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 コーポレートベンチャーキャピタルでは、投資先に対し、資本のつながり以外にも、事業同士のつながりによる事業シナジーが求められることもある。

 投資する側、投資される側。双方が信念を持って展開する事業が、コーポレートベンチャーキャピタルという存在を通じて、どのようにして新たな価値を生み出しているのか。また、そのための条件とは何か──。

 コーポレートベンチャーキャピタルを特集する第1回目は、サイバーエージェント・インベストメント社長の西條晋一氏と同社キャピタリストの鈴木麻美氏、ジー・プラン社長の渡辺浩氏が対談する。

勝屋氏:これから3回の対談はコーポレートベンチャーキャピタルを特集していきたいと思っております。私自身も形式は少し違いますがコーポレートベンチャー事業に6年以上携わっており、とても関心のある分野です。一般的にコーポレートベンチャーキャピタルは自社事業とのシナジー(相乗効果)にフォーカスするなど、キャピタルゲインの獲得を主とした通常のベンチャーキャピタル(VC)とは異なった独自の活動をなさっていると思うので、その実体にせまり、ゲストの皆さんに率直にお伺いしていきたいと思います。

そこで今回のゲストは、IT系企業を対象としている代表的なコーポレートVCのサイバーエージェント・インベストメント社長の西條晋一さんと同社キャピタリストの鈴木麻美さん、同社投資先でジー・プラン社長の渡辺浩さんです。

 まず、西條さんからお伺いしたいのですが、どういった経緯でコーポレートVCを始めたのか、その特長やフォーカスエリアなども含めてお聞かせ下さい。

西條氏:実は上場する前から投資はしていて、最初は藤田(サイバーエージェント社長の藤田晋氏)を中心とした経営者のお付き合いの中で投資を何件かやっていたんです。僕も個人的にVCには興味があって、やりたいなと思っていました。ただ、2000年に上場したあと、しばらくは上場赤字だったんですね。黒字になったのは2003年の第2四半期からなのですが、その頃には利益面でも事業が軌道に乗ってきたので、もう1回投資を開始し、本業としてやっていこうということになったんです。

 サイバーエージェントはほぼインターネットの事業領域をカバーしていますし、インターネットにフォーカスすれば一緒にできる部分も多いんですよね。ファイディングの情報量もありますし、どういうところが伸びているのかという目利きもできる。投資させていただいたあとも当社の広告代理事業で、お手伝いができるというわけです。これなら本業でやってもいいんじゃないかと思い、2004年の終わりから本格的に投資事業をスタートしました。

勝屋氏:最初はファンドで始められたのですか。

西條氏:そうです。20億円弱のファンドで始めました。ただ、サイバーエージェントの名前で投資して欲しいというニーズが高まっていったことと、年間の投資額も自己資金で十分賄える範囲だと分かったので、現在は外部調達から自己資金での投資に切り替わってます。

勝屋氏:投資の担当は何人くらいいますか。

西條氏:キャピタリストで8人。一番若い人は入社して1年です。最年長は34歳で、平均年齢は28歳くらいです。やはり若い人の方がユーザー感覚としてのセンスはいいんですね。そういうキャピタリストの層も張っておかないと、ユーザーサイドからの評価がしづらくなってきているんです。8人のうち3人が女性ですし、特長としては若く、女性も活躍しているVCと言えると思います。

勝屋氏:海外へも積極展開されていると聞きましたが。

西條氏:我々のコンセプトはあくまでITに特化したベンチャーキャピタルですので、規模を拡大しようとして分野を広げてしまうと強みがなくなってしまうんですよね。その代わりに選んだのが地域の拡大だったんです。

勝屋氏:場所としては中国などでしょうか。

西條氏:そうですね。中国は市場も大きいですし、ステージ的にも日本の2002-2003年くらいなので。米国にも人を置いているんですが、米国の場合は投資するというより、IT関連の最新情報を持ってこようという視点です。

