷の時を迎えている。

 新興市場に対する批判は証券取引所、証券会社、監査法人へと飛び火。新興市場にかかわる存在の中で「誰が悪かったのか」という犯人探しが始まり、まだこの答えは出ていない。

 こうした中、新たに設立される「NEO」について、企業の信頼性を監査する立場の会計士はどのように見ているのか。また、新興市場が信頼を取り戻すために課された監査法人の役割とは何か−−。IT関連企業の監査を数多く担当してきた監査法人トーマツでパートナー、LSGシニアアドバイザー兼TMTグループシニアアドバイザーを務める北地達明氏に聞いた。

ライブドアは別世界、“豊かな議論”を

--「ライブドアショック」以降、新興市場全般およびIT関連銘柄が低迷しています。問題点は何だと思いますか。

 この手の話では必ずと言っていいほど「ライブドア」という固有名詞が出てきますが、私個人にとっては、この固有名詞は別の世界のものにしか映りません。

 私にとってのITとは、情報通信インフラなどにかかわる技術の会社が多かったのです。ですから、消費者向けのネット事業を展開する一方で、複雑多岐にわたる金融事業を手がけるライブドアの会社としての実態、そこに登場する人物(会社だけでなく)のイメージはわたしのITに対する認識とはかけ離れていました。

 世の中的には何か事件が起こると、キャッチフレーズを決めて犯人探しをし、それで満足して納得するという傾向がありますが、それは本質的な問題解決には至らないと思います。もちろん、前に進むためには罪を犯した人やそれに強い影響を及ぼした存在の責任を問うということも必要ですが、1つの原因にすべてを帰結させてしまうのではなく、もっと“豊かな議論”をした方がいいのではないでしょうか。

 株式市場では市場、投資家、会社などさまざまな立場で今も多くの課題を抱えています。特に、日本の株式市場は歴史が浅く、90年代から官民一体の努力で新興企業向けには急速な発展を遂げてきました。ですから、急速な発展によるしわ寄せが生じたことはむしろ必然であり、一連の株式市場にまつわる課題の解決は、そもそも時間がかかる問題なのです。

 また、ITということで言えば、IT企業が開発や販売計画に失敗するなど、ライブドアショックで取り上げられた企業の不祥事以外のところでも、数々の難しい問題が起きていることはあり、もともとチャレンジしていることは簡単なことではないということに注目すべきでしょう。

--低迷が続く新興市場にまた新たに「NEO」という市場ができますが、注目している人は少ないようです。どう評価しますか。

 選択肢が増えることはいいことだと思っています。東証が適切に表現しにくいですが「マザーズは将来的にエスタブリッシュを目指す企業の通過点」というような位置づけを打ち出してきているので、今後の展開が不安定だが面白そうな会社にとってマザーズ以外の上場先が増えることは、単純に喜ばしいことでしょう。

 会計士という観点から注目しているのは、マイルストーン開示です。法律という制度の中で要求された書類以外のセルフ・レギュレーションを出すことで、それを投資家がどのように活用するのか、非常に興味があるからです。

 国内の四半期開示制度のような先進的な制度をベンチャーが率先して行っても、まだ事業以前であるベンチャーは損益計算書の中で表現できることは限られています。

 また、中長期での開発が必要となる事業などは、今の会計の仕組みでは非常に表現しづらい。つまり、ベンチャーの自己表現手段としてはもちろん、今の会計制度の限界を補完する仕組みに発展する可能性も含め、注目しているわけです。

 ですから、NEOに上場する企業にはマイルストーン開示の存在を大事に考えてもらいたい。義務なので仕方なく書くという姿勢ではなく、受け手にとって役に立つ情報か否かという観点で、真剣に向き合ってもらいたい。

 例えば、「効率的に開発できているけれどもコストがかかっているのか、効率的に開発できていないからコストがかかっているのか」など、損益計算書上では表現できないけれども、投資家にとって有益な情報となる切り口はたくさんあります。

