2007年10月12日 12時00分
佐俣アンリ、文:田中誠
佐俣:太田君の場合は社員を取った時点で、その会社でずっとやっていく決意表明をしてると思うんですが、他の人はどうなんだろう。ずっと今の会社でやっていきたいと思ってるのかな。
西嶋:私は自分の会社でずっとやっていきたいと思ってます。
伊藤:僕も同じですね。
慶應義塾大学5年生の佐俣アンリ氏
佐俣:洋洋さんは院生ですよね。どうなんですか、そのあたりは。
喜洋洋:僕もずっとやっていきたいと思ってます。院生になったのは学校の施設などが使えるからで…。
佐俣:なるほど。伊藤君は明らかに上場させていこうというタイプですよね。
伊藤:自分たちがやっているサービスは絶対良いと思っているので、だから早くやってやろうと思ってます。
佐俣:会社を早く社会へ出すための上場ですね。太田君は上場を考えてますか?
太田:選択肢にはありますが、それが重要なファクターにはなってません。今、会社としてそれを目指しているわけではないです。
佐俣:今までの学生起業家というのはかなり上場を意識していたと思うんですが、ネットバブル崩壊やライブドアショックを経て、世間が「上場」を口にする若い世代のベンチャーに対して拒否反応を示しているように思えるし、「上場を目標にしている」と言ってもなかなかメディアにも響かないようになってきたと思うんです。ましてや、上場審査が厳しくなってきていて、アイディア上場などはできなくなっている。そんな状況で、今の学生起業家たちは何をモチベーションにしてるのかは興味あるんです。やっぱり事業を大きくしたいというのはあるのかな。
モバキッズ代表取締役の西嶋悠加乃氏
西嶋:私はもちろんあります。ただ、IPOに関しては、それが自分の会社にどれだけのメリットがあって、どれだけのデメリットがあるのかをまだ判断できない状態ですね。
IT企業というのは何かやろうとすることがあって、そのために上場をしてお金などを得るというのが理想だと思うんです。もちろん、上場をすれば知名度が上がって、企業間の取引もしやすくなって、人も集まってくるし、お金も集めやすくなるのは分かっているんですが、それが現時点でウチの会社に必要かどうかは判断できていません。
佐俣:上場でないとすると、今は何を目標にしてるの?
西嶋:ウチの会社自体は携帯を使って世の中にワクワクを発信したいというコンセプト、ビジョンがあるので、会社としての目標はそこですね。
佐俣:洋洋さんの場合は世界に向けて、という目標があるんですよね?
ランゲート代表取締役の喜洋洋氏
喜洋洋:そうですね。今のエッセンスを世界中に広めたいというモチベーションが一番高いです。
佐俣:しかも日本から世界を変えるぞ、というより、言語の壁を越えて国と国とをつなげて行こうという感じ。
喜洋洋:はい。最初はベトナムに会社を作ろうという話があって、その後には香港で会社登記しようかという話もあったくらいですから。
佐俣:逆に伊藤君は社名が示すとおり日本からですよね。
BeGood Japan代表取締役CEOの伊藤吾多氏
伊藤:“日本から”というより、“日本を”ですね。日本を良くしようという意味を込めて「BeGood Japan 」にしました。
ウチが大事にしてるのはコミュニケーション能力で、ルームシェアをしてるとみんな相手の目を見て話すようになるんですよ。メールやチャットがうまい人は多いですが、そういう能力が全体的に欠けてきていると思うんですよね。
ですから強制ではないですが、日本の不動産市場にそういう選択肢をきちんと作りたいと思ってます。それが良いものである自信はあるので、あと6年で上場するプランを立ててます。
佐俣:そう思うと、世界に通用するサービスを提供するみたいな明確な目標がなくても、起業をして運営していくモチベーションは十分にあるってことなんだよね。
伊藤:企業を引っ張っていくものって、僕は理念と熱い想いと数字だと思うんです。熱い思いだけではダメですが、理念や数字も伴っていれば大丈夫だと思いますよ。
オーシャナイズ取締役の太田英基氏
太田:僕個人としては、日本一になりたいとか、世界を席巻したいとかいう気持ちはなくて、やりたいことができればいいと思っているんです。もちろん、それは僕だけではなく、ウチのメンバー全員がやりたいことをやれる組織を作りたいという意味ですけど。
会社全体の「不可能を可能にする」「たくさんの笑顔を創造する」という軸は守った上で、その中でみんながやりたいことをやれたらいいと思ってます。
ただ、指標がないと確かにモチベーションは上がらないので、そのために会社で打ち出しているのが、創業10年後に都会の真ん中に海を作るというものです。社名のオーシャナイズにかけているんですが、具体的にはサッカーチームのスポンサーになって、ユニフォームなどをすべて青にしてスタジアムを海にしようということですね。メンバーの多くがサッカー経験者なので、そういう指標を立ててます。
佐俣:日本全体の景気は上がっているものの、新興市場の状況は良くないという現実はあると思います。5年後、10年後を考えるとそれは危機とも取れますが、そのあたりは日本の将来を担う世代としてどう感じてますか?