勝屋氏:先ほど、ほとんど自己資金に切り替わっているというお話でしたが、サイバーエージェントと、サイバーエージェント・インベストメントの切り分けはどうなっていますか。

西條氏:いわゆる国内のマイナー投資はすべて本体投資に切り替わっているので、サイバーエージェント・インベストメントでは違う目的の投資、たとえば中国など海外案件や、金額が大きくかつシェアを大きく取っていく案件などは本体でリスクを背負ってやるべきではないという意見もあって、これはインベストメントの傘下のファンドでやっています。

勝屋氏:サイバーエージェントがリードを取っていくといういうより、比較的マイノリティな投資が多いと思うんですが、今後はリードを取ってやっていくというようなことは考えていますか。

西條氏:シードやアーリーなどの早い段階で多く投資して、徐々に減らしていって15%以下で上場ということはあると思います。ですからステージが若ければありだと思いますね。

サイバーエージェント・インベストメント
鈴木麻美(すずき・あさみ)

大学時代より起業家ネットワーク運営に携わるなどベンチャー支援活動に従事。国内外の企業のインターンを経て金融系ベンチャーキャピタル安田企業投資に入社。主にインターネットビジネスへの投資に従事する。その後、ベンチャー企業の新規事業立ち上げを経て2003年サイバーエージェント入社。外国為替保証金取引サービスを立ち上げた後、2005年より投資育成事業部にてITベンチャーの投資育成業務に従事。2007年MVP(ベストプレイヤー賞)受賞。専門領域はインターネットビジネス全般で特にCGM、Eコマース、アフィリエイト、ドロップシッピング、ポイントビジネス、ライフスタイルビジネスなど。

趣味:料理(不定期で週末に料理教室を運営しています【Asami’s Kitchen】)、レストラン食べ歩き(日本フードアナリスト協会認定フードアナリスト、食に関するブログも執筆中=「お家でレストランレシピ」)、テニス、ダイビング

投資先: 前職にて、ネットエイジグループ(2006年8月30日マザーズ上場)、ラクーン(2006年4月6日マザーズ上場)。現職では、インタースペース(2006年9月19日マザーズ上場)、AQインタラクティブ(2007年2月28日JASDAQ上場)、ジー・プランリアルコミュニケーションズウェブシャークなど。

勝屋氏:では次に、渡辺さんからジー・プランがどんな会社か、その特長も含めてお聞かせ下さい。

渡辺氏:分かりやすく言うとポイントの両替商というところでしょうか。ポイントを扱う会社はたくさんありますが、通常は自社のポイントを発行してそれを何かに変えるというものが多いです。弊社の場合は、Gポイントを軸に加盟企業各社のポイントを相互交換できるというのが一番の特長になります。

 おかげさまで1日1000人くらいのペースで増えていまして、現在150万人くらいの会員がおります。交換接続企業も125社まで増えてきました。

勝屋氏:そもそもサイバーエージェント・インベストメントがジー・プランに投資することになったきっかけは何だったのですか。

鈴木氏:私は以前、外国為替保証金取引サービスの事業立ち上げを担当しており、顧客獲得のためのプロモーションができる媒体を探していたんです。その時にジー・プランと知り合って1年くらいお付き合いしていたんですが、ジー・プランはユーザーの質がすごく高く、1ユーザーあたりの入金額が高かったり、アクティブなユーザーが多かったりと、この媒体は今後大きく伸びるんじゃないかと思っていたんです。加えて、ユニバーサルポイントサービスとしてのビジネス拡大の可能性も感じていましたし、サイバーエージェントとしても広告販売の部分でご協力できるのではないかと考えていました。その後に投資事業が始まったので、このジー・プランさんにぜひ投資したいと思いました。