呼び得なかった投資家たち

--マイルストーン開示を効果的に活用するには何が重要なポイントとなりますか。

 まずは経営者がどれだけ冷静に自社の計画を立てられるか否かというところでしょう。ベンチャーには「控えめに見て」「客観的に見て」と言いつつも、自らが示した計画をクリアできない企業が多いです。

 事業を行うのに熱意や思い入れが必要なことは否定しませんが、「昨年30%増の伸びだったので今年は控えめに見て20%増の伸びを計画しています」などと言っていたのでは、外部の人間からは何の客観性も感じられません。

 また、技術の世界では自分たちのカバー領域しか目に入っていないという技術者が多いです。例えば、買い手を見たときには競合する商品があるにもかかわらず「当社の技術と競合する技術を持つ企業はありません」などというケースも少なくないのです。

 ただ、技術と経営の両方の感覚を持っている人はそもそも少ないです。深い技術を持っている人の多くは大企業の中にいますし、こういう人が外に出て行って、多角的な視点を身につけるだとか、別の才能を持っている人と出会うということが普通のように起こるには、まだ時間のかかることなのかもしれません。

 そういった観点でマイルストーン開示を考えると、きちんと自分たちが持つ技術の有用性を伝えることができれば、これまでに呼びえなかった投資家を呼び寄せることにもつながるのではないかと考えられます。

 また、機関投資家向けのレポートを主に執筆するアナリストやそもそも技術畑の投資家などが注目するなどの動きにもつながれば、ベンチャーの存在が広まりやすくなるきっかけの1つにもなるのではないでしょうか。

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 ラテン語で「同時にいたるところに存在する」を意味するユビキタス。同名の社名を冠し、その実現を促すためのソフトウェア開発を行う同社が11月13日、新市場「NEO」に第一号として上場する。

 生活の至るところにコンピュータが存在し、コンピュータ同士が自律的に連携して動作。いつでもどこでも、誰もが情報ネットワークにアクセスできる社会──。

 現時点ではゲーム機向けの技術提供の比重が高い同社だが、ユビキタス代表取締役社長である川内雅彦氏は今後の成長に向けた壮大なビジョンを語る。同氏に上場までの経緯やなぜNEOを上場先に選んだのか、また、ユビキタス・ネットワークが社会にどのような影響を与えていくのかを聞いた。

「ニンテンドーDS」人気が成長をけん引

--御社の成り立ちから教えて下さい。

 2001年当時、マイクロソフトのエンジニアがスピンオフして創業しました。今話題の携帯用ゲーム機「ニンテンドーDS」で我々の技術を採用していただいてから実績が伸びているため、ゲーム機関連の会社だと見られがちですが、我々が本来目指している市場とは異なります。

 ネットワークはLANの時代からインターネットの時代へと変遷をしてきました。「では、次に何がくるか」が我々のテーマであり、それがいわゆる「ユビキタス・ネットワーク」であると考えております。

 元々の狙いはPCのような大型機器と違って、さまざまな小型デバイス(たとえば電球の裏についているほどの小型基盤)をネットワークに繋げる構想です。接続用ソフトウェアは一筋縄ではいかない問題で、それを「小さくて早くて軽い」にするのが元々のテーマです。

 人の縁に恵まれたおかげで、最初は東芝のセキュリティ用ウェブカメラに採用いだけました。そのおかげか、次に半導体開発のルネサステクノロジと包括契約を結ぶことが出来たため、さまざまな場所で我々の技術が使われる運びとなりました。

--小型のエンターテインメントデバイスはいくつかありますが、結果論から言えば勝ち組になったニンテンドーDSをあえて最初に選んだ理由は何ですか。

 任天堂と手を組めたことは運だと思っております。ライバルである「PSP」はコンセプトが小型PCみたいなもので、従来の技術の延長だったわけです。一方、ニンテンドーDSは従来にない考えが詰め込まれていて、開発の現場の空気が熱く、新鮮で楽しかったです。

 しかし、玩具として非常にシンプルですっきりしている分、制約条件には厳しいものがありました。もっとも、我々は条件が厳しければ厳しいほどやりがいを感じるため、満遍なく力を発揮できたと自負しております。

