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大手とベンチャー連携の肝は“人”

田中誠
2007年05月28日 20時26分


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 大手の事業会社とベンチャー企業の連携には、現実的に様々な困難が伴う。規模やスピード感の違う両者の距離感、付き合い方、事業提携と資本提携をどう両立させるか。また、それぞれの得意分野をどのように生かすのか──。

 コーポレートベンチャーキャピタルを特集する第2回目は、大手側の熱心な現場担当者の存在により、それらの課題を超えた成功事例を報告する。

 志津由彦氏は住友商事の投資部門に勤務。アライドアーキテクツの中村壮秀氏は、住友商事からゴルフダイジェスト・オンラインを経て独立。元住友商事という二人が、投資する側と投資される側の視点で事業会社とベンチャー企業の連携について語る。

勝屋氏:コーポレートベンチャーキャピタル特集の2回目、今回は住友商事の志津さんと、アライドアーキテクツの中村さんがゲストです。まず志津さんから、コーポレートベンチャーとしての住友商事の戦略について、事業上どう位置づけしていて、どんなことを狙いとしているのかを教えて下さい。

志津氏:私が所属しているのは投資開発部という部署です。金融事業本部の中にあって、基本的にはバイアウト投資、ベンチャー投資、M&Aのアドバイザリーといった、プライベートエクイティ分野で総合商社のビジネスを実践する目的で2000年4月にできた営業部隊です。住商の投資の経験やノウハウを集約させた部署とも言えるでしょうね。

 ベンチャー投資に関しては2つの目的があって、ひとつは住友商事が持つ事業リソースを最大限に活かせる投資をすることです。具体的には食品スーパーやケーブルテレビ事業、物流会社、海外のネットワークなどとの相乗効果を狙っています。もうひとつは逆に住友商事の事業にはない、まったく新しい動きを捉えるために投資をしていくということです。これは言ってみれば住友商事にフィードバックすることで新しい事業パートナーを自ら見出していきたいという意味もあります。

 投資開発部では、技術イノベーション、ライフスタイル変革、GDP成長率の3つをキーワードとしています。私は主にWebサービス、モバイルサービス、コンテンツ、eコマースという分野の担当です。投資スキームとしてファンドを利用することもありますが、基本的に住友商事の本体で行います。本体投資なので社内的に稟議を通すための制約は多いですが、通した後は逆に取締役や執行役員までもが応援団になってくれますし、住友商事グループの一員として見てもらえるのでやりやすいですね。

中村氏:単なるVCではなく、事業会社なんですよ。証券取引所はVC比率が高い会社を嫌がる傾向がありますが、志津さんのところはVC的なお金の入れ方をしてくれるのに事業投資会社なので、それが投資される側としては嬉しいです。

勝屋氏:今まで国内のベンチャー企業には何件くらい投資されてるんですか。

志津氏:投資開発部でベンチャー投資に関わるメンバーは6人程度で、累計で40件を越えるくらいです。面白いのは、全体の3分の1くらいは他の部門と共同投資をしていることです。名義としては住友商事なんですが、たとえば不動産関連だったら不動産部門と一緒に投資するケースなどがあります。その企業に住友商事として何ができるのかを考え、社内で情報交換をした上でパワーを発揮した投資ができるというのは強みだと思います。

勝屋氏:パーセンテージ的な意味での投資のスタンスはどうされていますか。

志津氏:本体で投資をしているので20%以上なら連結になってしまいますし、そうなるとベンチャー企業として窮屈に感じることもあるでしょうね。ですから大体、数パーセントから十数パーセント程度がお互いに心地よいのかなと思います。

勝屋氏:中村さんは住友商事出身で、ゴルフダイジェスト・オンラインの創業メンバーとして活躍された後、アライドアーキテクツを設立されました。どんな思いでこの会社を作られたのですか。また、会社としての強みも教えて下さい。

中村氏:ゴルフダイジェスト・オンラインをやっていたの頃のベンチャー企業は、社内で企画を立てて技術を外注していくというパターンが多かったんですね。でも、いろいろ経験していくうちに、技術を内包しているベンチャー企業の方が足腰が強くなることに気づいたんです。

 昔から成功した企業でも、例えばソニーやホンダなどはビジネスマンと技術屋さんのマッチアップがうまくいった企業だと思うんです。それをインターネットの分野でやれている会社はまだないと思うので、そこを狙った会社を立ち上げたいと考えました。

 ですからアライドアーキテクツは、4人の取締役のうち、私を含めた2人がビジネスマンで、あとの2人が技術屋です。そういう布陣を敷いたのがひとつの特長だと思います。

勝屋氏:事業としては大きく2つの柱があると聞いています。

中村氏:個人向けと法人向けのサービスがあって、個人向けでは、口コミサイトを簡単に作れるシステムとイベント開催システムを提供しています。法人向けでは、口コミサイト作成ツールを企業にASPで提供することです。これからはブログのように簡単にホームページを構成する時代になると思っていますので、CMS環境の提供も行っています。

住友商事 投資開発部 成長企業投資チーム 課長代理
志津 由彦(しづ・よしひこ)

早稲田大学大学院理工学研究科(物理学及び応用物理学専攻)修了後、1999年住友商事に入社。財務部門にて債券・為替・株式などのディーリング業務を担当後、新規金融事業のプロジェクト担当を経て、2001年より投資開発部に所属。ファンド組成、M&Aアドバイザリーなどを経験し、現在は主にウェブサービス、モバイルサービス、eコマース、コンテンツ分野の成長企業への投資、事業拡大支援、企業価値向上支援を行っている。また、2005年にサンブリッジと共同で設立したMSCインベストメントLLPでの投資活動も進めている。

趣味:映画鑑賞、料理、お笑い

投資先: アイスタイル、オークセール、モブキャスト、ビットレイティングス、アライドアーキテクツ、Style1、ネットエイジア、FAEC、阪神酒販、もしも、マイネット・ジャパンなど。

中村さんの第一印象は「噂通りの元気な人でした(笑)。自己実現するためのフィールドがたまたま外のベンチャーにあったという部分に共感しました。お互いに思いを共有してきている感じがします」

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