 投資するまではある程度時間がかかったんですが、2005年の3月に投資させていただいた、というのが投資に至るまでの経緯です。

西條氏:ジー・プランとお付き合いが始まった段階ではそもそもVC事業はやっていなかったんですよ。彼女は外国為替保証金取引サービスの事業担当で、さまざまな媒体とお付き合いがあったのですが、特にジー・プランからのユーザーの流入が多いので注目をしていたということです。それで投資事業が始まって、どこに投資しようかと思っていた時に、彼女はジー・プランがいいと思ったわけです。つまり、クライアントとしてのユーザーだったということですね。

 今、ユニバーサルポイントサービスという話が出ましたが、ジー・プランは航空会社などとも組んでいて、普通のベンチャー企業がやろうとしても組めない相手と組んでるんですよ。それは今からやろうと思ってもなかなか入れないと思いますし、すごい魅力ですよね。

渡辺氏:現在、ANA(全日本空輸)さんとは直接交換ができます。JAL(日本航空)さんも「Yahoo!ポイント」を通じてGポイントと交換できるので、結果的にどちらも交換できるようになっています。

西條氏:加盟企業のポイントの有効期限が切れそうな時、事前に交換しておけば保存もできるんですよ。

勝屋氏:今は投資が始まってオペレーションもされていると思いますが、現在経営されていてサイバーエージェントと組んで助かったと思うところがあったら教えて下さい。

渡辺氏:先ほどポイント交換の話をしましたが、実はその部分ではあまり収益は上がらないんです。そこを上げようとするとユーザーさんにとっては目減り感が出ますからね。ですから収益モデルとしては、150万人の会員に対するウェブ広告やメール広告が主となります。その広告に関しては圧倒的にサイバーエージェントに広告代理店としてお世話になってます。

鈴木氏:投資する前はほとんどサイバーエージェントはジー・プランの広告をほとんど売ってはいなかったんですが、投資後に営業の勉強会などをしながらサポートしていって、売り上げも伸びていきました。

勝屋氏:売り上げが伸びてくるまでの期間ってかなりかかるケースもあると思いますが、どれくらいかかりましたか。

渡辺氏:すぐでしたよ。投資をしていただいた直後から着実に伸ばしていただきました。あともうひとつ、サイバーエージェントと組んで助かった点としては、ポイントの提携先ですね。その提携先の紹介などもいつも鈴木さんにはお世話になってます。

勝屋氏:サイバーエージェントはジー・プランと同じような事業にも投資されてますが、そのあたりはどういう切り分けをされていますか。

西條氏:経営情報などに関してはファイアーウォールが引かれているので、そこで問題になることはありません。その上での話となると、サイバーエージェント側としては、ネットの世界はまだ競合などを意識してはダメな産業だと思うんですよね。サイバーエージェント自体もインターネット広告代理事業からスタートして、利益率を改善するためにインターネットメディア事業も事業の柱として展開しているわけですが、そうすると広告代理店事業が売っているメディアと競合している上に、さらに自社媒体を競合の代理店などに売ってもらったりしてるわけですから。

 ですが、そこの競合を意識するよりもインターネット業界としてまずは市場を大きくするのが先なのかなという気もしています。

ジー・プラン代表取締役社長
渡辺浩(わたなべ・ひろし)

1960年(昭和35年)生まれ。大分県出身。大学卒業後、リクルート入社。住宅情報事業、旅行情報事業、金融情報事業に携わった後、2006年6月よりジー・プラン代表取締役社長に就任。

勝屋氏:ちまたではWeb2.0などと騒がれてネット系の企業が元気がいいと言われてます。西條さんがネット業界を見て興味があるところ、今後伸びそうなところはどういった企業ですか。