 また、弊社と任天堂はお互いの求めるものが80%合致していたものですから、残りの20%を両社間でつめました。ですから、非常に集中してリソースを投入したので開発期間は短く半年程度で済みました。

--業績だけを見ると任天堂への依存度が高い(2007年3月期の全売上高に占める任天堂向けの比率は87.7%)です。今後はどのような展開をしていくのですか。

 確かに、現状では不安定な経営であると認識しております。収益の柱は3本ないと安定して成り立たないため、あと2本を2010年ごろまでに確立します。

 2007年時点で将来ネットワークに繋がるであろうデバイスは20億台強あり、年間成長率が20%あるわけなので、母数はかなり大きいと思っております。ゲームで調子がいいように思われている我々ですが、それはほんの一部。コア部分はこれからと考えております。

ゲームの次はデジタル家電

--コア部分とは何ですか。

 ゲーム機の次の柱として、我々はデジタル家電が重要な収益になると踏んでおります。

 今後のIP放送対応ソリューションでメーカーが社内で行っている技術がハイビジョン画像のみだとしたら、我々はフルハイビジョン画像を映しながら、認証・暗号化コードやセキュリティにも配慮するといった数段上の物をご提供できる自信があります。すでに技術的検証は終えておりまして、テレビ機器メーカーと協力もさせていただいております。

 確かに、大手メーカーも社内ソフト開発比重を増やしているのは感じています。しかし、ソフト業界も近い将来、専門分野に特化した業界とそれをコントロールする業界とに二分していくでしょう。我々はその中でネットワークという分野において総合的に技術をご提供できる会社を目指しております。

--改めて御社の強みと競合があれば教えて下さい。

 コンピュータのコードを書くには技術的な側面と芸術的な側面があります。技術的な側面となる数学的な知識が必要なことは言うまでもありませんが、芸術的な側面はセンスや経験の蓄積が問われるので、我々はむしろこちらを重要視しております。

 職人気質と申しますか、小さくて無駄のない効率的なコードを書くことを至上命題としておりまして、我々の書くコードの美しさは他社に真似出来ないものです。

 競合という意味では、我々の行っている範囲に絞ると直接競合しているケースはあまりありません。証券会社が類似企業として分類している会社はありますが、我々としては領域が異なると認識しているため、はっきりと申し上げることはできません。

--ユビキタス・ネットワークの普及は思ったよりも時間がかかっていますが、その理由とこれからの普及速度をどのように考えているか教えて下さい。

 白物家電をネットワーク化する構想自体は80年代までさかのぼることができます。ユビキタス・ネットワークの普及に時間がかかってしまったのは、白物家電を追いすぎてしまったのが第一の原因と考えております。

 例えば、冷蔵庫を各家庭で買い換えるスパンは10年以上、しかも、冷蔵庫単体がネットワーク対応していてもまったく役には立ちません。また、バックボーンとなるネットワークも各家庭になかった。

 ところが、現在は各家庭への光・ADSLなどのブロードバンドが普及し、無線LANの構築も珍しいものではなくなった。各ビデオゲーム機器メーカーから発売されているゲーム機もネットワーク標準対応が当たり前となってきている。

 このように2000年当時とは違い、各家庭でのバックボーンが構築されていること、それに個人がお金を落としやすいエンターテインメント方面が多いことも普及に拍車をかけていると考えます。

 わたしの考えるユビキタス・ネットワークの普及は(1)バックボーンの構築(2)エンターテンメントのシナリオの前進(3)ホームコントロール・ホームオートメーション(4)ユビキタス・ネットワークの実現――の4段階あります。

 いきなりユビキタス・ネットワークの世界を実現させるのは難しいので、一つ一つ段階を踏まえて着実にビジネスの基盤としたいと思っております。

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 ジャスダック証券取引所は11月13日、先端技術を持つ新興企業向け新市場「NEO」を創設する。同日、ソフトウェア開発のユビキタス、12月6日には電子マネー運営のウェブマネーが上場する見通しとなった。2社ともIT関連企業だ。

