2008年3月7日 12時50分
島田昇(編集部)
携帯電話向け画像・動画変換ソフト開発のアイ・ブロードキャスト。モバイル先進国と呼ばれる日本において、この分野の技術を追求し、海外志向も強いことから、今回の優れた技術系ベンチャーを表彰する「Tech Venture 2008」の受賞につながった。同社代表取締役である上田拓右氏に企業概要と今後の展開などについて聞いた。
当社はモバイル向けサーバーソフトウェアメーカーです。どのようなサーバソフトウェアを販売しているのかというと、PC向け静止画、動画コンテンツを携帯端末に配信する際に、自動的にリクエストのあった端末を認識し、キャリア、および機種ごとに変換・最適化(ファイルフォーマット、ファイルサイズ、縦横比など)配信するサーバソフトウェアです。
現在、国内の携帯端末はネットに接続できて静止画を閲覧できるものが約700機種、動画を閲覧できるもので約320機種、フラッシュについても同等数以上に対応しております。しかし、携帯端末ごとにその仕様、バッファサイズなどの違いがあり、元データのまますべての携帯端末で同じように閲覧することは不可能です。
そこで当社の製品を利用していただければ、コンテンツは元データのままストレージにある状態で弊社の製品がフィルターのように端末の種類を自動認識し、それに合わせて最適化することができるようになります。
製品ラインナップとしては、静止画対応の「snaprec」、動画対応の「SnapVu」、フラッシュ化対応の「SnapFL」の3つが主力で、全製品ということであれば8製品そろえてあります。
比較的大手企業様を中心に導入していただいております。ヤフー、エキサイト、NTTレゾナント、KDDI、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、サイバーエージェント、ローソン、ぴあ、などが代表的な導入企業様となります。
私がインターネットを初めて体験したのが1994年で、その時の衝撃は非常に大きく、この新しい通信方法が必ずこれからの世界を変えると感じ、その後米国でインターネット事業の会社を設立しました。それは日本ではまだ市場形成されていない1996年でした。
当初はインターネットを利用したEコマース市場が広がると考え、ネット上のクレジットカード決済サービスを開始しましたが、その拡大のスピードとテクノロジーの進歩からインターネットを利用して「個人でも放送ができるような時代がやってくる」と考えるようになりました。
これを着想とし、ネット放送局という意味でのインターネットの「i」、わたし個人という意味での「i」ということで、アイ・ブロードキャストという会社を設立しました。
当時はJavaVMがさまざまなデバイス(モバイル、家電、TVなど)に搭載されると考え、Javaアプレットを利用したプラグインレスのストリーミングサーバを開発しましたが、そのころはまだインターネットのインフラ、各種デバイスなどが対応しておらず、非常に難しい時期を過ごしました。
しかし、ここでのノウハウ取得と「マルチプラットフォームに配信するような時代になってくれば、それを実現させるためのサーバソフトウェアが必ず必要になってくる」との確信を得ます。一方、個別端末を認識してリッチコンテンツを最適化する技術もサービスもなかった。さらに、2003年くらいにNTTドコモの「FOMA」サービス利用人口が200万人を超えたところから、その必要性、需要性も高まってきた。
こうした状況を受けて、現在販売している製品などを中心としたビジネス展開ができるようになりました。
「snaprec」の機能概要(詳細はこちら)日々、携帯端末は進化しており、次々と最新端末(国内では年間約200種類)が発表されています。今後はさらに、ゲーム機、家電、TVなど携帯端末以外へリッチコンテンツなどを配信したいという需要は増えていくことでしょう。我々はこの流れを着実に追い、現状のアップデートはもちろん、すべてのネットに接続できる端末に対応できるようにしていきます。
また、国内の携帯電話関連技術は世界でも最先端の部分にあるものなので、グローバルスタンダードになることを目指し、海外展開を本格的に進めていきます。
SnapFLが加わったことで、製品ラインナップはほぼ整いました。今後は国内販売の強化はもちろん、海外展開も本格的に進めていきます。
昨年末、伊藤忠商事と当社製品の販売提携を結びましたので、米国展開はすでに開始しており、この動きが好調に進んでいることもすでに確認しております。
中国については、準備に3年間かけてきたのですが、2009年から国内で言うところのNTTドコモの「FOMAシリーズ」のような第三世代携帯電話(3G)が始まると言われています。この動きに合わせた展開を順次進めていきます。
さらに欧州についても、2008年末をメドに参入できるよう、準備を進めている最中です。
私はもともと米国でIT事業に携わってきたので、「海外展開」などといったご指摘が出てくること自体を不思議なことであると考えています。
そもそも、インターネットは国の概念を取っ払って世界中の人たちがつながれるところにその醍醐味があるわけで、グローバルで考えなければ意味がないし、本来であれば海外で事業を始めるだとか国内で事業を始めるといった議論自体、あまり意味がないことだと思っています。
ただ言えるのは、本来のネットの特性を生かした上でネットにつながるという考え方が、日本人はあまり上手ではないかもしれないということです。日本人すべてがということではないのでしょうけれど、「日本人」だとか「〜のグループ」という殻を最初から作ってしまうことは、非常にナンセンスなことなのではないでしょうか。
当社は最先端の日本モバイル市場から始め、日本市場で確固たるポジショニングをし、海外展開の準備を進めていています。「世界に通用しない?」といった議論はインターネットを利用してビジネスをしている限り、私個人的にも理解できません。その議論をすることより先に世界に出てみる方が重要なのではないでしょうか?
より大きな市場で事業展開するのは起業家、経営者として当然のことだと思いますので、小さな市場で勝負するようなことをせず、今後もグローバルな視点でグローバルな事業展開をしていきたいと思っています。
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