西條氏:やはり個人の能力を活かせるようなサービスですよね。たとえばブログなどでは、商才がある人はさまざまな手法で稼いでます。ソーシャルネットワーキングサービスはもともと、人脈の形成に優れた人がキーマンとなって世の中をネットワークしていく動きですし、ジー・プランのようなポイントやアフェリエイト系の事業も、実際に動かしているのは情報の受け渡しのセンスのある人たちが、ハブになるようなサイトを作って対価とモチベーションを元にやっているわけです。個人の才能が発揮できるという部分と、そのモチベーションの支えとなる収入が得られる事業は今後さらに伸びると思います。

 また、その才能を引き出すために、より多くのことを簡単にできることは重要だと思っています。今注目しているのは、弊社でもオープンしているドロップシッピングの事業です。たとえば釣りを趣味でやっている人がもし釣具店で働いていたら優秀な店員になれるかもしれませんが、実際にはなかなかそうはいきません。そういう時にウェブ上でショップを作っていろいろな情報を提供していけばビジネスになると思うんです。

勝屋氏:西條さんや鈴木さんから見て、渡辺さんはどんな経営者ですか。

鈴木氏:インターネットメディアのみならずリアルなメディアに関してもすごくお詳しいので、インターネットとリアルメディアとの融合という事業戦略においても心強いです。また、信頼感溢れる経営者ですから他社との提携話などがスムーズに運べるので、さまざまな企業をご紹介しています。

西條氏:ユーザーを相手にしたサービスに関して詳しく、しかも愛着を持って取り組んでいただけるのは一緒に仕事をしていても楽しいです。ビジネスはある程度のところまで来ると限界が来るじゃないですか。そこを乗り越えようとする時、その事業が好きで、ビジョンを描ける人が経営しているというのは心強いですね。

勝屋氏:今度は逆に渡辺さんから見て、おふたりの印象はどうですか。

渡辺氏:おふたりとも若いので最初は驚きました。この業界は皆さんそうですが、若くてもすごく勉強されていて、上場企業の経営の中枢で働かれているのはやはり驚きました。

勝屋氏:先ほど西條さんからVCに興味があったというお話がありましたが、そもそも興味を持ったキッカケは何だったんですか。

西條氏:小学生くらいから自分でゲーム会社を作りたいと思っていたんです。自分の思い通りのゲームを作って、その会社の社長になりたいと。それが根っこですね。

 その後、具体的にどうすれば独立できるのかを調べ始めた時に、VCの存在を知ったんです。アメリカで事業に成功した人がエンジェルになって若い人へ投資するというサイクルにすごく感銘を受けて、起業よりもそちらに夢中になってしまったんですね。

 それで学生時代に就職活動をして大手VCから内定をもらったのですが、その頃にベンチャーキャピタリストの人を紹介してもらって、その人から「いきなりVCになるのもいいけど、本当の意味でVCになりたいのなら、まずあなたが独立して何かの事業で成功しなさい。そしてその分野での投資家になるのが本当の意味でのVCですよ」と言われたんです。その時にそれはそうだな、VCになるのは将来の話だな、と思ったんです。それでなるべく幅広く商売をしている商社に入りました。

 商社では、財務に2年、その後、金融部門に2年いました。もちろん勉強にはなったんですが、営業サイドの部署ではなかったので、方向転換が必要だなと思ったんです。その時に雑誌でベンチャー企業のセミナー開催中という記事を読んで、そのセミナーに行ったんですよ。そこで将来は独立したいという話をしたら、担当の方がベンチャー企業でいい経営者を知ってるので紹介しますと言われて入ったのが、サイバーエージェントだったんです。

勝屋氏:鈴木さんはどうしてVCの仕事をやろうと思ったんですか。

鈴木氏:大学2〜3年頃に起業したいと思って、ホームページ制作のプロジェクトなどもやったんですが、実際に起業するにはまだ経験もないし、年齢も若いので、難しいと思ったんですね。そんな時にベンチャーキャピタルの存在を知って、そこに入れば経営や最近のトレンドなども学べるのではないかと思いました。また、ベンチャーが今後の日本を支えていくんのではないかと本気で思いましたし、その中でキャピタリストは社会的な貢献度も高いと思ったんです。キャピタリストになってこれからの日本を支えるようなベンチャー企業を発掘・支援したいと思いました。

