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大学発のベンチャーとVCが生み出す産学連携のダイナミズム

永井美智子(編集部)、田中誠
2007年02月15日 15時52分


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勝屋:郷治さんはいろいろな投資案件をどうやって見つけてくるんですか。

郷治:それは本当にいろいろあります。宮澤さんとの出会いも偶然ですが、そういう偶然の出会いのチャンネルをたくさん持ってないといけないなと思います。そうした偶然の積み重なりの中から何かにつなげるという。どこでどうつながってくるか分かりませんからね。

 一方、フォーマルなことをいえば、東大エッジキャピタルの場合、東大の先生が何か発明する時に大学に提出する発明届出書を、先生の了解がある場合にはチェックできるという機能があります。面白いアイデアがあれば東大TLOとの連携のもとで特許を取って知財として固めた上で会社を作ることもできます。

 学生との出会いということで言えば、東大では起業家の講義などを開く「東京大学アントレプレナー道場」というプログラムがあって、そこで潜在能力の高い人材を探せます。あとは当社のファンドに参加していただいている投資家からの紹介もありますね。

 いずれにしてもどこにどんなチャンスが広がっているか分からないので、そういうチャンスをいかに拾ってものにするかが大切だと思います。

勝屋:そうして見つけた案件の中で、どういうものに投資したいと思いますか。

郷治:コンセプトに核がありつつ、いろんな人に使ってもらえて、アプリケーションに広がりがあるものですね。たくさんの人や企業が使いたいと思うようなコアコンセプトを持っているかというのが重要です。当たり前のことなんですが、単純に技術が良いから投資するということはなくて、その技術がしっかりしていて、なおかつ広がりがあるものが基準になりますね。

勝屋:東大エッジキャピタルを今後どんなVCにしていきたいですか。

郷治:東大エッジキャピタルのようなコンセプトでやっているVCは珍しいと思うんです。シードの段階からいかにビジネスを生み出すかという難しい領域で、なおかつそれを商品やサービスにして金銭的なリターンを出していかなくてはいけないわけですからね。でもそれをスムーズに循環させてこそ産学連携のスパイラルができると思います。基礎研究をもとにしたベンチャーにお金を注ぎ込むことが実はファイナンシャルなリターンを上げうるんだということを証明していきたいですね。

 あとは、社会から見ればひよっこに見えるかもしれない若い学生や卒業生が始めたサービスが、実は世の中を変えるようなビジネスになるんだということも証明したいです。

勝屋:宮澤さんは同じような若い経営者に対して、VCとの付き合い方に関するアドバイスはありますか。

宮澤:若い人からすると見たこともないような金額が動くわけですよね。ですから投資する前の段階で気持ちいいことばかり言う人はだめだと思います。結局は人間関係が一番重要なので、じっくりと関係を作って、何でも相談できるという間柄になってから本格的な話をすればいいんじゃないでしょうか。

 投資をしてもらうまでが重要なんじゃなくて、投資してもらってからが重要なんですよね。社外役員などで参加してもらって上場までずっと一緒にやっていくわけですし、投資してもらったあとに結果を出すことの方がずっと大変なんです。だからとくにリードインベスターとなるVCは人間で選ばないとだめだと思います。

勝屋:シリウステクノロジーズを今後どのような会社にしていきたいですか。

宮澤:先ほども少し言いましたが、やはり世界を相手に商売をしないといけないと思っています。もちろん、まずは日本からなんですが、いつかは必ず世界に出ていきたいと思っています。

 以前、お台場から見た風景ですごく印象に残っていることがあって、それはすごく沢山の窓なんです。その窓があるひとつひとつの場所にMicrosoftのOSが入っているパソコンがあって、Yahoo!やGoogleで検索している人がいる、と考えたらすごいことだなと思ったんです。それらを始めたのはわずか数人の学生ですからね。僕もいつか海外に行った時に、窓があるひとつひとつの場所で当社の商品やサービスが使われている、そんな会社を作りたいと思っています。社名も、技術をベースとした輝く会社にしたい、という思いで名づけたものなんです。

 これを実現するのは、社長を筆頭に社員全員のそうなりたいという思いに尽きるんじゃないでしょうか。Microsoftだって歴史的に見れば運がいいですよね。でも、その運の良さはそこで働いている人たちの働く時間や情熱の濃さによって大きく左右されると思うんです。今、残っているIT企業はみんな運が良かったと思います。適切なタイミングで適切な人と出会って、うまくビジネスを拡大させて・・・。確かにマーケティングのテクニックがうまかったなどのいろいろな要因もあると思いますが、やはり経営者とそこで働く人たちの情熱が大きいんじゃないでしょうか。ですのでシリウステクノロジーズという会社も、僕自身が人一倍情熱をもって、みんなと一緒に大きなことにチャレンジし続けたいですね。いろいろな苦難があっても諦めずに続けていれば、きっといつか実現できるのではないかと考えています。

「興起業家精神」 宮澤氏が起業したときにNTTデータ代表取締役副社長(当時)の品川萬里氏からもらったという書。シリウステクノロジーズで大切に飾ってあるという
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