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2007年4月27日 20時34分

事業計画っていったいどんなもの?

石田朝子(未来予想 パートナー)

 前回、ベンチャー企業の内部統制をまとめてみましたが、今回は事業計画の実務についてまとめたいと思います。

 まず、みなさんの会社には事業計画書というものがありますか。それはどんなものでしょうか──。「事業計画書の書き方」といった書籍は書店に流通していますが、何を目的にするかで事業計画書の必要な項目は違ってきます。

 今回は、ベンチャー企業の皆さんが、株式上場することを中期的な目標として、会社の事業計画書を株主や金融機関に提示し、説明をするというシーンを思い浮かべながら、事業計画書には何が記載されているべきかをまとめてみます。

事業計画書に必要なものは

さて、みなさんの会社の事業計画で、下記をすべて網羅しているものがどれだけありますか。みなさんの会社の経営陣で、それらをすべて口頭でも説明できる方はいますか──。

1.会社概要・会社の沿革

2.役員の略歴

3.株主構成

4.事業の概要

5.ビジネスモデル、決済エンジン説明

6.マーケティングデータ、類似企業との比較、参入障壁等の説明

7.事業の課題やリスク

8.長期ビジョン

9.短期利益計画(短期…1年をP/Lベースで月次展開したもの)※数値データ

10.中期利益計画(中期…3年〜5年をP/Lベースで年次展開したもの)※数値データ

11.中期資産計画(中期…3年〜5年をB/Sベースで年次展開したもの)※数値データ

12.資金繰り計画(短期…1年をC/Fベースで月次展開したもの)※数値データ

13.資金繰り計画(中期…3年〜5年をC/Fベースで年次展開したもの)※数値データ

14.資本政策 ※数値データ

 おそらく、あるものとないものが点在しているのではないでしょうか。仮にあったとしても、数値データのあるページはそれぞれリンクがとられていてつじつまがあっていますか。資金調達したら、調達金額は資金繰り計画に反映され、B/Sにも反映されていますか。資金繰りは支払い・入金サイトを計算していますか。消費税も掛け算していますか──。

 端的に申し上げますと、上記がすべて出揃った状態で初めて投資家や金融機関に説明ができる状態である、ということです。その上でいろんな意見をもらうということになります。つまり、これがなければ、投資家や金融機関と自信をもって話をすることができない、ということになりますね。

 また、数値データに関していうと、その数値データを算定した根拠、また、この会社にとっての重要指標(売り上げやコスト構造を因数分解した指標)なども当然問われることになります。

 社長の人柄やプレゼン能力、過去の実績だけをもって、投資家と話をすると、後々自社のクビを締めることにつながります(どこかでつじつまが合わなくなる)ので注意が必要です。

 下の<図表1>に、事業計画(特に数値データ)のデータフローをまとめました。こちらを見れば分かると思いますが、すべての数値データはリンクされていて、一点が変われば、すべてが姿を変えることになります。「すべてのデータがリンクしているのに、あれがあるのにこれがない…」という場合には、つじつまのあわない数値データになっている可能性があります。

 また、図の黄色くなっている枠(重要指標、人員計画、投資計画)が変われば、一気にすべての数値データが変わっていく理屈になります。

 例えば、ECサイトの運営をしている会社は、重要指標に会員の獲得数値や会員の獲得コストなどを使うケースがありますが、それが大幅にズレることで、すべての計画がずれ、資本政策にまでズレが生じるということにもつながります。

画像の説明 <図表1>事業計画のデータフロー

 ここまでくると、もはや経営者の頭の中のイメージだけで構成できるものではありません。また、イメージだけでは、当然、外部への投資家に伝えることもできません。経営陣のイメージを数字に落とし込むことが重要なタスクであり、事業計画というものの存在は、単純なビジネスモデルをまとめた紙ではないということです。

 下記は事業計画を確認する時にチェックする主なポイントの一例です。ぜひ自社の計画書類と照らし合わせて自問してみて下さい。

・重要指標があるか。もしあれば、その重要指標をコントロールするために営業活動や投資がなされているか。

・売り上げ、人員計画、コストをどんぶり勘定していないか。

・投資とコストをしっかり判別できているか。エクイティファイナンスと融資をしっかり使い分けて調達計画を立てているか。

・資産になるものとならないものを区別しているか。それがB/Sに計上されているか。

・資金繰り計画は入出金サイトを反映しているか。消費税や社会保険、他税金等は加味しているか。

・資本政策は将来にわたり計画されているか。新株を無用に発行していないか。資金繰りに反映されているか。資金調達分がB/Sにも反映されているか。

 最後に、当社で事業計画のお手伝いをする際によく使うシートをご参照ください(※サンプルファイルの中身の数値データは仮想のペットグッズサイトをまとめたもので実在しない数値データです)。

ダウンロードファイル(1):「利益計画の算定シート

ダウンロードファイル(2):「中期計画のシート

 会社の特性に応じて変動はしますが、非常に大きな労力をかけることになります。ただし、これをまとめることではじめて事業のスタートをできるという側面も持ち合わせているということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

 次回は資本政策についての実務ベースで何を勘案するべきかを中心にまとめたいと思います。

※本コラムは毎週金曜日(祝日を除く)に掲載します。

未来予想パートナー
石田朝子

1975年生まれ。埼玉県出身。教育者として中高一環教育機関での教師の経歴をもつ。その後、システム開発系のベンチャー企業への転身を機に人事労務を中心とした管理部門機能の経験を経て、現在、未来予想にて、ベンチャー企業向けの経営企画・管理・財務部門のコンサルティングならびに実務支援の専門家として活動をしている。

未来予想の主なベンチャー支援向けサービス:簡易内部統制診断「無料企業診断」、資金調達支援サイト「資金調達.bz」(登録無料)