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資金調達活動の傾向と対策

中村知子(未来予想パートナー)
2007年10月12日 08時00分


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 ベンチャー企業がその成長を加速させる手段として避けては通れないものが資金調達ですね。当社では多くのベンチャー企業の資金調達活動の側面支援をしている経験から、昨今の資金調達活動における傾向と対策を中心とした見解をまとめてみたいと思います。

”モテるベンチャー企業”の傾向

 ベンチャー企業に投資するにあたって、投資家はいったいどのような部分を重きにみているのでしょうか。当然多岐にわたり包括的なものになりますが、市場環境において重要ポイントが変化する傾向があります。

1)ビジネスモデルの革新性

 今ではもう昔話になりつつありますが、1995年から2000年あたりは、ネットバブルの兆候が現れ、そしてそのネットバブルが絶頂に達し、そして崩壊していくという荒波がありました。実はこの時代に最も重視されたのはビジネスモデルの革新性だったと思います。今となっては普通のことも、当時は革新性がありました。「インターネットで○○を販売する」、「インターネットで○○の比較をして広告収入をとる」、「インターネットで・・・・・・」等、すばらしいビジネスモデルでした。インターネットという言葉を絡めることでビジネスモデルを金箔でコーティングすることができた時代でした。

 では、この時代にビジネスモデルが革新的であれば何でもモテたのかというと、そうではありません。あくまで「インターネット」がキーワードであったのです。ちなみにネットバブルが崩壊した後に、モテる会社のキーワードといえば「バイオ」、「ナノテク」、「ドロップシッピング」、「SNS」、「モバイル」と変化していきますが、このようなモテキーワードが短い時間軸で入れ替わっていっていることが傾向としてあろうかと思います。

2)経営トップ

 これは筆者自身も常々思うところですが、ベンチャー企業の経営トップというのは非常に大きな役割を果たします。創業期、成長期はビジョナリー兼マネージャー兼プレイヤーでもあるからです。これは市場環境に限った話ではありませんが、経営トップが総合的に優れていることが最低レベルであり、更にとがった能力を持ちあわす人材であるならば、いずれに「ヒト・モノ・カネ」が集まるだろう、と容易に推測ができます。経営トップに対しての定性評価というのは、実は、どのような市場環境においてもマスト条件ともいえる部分でしょう。

3)成長実績

 投資判断においては、過去の実績や足もとの数字というのをチェックされます。赤字はNG、黒字はOK、という単純なものでもありません。重要ポイントは「成長」だと筆者はとらえています。企業の成長は必ず数字で表れます。さらにベンチャー企業というのは、どれだけ複雑なモデルやしくみを企画しても、社会的には小さい規模なのです。よって、その小さい規模での成長尺度は極論2つに絞られてくるのではないかと思います--「売上高が成長しているか」、「人材が集まっているか」--極論ではありますが、実はこの2点に集約されると思います。

 成長を連想できない典型的なパターンとしては、「数年来にわたり売上が横ばい&人材が横ばい&利益が少しだけ」こういう会社は調達活動を苦労するかもしれません。投資家は、投資により成長ができる、ということを直線的にイメージしたいのです。従ってお金で解決できない阻害要因がある場合には非常に難色を示す傾向がありますので、心あたりがある場合にはその阻害要因の解決策を準備しておくことをお勧めいたします。

4)ヒト

 昨今はマクロ的にもヒト(人材)というのもが非常に重視されています。大企業が新卒人材を積極雇用シフトしている状況からも、ヒトを集める、ヒトが成長する、ということを重要視点としてとらえていることがわかります。よって、高収益を社長1人・スーパー営業マン1人で稼ぎだしている会社よりも、組織力にて支える形の企業のほうが評価は高いでしょう。特にベンチャー企業は採用に苦労する時代であるということから、人材を雇用し、成長させ、収益貢献させる、そして離職者が少ない、というのが1つの重要な基準となります。特にベンチャー企業ではヒトをお金でつなぎとめることはできません。成長環境の提供や、キャリアパスイメージ、成功イメージ、あらゆるイメージを全社共有することが会社の礎になるのではないでしょうか。

最低限抑えるポイント

 前項に傾向をまとめましたが、今まさに2007年下半期を定点観測すると、上記の「経営トップ」・「成長実績」・「ヒト」の3つが最も重視されるポイントと筆者はとらえています。ビジネスモデルは決済エンジンを搭載したモデルであることは最低限必要ですが、革新性が必須かというと、そうでもなかったりする傾向があります。むしろ、革新モデルは、地に足のついた利益の上に創造するものであり、健全な企業経営の結果についてくるものと扱うのが投資家に対しては心証よくとらえられるのではないでしょうか。

 今回は投資家目線の傾向をまとめましたが、次回から資金調達の具体的な手法やその事務にいたることまでをまとめていきたいと思います。

未来予想パートナー
中村知子

会計事務所での様々な業種の会計・税務コンサルティングの実務経験。その後、転職を機にIPOに向けた管理部門整備の経験を経て、現在、未来予想株式会社にてベンチャー・中小企業向けの経営企画・管理・財務部門のコンサルティングならびに実務支援の専門家として活動中。

未来予想の主なベンチャー支援向けサービス:「EIP型マネジメントASP Miraizβ(登録無料)」、資金調達支援サイト「資金調達.bz」(登録無料)

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