 従来の適時開示に加え、新たに経営計画の進ちょく状況などの説明を行う「マイルストーン開示」などを導入。JASDAQに上場する企業のベンチャー色が薄れつつあると指摘される中、再び新興企業の誘致戦略を強化することで、東証マザーズや大証ヘラクレスに対抗する。

 今後、IT関連企業に大きな影響を与えると予測されるNEOの可能性と課題を探った。

模索する本来の「新興市場」というイメージ

 NEOの取引開始を間近に控え、ジャスダック証券取引所取締役代表執行役社長である筒井高志氏は、ある構想を頭の中に思い浮かべる。

筒井氏 「『JASDAQセレクト』という新市場を作りたい」と語るジャスダック証券取引所取締役代表執行役社長である筒井高志氏

 「JASDAQは実績積み上げ型、NEOはイノベーション型の市場で、2つはあくまで並列の関係。この2つの上に、例えば『JASDAQセレクト』という新市場を作りたい」

 本来、国内の主要取引所となる東京証券取引所の一方で、急成長が見込める国内の新興銘柄の取引を担っていた旧店頭市場を引き継いだJASDAQ。それが2006年1月の「ライブドアショック」による新興市場の長期低迷が続く中、東証マザーズおよび大証ヘラクレスに比べ、急成長が見込める先端業種銘柄の比率が低いと指摘されている。

 市場関係者たちは「JASDAQは急成長は見込めないが中規模の安定した銘柄がそろっているというイメージ。急成長が見込める小規模の新興企業であれば、大証の地盤沈下も指摘される中、将来的に東証を通じて世界を目指せるマザーズに向かうのが自然の流れ」と口をそろえる。

 筒井氏はこうした市場関係者たちの見方を踏まえ、JASDAQの主力銘柄とNEOの優良銘柄が集まる新市場を提案することで「中規模の安定銘柄が多い」というイメージを払拭。世界最大の新興市場となる米NASDAQのように、急成長銘柄を期待する投資家を呼び込みたいという狙いがあるようだ。

 「当初は店頭市場で取引されたソニー(当時は東京通信工業)のような世界に通用するベンチャーを、再び育てていきたい」(筒井氏)

投資家の信頼回復と「育てる」を重視

 NEOが掲げるキーワードはイノベーション。「ライブドアショック」以降、新興市場に漂う閉塞感をかんがみ、「新しい日本を作るためにはイノベーションが必要。渦巻きを起こせるような研究開発型で新しいビジネスモデルを持った企業が健全かつ公開企業として登場してもらいたいと思っている」(同)。

 業種は特に限定していないが、特にIT関連、バイオテクノロジー、新素材、ロボット関連などの企業を想定している模様で、月に1社ペースの上場を見込み、銘柄の量よりも質を重視。上場審査は従来のJASDAQ上場会社よりも株主数、純資産額、売上高などについての基準を緩和しているが、「マイルストーン開示」でIR(投資家向け広報)活動の強化を求めているのが特徴だ。

 「(ライブドア前々社長の)堀江(貴文被告)はいい面もたくさんあったが、どうしても許せないのは『自分だけ良ければいい』という精神。新しいイノベーションを起こすには、シリコンバレーのようにいい企業が出てくればみんなで拍手するという精神がないと、研究開発型のベンチャーが育つ土壌は整わない」(同)。

 投資家の信頼回復を重視する姿勢を示すとともに、シリコンバレー型の「ベンチャーを育てる土壌がある」というイメージを前面に押し出している。

 その上で将来の成長性を示す適切な事業計画を重視。先端技術がある場合には、その技術について説明する関連書類の提出を義務付け、新設する技術評価組織「アドバイザリー・コミッティー」がこれを評価するという仕組みも導入した。

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 サムライワークスは11月8日、スポーツデータを提供するデータスタジアムと提携し、野球やサッカーの試合速報など、スポーツ情報を配信できる「スポーツウィジェット」を販売開始した。