 それで大学時代から起業家ネットワークを運営したり、セミナーを開いたりして、さまざまな起業家の方にお会いしたり、国内や海外のベンチャー企業でのインターンを経て、金融系のベンチャーキャピタルに就職しました。ただ、実際に入ってみると、若いというだけで年齢層の高い一部のベンチャー経営者から少々差別的な対応をされることもあったんですね。なので、若くても対等に話せるのは同世代が経営するインターネットビジネスなのではないかと思い、また自分自身がインターネットビジネスが好きだったこともあり、そこに特化して投資していこうと思うようになりました。

西條氏:今、弊社に8人いるキャピタリストの中で、学生時代からキャピタリストを意識していたのは彼女くらいですね。

鈴木氏:学生の頃に志の高かった人とは、今になって偶然会うことも多いですよ。起業してすでに上場してたりして。やっぱり繋がっているなと思うことはありますね。

勝屋氏:投資の基準や、どうやって投資先を見つけるのか、というあたりはどうですか?

西條氏:全体の戦略としては、みんなで勉強会などをして、どの分野が伸びていくかなどは話し合ってます。ただ、それ以上の細かいところは自由にやってますね。起業家のネットワークを持っている人もいるし、ユーザー感覚としていいと思ったところに行く人もいるし、プレスリリースなどを見て行く人もいるし、それぞれですね。

鈴木氏:投資基準は一般的には経営者の資質とか、市場の成長性などですが、それだけではなく私がポリシーとして持っているのは、常に志が高い人、それからしっかりとした営業スタイルを持っている経営者です。たとえば投資する前にパートナーとなれるような企業を紹介して営業に同行するんですが、そこでの営業のセンスやプレゼン力を見て、柔軟性のある営業かつ経営者の志が伝わるような営業ができるような経営者は伸びるなと判断しますね。あとは自分がもしこの経営者の下で働くとしたら、本当に一緒に働きたいかと自分を問いただしたり──。そういう人を惹きつける力、カリスマ性なども重視しています。

勝屋氏:すごくよく分かります。そこは本質だと僕も思います。よく若いベンチャー経営者の方から、VCの方とどう付き合えばいいのかという質問もされるんですが、そのあたりで何かアドバイスはありますか。

西條氏:資本ってその会社の血や肉の部分なので警戒はしますよね。ただ、今の若い起業家は、「ライブドア事件」以降、みんな分かってるんですよ。昔はわけも分からずにVCのお金を入れている経営者もいましたが、今は知識レベルも上がっていると思います。

鈴木氏:まずそのビジネスやビジョンを理解し、感銘してくれるキャピタリストと付き合うのが一番重要だと思います。そしてキャピタリストとのコミュニケーションの機会を増やすことも重要だと思います。

 また、キャピタリストに「この事業の新しい収益源を考えてもらえないか」などどんどん課題や宿題を与えてみてもいいのではないでしょうか。キャピタリストに事業のほうにどんどん入り込んでもらうような仕掛け作りも重要だと思います。

渡辺氏:当然、リターンを求められるわけですが、自分たちがやっている事業に対する共感性とか、それが世の中にどう貢献して、その結果としてリターンが出るんだということを、キャピタリストに理解してもらってるかどうかは大きいと思いますね。

サイバーエージェント・インベストメント代表取締役社長(兼サイバーエージェント専務取締役)
西條晋一(さいじょう・しんいち)

