2008年3月14日 18時32分
三田隆治
シリウステクノロジーズは2008年2月10日に開催された「Tech Venture 2008」で国内の有望なベンチャー企業10社に選出された企業だ。同社は「位置情報に付随して表示するマッチング広告」という、モバイルならではの広告手法を開拓している。東京大学在学中の2004年に学生起業家として同社を創業した宮澤弦社長に、中核サービスである「AdLocal」や今後のビジョンについて聞いた。
AdLocalは、2005年末からテストサービスを開始して2006年春から本格稼動を開始した当社の中核サービスです。
分かりやすく言うと、オーバーチュアやGoogleアドワーズが、「キーワードにマッチした広告を表示するリスティング広告」だとすれば、AdLocalは「住所に対するマッチング広告」です。近くにいる人に、単価が高くてクリック率の高い広告を提供するというコンセプトのもとに地域広告を提供しています。
たとえば、提携メディアのひとつである「モバゲータウン」の表示例で言いますと、サイト内に「タウン」いうメニューがあって、日本中のローカル地図が表示されていてユーザーが家を建てたりして遊べるのですが、場所ごとに当社の地域広告が掲載されています。そこをクリックすることでユーザーはクーポンをゲットできたり、あるいはその地域の求人情報などを見ることができます。
広告が掲載されるサイトの仕様によってさまざまですが、サイトのページ自体が緯度経度情報を持っている場合もありますし、また、クリックすることでGPSを用いた位置情報をこちらに送ってもらって、地域の広告をマッチングしている場合もあります。
AdLocalでは、GPSだけではなくさまざまな位置情報を処理しています。たとえば、「渋谷」などのクエリが入力された場合は、地名をいったん緯度経度情報に変換して当社が蓄積している地域ごとの広告にリンクさせます。他にも、基地局情報や、(NTTドコモの)iエリアなどから変換することもできます。
「位置情報」と言っても本当にさまざまなフォーマットがあります。当社の技術的な強みは、そうしたさまざまな位置情報が上がってくると、瞬時に緯度経度情報に変換して、何万もある広告の中から広告単価とクリック率を判断して、結果を1つか2つのリンクとして媒体側に返せることです。それら一連の処理をわずか0.1秒以内で返すことができます。
キーワード連動広告の場合、たとえば渋谷にいるお客さんを誘導したかったら、「渋谷」というキーワードが直接含まれていなければなりませんよね?しかし、実際の住所が渋谷でなくても、徒歩圏内で行ける場所は広告価値があります。緯度経度情報なら、住所に関係なく情報を提供できます。だから「実際は近くにいるのに情報が出てこない」という広告表示の機会損失を減らすことができます。これが位置連動広告の強みです。
モバゲータウン、エキサイト、ニフティ、食べログ、メール de iタウンページさんなどなどです。サイト運営を厳格に行われているメディアと提携させていただいています。
現在は、店舗をお持ちのナショナルクライアントなどが中心です。われわれとしてはもっと小規模な飲食店などにも活用して欲しいのですが、まだ認知度が低いということもあってそうした構成になっています。
ナショナルクライアントの場合、たとえば自動車メーカーがショールームに誘導するための告知として用いられたり、コンビニエンスストアチェーンが新店舗オープン時の認知喚起として、あるアパレルメーカーの場合は各店舗の求人に利用されていますし、ファーストフードチェーンが割引クーポンを発行していたりと、さまざまな目的で活用してもらっています。
もちろんそうです。たとえばAdLocalなら予算が1万円程度でも広告を出せますが、他の地域情報系の媒体、たとえば、地方新聞やフリーペーパーなどに広告を出そうとしたら最低でも5万〜10万円、あるいはそれ以上かかる。しかし小規模な店舗がそれだけの広告予算を出せるかというとなかなか出せないですよね。
私としては、そこを解決してあげるのがインターネットの役目だと思うんです。ただ、そこに人を使って広告営業をかけたら、やはり人件費を考えると1万円での提供はなかなか難しい。しかし、広告主さんが自分でサイトから広告を申し込むことで、すぐにモバゲーなどに安価に広告を出すことができれば安い予算でも地域広告の効果は得られます。携帯広告を見て、実際に人が来ますからね。
そのためにも、やはりもっとAdLocalが有名になって、1万円でも3万円でも出してくれる広告主さんをネット経由でどんどん集めたいと思っています。店長さんが携帯に広告を出したら翌日から自分の店に人が沢山来るようになったら、素敵じゃないですか。そういう意義のあるお仕事をしたいと思っています。
当然、PCでもやっていく予定ですし、それにカーナビへの展開という話もあります。モバイルは一番行動に移しやすいメディアではありますが、表示されるプラットフォームはどんどん広げていきたい。2008年中にはPC向けのローカル広告も本格的に展開する予定です。
これは最初にAdLocalを作ったときから変わらないのですが、ユーザーが情報を見てその情報から実際にアクションに移して消費をするところまで誘導するという、そうしたマーケティング手段をAdLocal以外にもどんどん作っていきたいんです。ユーザーの行動と(街中での)消費活動を結び付けるお手伝いをしたい、と思っています。それがシリウスのコアバリューだと思っています。
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