 スポーツウィジェットは、データスタジアムが提供する試合速報やスコアボード、順位表といった情報提供機能を装備しており、プロ野球、Jリーグ、メジャーリーグ、欧州サッカーなどのデータに対応している。

 「試合速報やスコアボードなどのスポーツデータはRSS配信されておらず、試合結果が気になる場合もユーザーはポータルサイトなどで確認するしかなかった。こうしたデータをウィジェットで提供すれば、いつでも簡単に試合内容をチェックできる」(サムライワークス)

 サムライワークスはこのウィジェットを企業に販売し、企業のロゴやカラーなどに合わせた形式で提供する。制作費は60万円からで、運用費は、ログ解析システムやスポーツ情報配信料も含め、月額22万円からとなっている。

 コスト削減を主な目的として、サービスやIT業務を国外の企業に委託するオフショアリング。マルチリンガルアウトソーシングは、この分野を専門的に手がけるベンチャーだ。

 サービスやITの分野で海外に業務委託を希望する企業が増えることを見越し、2004年11月に設立。オフショアリング一筋に取り組み、市場を開拓し続けてきた。

IT関連業務をすべて請け負う

 同社の事業は、IT関連の業務を海外に委託する受発注の管理。印刷会社やウェブ制作の会社などから、システム開発やHTMLのコーディング、画像加工、翻訳、不動産の間取り図の加工など、さまざまな業務を受注して海外のパートナー企業に発注する。業務が完了すると検品し、発注者への納品を行う。発注者が画面に必要事項とデータを入力すると、自動的に加工済みのデータを受け取れるシステムなども自社で開発したという。

 パートナー企業は、中国に33社、インドとベトナムの企業を合わせると約40社ある。それぞれ自国でウェブ制作や画像加工、図面の制作などを行っている企業だ。

 「パートナー企業は自国で同じ業務をしているので、日本企業からの受注でも少し手を加えるだけでクオリティを維持したまま安く請け負うことができます」(代表取締役の石倉良和氏)。

「アメリカの電話をインドで受ける」驚きから創業へ

 創業のヒントになったのは2003年ごろ、アメリカの保険会社のコールセンターがインドにあることを知った新鮮な驚きだった。「日本の労働人口は減少し続けている。コールセンターだけでなく、外国に業務を委託したいという要望は増えるのではないか」と思いついた。

 もともと石倉氏は「何かの分野で世界一になりたい」という野心を持っていた。「何か」をビジネスで実現しようと、大学卒業後に単身中国に渡って起業。1996年から8年間、エンターテインメントのコンテンツ流通を中心に中国に進出する日本企業のコンサルティングや不動産業を手がけ、事業を成功させた。しかし「一生かけてやっていきたいと思えなくなり」再スタートを決意。

 業務委託にビジネスチャンスを見出すと、日本企業が事業を委託するのに一番適切な国は中国ではないかと考え始めたという。人口が多く、日本語を話せる人も多い。また、同じ漢字の文化圏だ。それならば石倉氏の中国での8年間の事業経験を活かすことができ、それがアドバンテージになると考えた。

オフショアリングのリーディングカンパニーになる

 現在、製造業を中心とした多くの企業は、中国に生産拠点を移している。「大企業は現地に生産拠点を作ればいいと思います。でも拠点として稼働するまでには大変な時間とコストがかかります。中小企業には同じことはできない」。それらに細やかな作業内容まで対応できるのが同社の強みだ。

 最近では、携帯電話に配信する電子コミックのすべてのコマに着色する業務などを請け負った。受注する業務の種類は増え続けているのだという。

071109_multi.jpg同社の受付には、北京オリンピックの公式マスコットが飾られている。

 石倉氏は今、文化や言語、また個人の能力に依存せずに作業指示をできる仕組み作りを模索中だ。外国語を話せても、それが作業指示として通じるわけではないということを知り尽くしているからだ。文化や言語の壁を超え、指示内容を共通で認識できる「コマンド」を作っていきたいという。それらを作って「オフショアリングの発展に寄与し、この分野のリーディングカンパニーになりたい」と熱心な口調で語った。