1996年早稲田大学法学部卒。伊藤忠商事入社。同社財務部、金融部門為替部を経て、2000年サイバーエージェント入社。同社新規事業開発室、メールイン代表取締役を務めた後、2002年サイバーエージェント社長室。その後、2002年インターナショナルスポーツマーケティング代表取締役社長、2003年サイバーエージェント事業戦略室室長、シーエー・キャピタル代表取締役社長、ジークレスト代表取締役社長を歴任し、2004年サイバーエージェント取締役に就任。2005年アットパーティー 取締役(現任)、インターナショナルスポーツマーケティング取締役(現任)、2006年サイバーエージェント・インベストメント代表取締役社長(現任)、フィナンシャルプラス代表取締役社長(現任)を務め、サイバーエージェント専務取締役(現任)に就任した。2007年4月現在、ストアファクトリー取締役、サイバーエージェントFX代表取締役社長、ジークレスト取締役なども兼務する。

趣味:旅行、読書、釣り、ラジコン

勝屋氏:おふたりがVCをやっていて、嬉しかったこと、逆につらかったことは何ですか?

鈴木氏:一番嬉しかったことは、なかなか投資させてもらえずやっとのことで投資ができた会社の社長にその会社の上場翌日、「投資をしていただき、本当に良かったと思っています。ありがとうございます」と言われたのが心に響きました。何度も投資を断られたのに、アライアンスの提案をしたり、広告関連の支援などをさせてもらったりして、やっと投資させてもらった会社にそう言っていただけたのはすごく嬉しかったですね。しかもそれを私に直接言うだけでなく、他の経営者に勉強会などで話してくれてたみたいで。

 あと、この仕事を始めて1年目くらいの時に「女性のくせに」みたいなことを言われたことがあったんですが、最近、他のVCさんからその人がわたしのことを褒めていたという話を聞いたんです。私のことを当時は認めてくれなかった人が認めてくるようになったのはやっぱり嬉しかったです。

勝屋氏:それは鈴木さんの情熱と人柄、それから継続して頑張ってきたことが認められたのかもしれませんね。

鈴木氏:逆につらかったことは、投資先の社長が同社の経営状態が悪化した際に、コミュニケーションをとるのが難しくなっていったことです。経営状態が悪くなった時こそ、キャピタリストとして何か力になれないかと思い、顧客のご紹介などをしようと努めたのですが、その社長とコミュニケーションがとりづらくなりました。

 経営者は経営が悪化するとそのことをVCに説明するのを避けたりすることもあると思いますが、私はそのようなときこそ経営状態を把握し、VCとしてなにが出来るかということを話し合っていきたいと思っています。このようにキャピタリストと経営者の信頼関係を築くにはお互いの努力が必要だと感じております。

勝屋氏:女性なりの視点の鋭さもあると感じているんですが、とくに女性の観点からベンチャーキャピタルという仕事をどう捉えていますか。

鈴木氏:この仕事は投資先を見極める力はもちろん必要なんですが、小さな積み重ねが実績につながる仕事だと思うんです。そういう意味では女性の気配りなど、性格的にも女性に向いている部分は多いと思います。最近ではクチコミビジネスなどが流行っていますが、そういう分野は女性が支えているとも言えます。ですから女性の感性も十分に活かせる仕事だと思うので、もっと女性にも興味を持ってもらいたいですね。ただ、実績を出さないと生き残っていけない仕事なので、男性以上の頑張りは必要だと思います。

勝屋氏:では最後に、渡辺さんは将来、ジー・プランをどんな会社にしていきたいと思っていますか。

渡辺氏:ポイント事業をやっているので、世に中のあらゆるところにGポイントがあふれる世界を作りたいですね。あと、組織としては、ジー・プランの中で働いている人間が成長できることも大事だと思うので、そこも目指していきたいと思います。

勝屋氏:西條さんはサイバーエージェント・インベストメントをどういうベンチャーキャピタルにしていきたいと思いますか?

西條氏:特化型のVCというスタンスは守りたいと思います。その上で大きな成功事例を作りたいですね。大学生がこれから始めようというくらいのシード段階からきちんと投資をして、日本ならミクシィとか、アメリカならGoogleやYouTubeのような、爆発的に成功する事例を出して、実績のあるVCになりたいです。

 今、ネット業界はアイディアが出尽くした感じがありますが、一方、ミクシィなどもそうですが、短期間で爆発する事例も1年に1〜2本ありますよね。そういう意味ではこれからが面白いのかなと思ってます。とにかく短期間で大成功という事例が増えると思うんです。

 それはユーザーのリテラシーが上がっているのと、ブログやクチコミサイトを中心として、本質的に良いものをみんなが知る機会が格段に上がっているということだと思うんですよね。ですからそこでいち早く実績を出して、成功事例を作りたいと思います。

対談での氣づき 〜 勝屋 久(IBM Venture Capital Group)

 コーポレートベンチャーの目的を大きく3つに分けると事業シナジー・情報収集・フィナンシャルリターンがあげられる。その中でも事業シナジー〜投資する側の企業、投資をうける側のベンチャー企業とのアライアンスが一番のポイントとなる。

 今回のケースでは鈴木さんの事業部門のオペレーションの経験に基づいた出会いと氣づきにはじまり、実際にユーザーとして、ジー・プランを客観的に評価した点が印象的だった。ベンチャー企業を単なるフィナンシャルバリューだけで評価するのではなくトコトン、ユーザー・市場の視点による、その企業が提供するサービス・製品・メディアでのビジネスの可能性の評価がとりわけアライアンスを成功させるために大切だとあらためて感じた。

 また、投資後にも鈴木さんが汗をかいてポイント提供先の紹介、事業部で勉強会などおこない、信頼関係の構築とリアルのビジネスのサポートをおこなった。企業文化の違う両社の関係を良くさせようと行動は実は至難の業だ。それを地道に鈴木さんが行ったことも素晴らしい。

 そしてインターネットビジネスは効果的なマーケティング手法の一つとして今後も数多くの事業会社とベンチャー企業のアライアンスのチャンスはいっぱいあると思うが、実際に手掛ける人のビジネスセンス・徹底的にお客様・市場の視点・熱い思い・人となり・地道なオペレーションがキーポイントになる。

 サイバーエージェント・インベストメントについて感じることは西條さんと鈴木さん他の皆さんと接していて、若さも勿論ありますが、VCが大好きで情熱がある自由闊達なメンバーで組織されているなと思います。また西條さん自身の魅力も大きい。2004年11月22日に初めて、彼にあったときの印象は鋭い洞察力・先を見る力があり、発想が豊かな人だなと思った。2年半たった今も衰えることはなくむしろ加速している。これが当社の鋭い目利き力につながっていると感じます。今後の彼らの活躍がとても楽しみです。

IBM Venture Capital Group ベンチャーディベロップメントエグゼクティブ日本担当
勝屋 久

1985年上智大学数学科卒。日本IBM入社。2000年よりIBM Venture Capital Groupの設立メンバー(日本代表)として参画。IBM Venture Capital Groupは、IBM Corporationのグローバルチームでルー・ガースナー(前IBM CEO)のInnovation, Growth戦略の1つでマイノリティ投資はせず、ベンチャーキャピタル様との良好なリレーションシップ構築をするユニークなポジションをとる。総務省「情報フロンティア研究会」構成員、経済産業省「Vivid Software Vision研究会」委員、New Industry Leaders Summit(NILS)プランニングメンバー、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小ITベンチャー支援事業」のプロジェクトマネージャー(PM)、富山県立大学MOTの講師などを手掛ける。

また、真のビジネスのプロフェッショナル達に会社や組織を超えた繋がりをもつ機会を提供し、IT・コンテンツ産業のイノベーションの促進を目指すとともに、ベンチャー企業を応援するような場や機会を提供する「Venture BEAT Project」を手掛けている。

ブログ:「勝屋久の日々是々

趣味:フラメンコギター、パワーヨガ、Henna(最近はまる)、踊ること(人前で)