喜洋洋:中国に帰った時に思ったのは、とにかくみんな勉強をしていることです。僕もかなり勉強していた自信はありましたが、ヤバイなと思うくらい勉強してました。このままだったら将来抜かされるなというのは、僕も相方も感じましたね。
日本に住んでいると今のままでもいいやと思ってしまうところがありますが、発展途上国のモチベーションは日本とかなり違います。きめ細かさや気配りなどに関しては日本は世界一だと思うので、そういう良いところを活かして日本ももっと頑張るべきだと思います。
伊藤:僕は大丈夫だと思ってるんです。今日、こうやって話していてもみんな意識は高いし…。
ただ、これを広める努力はしないといけないですよね。僕たち学生同士で話していても、意識の高い人はいるのに、そこから仲間を広げていくのが大変なんです。
あと、僕が気になるのは、思いやりなどの心の問題ですね。日本のベンチャーが海外でやっていけるのか、という話に関しても、果たしてそういう思いやりの心を持ったような人がやっているのかという疑問はあります。
親が子供を育てるような、先輩が後輩を育てるような環境、そして僕らが横のつながりを持って話し合えるような環境、そういうものを作ることが重要だと思います。経済的な面より、そういうことをしっかりする方が大事だと思います。
佐俣:社会的に感度が高くて頑張っている人ほど、最後は教育の問題を考えるんですよね。それはいい流れだなと思います。
伊藤:日本の経済がつぶれるつぶれると言っても、実際はつぶれないじゃないですか。たぶん、下の方の人の意識ってそんなに変わらないと思うんです。そういう意味でも横のつながりが強くなれば良くなると思います。中小企業の仲間で話し合えるようなシステムができれば日本は良くなると思いますよ。日本って世界で一番いい国だと思いますもん。
太田:僕自身のやりたいことっていうのは、僕がイメージできる人を何とかしてあげたいと思うところから始まるんですよ。「タダコピ」もまさにそのひとつで、たくさんの学生に情報を提供してあげたい、金銭的な負担を軽減させたいということなんですね。
だから世界とか日本とかの枠はあまり意識したことはなくて、日本は好きですが依存もしてないという感じです。
ただ、日本が不利だなと思うのはやはり英語に関してですね。中国にしても、みんな英語が話せるようになっていて、自分自身もホームステイに行ってこれはマズイなと思いました。英語という世界では標準化されている言語があるにもかかわらず、それを修得できていないというのは大きく出遅れていると思います。
佐俣:僕も語学の驚異はすごく感じてます。留学生はみんな日本語をうまく話すし、韓国の学生も3カ国語くらい話せますしね。
ただ、僕はマクロ的にはポジティブに考えていて、それは今の学生が経営を楽しんでやっているからです。今の上場企業の社長さんって、何かに追われてるのかと思うくらいネガティブな印象ですよね。それは本当にどん底から這い上がってきたような人、マイナスな感情からスタートにしてる人が多いからかもしれない。
でも、今の若い人は恵まれた世代で、楽しいからやってる。楽しんだ上で、もっと世に問いたいから経営をやってる。平和ボケと言われているけど、そういうポジティブな考えはいいと思いますね。
喜洋洋:それは確かにそうですね。発展途上国はお金持ちになりたいというような目標があって、それはシンプルなだけに強いです。でも、日本のように理念や夢から始められるのは、日本だからこそできる恵まれた環境で、良いことだと思います。
佐俣:そういう健全な事業欲があれば日本もまだまだいけるんじゃないかと思いますよ。強烈な渇望感はないんだけど、そういうステージにいる国って意外とない気もしますしね。
では最後に、将来的にはどんな会社にしたいかをみなさんお聞かせください。
西嶋:私たちの会社名、モバキッズの由来はモバイルとキッズなんですが、キッズには子供心や遊び心を世界に発信していきたいという意味と、私たちがまだ学生で若いので、会社と共に大きくなっていきたいという意味が込められています。
今あるモバイル、携帯電話というのは世の中をすごく便利にしていると思うんですが、便利にするだけでなく、そこに面白さやワクワクさを加味したものを当社が発信していきたい、作っていきたいなと思ってます。
将来的には携帯のインフラの方に移っていくかもしれないし、携帯ではない違った形でやっていくかもしれません。いずれにしても世の中を幸せにするサービスや商品を生み出していきたいと思います。
伊藤:BeGood Japan は日本を良くする会社なので、それはこのまま続けていきたいと思います。あと、ルームシェアというのが今の日本には選択肢としてないんですよね。ですから、一人暮らしや実家通いと同じようにルームシェアがスタンダードになればいいなと思います。
喜洋洋:私たちは国同士の交流をもっと促進したいです。今は各国の事業が点になっていると思いますが、それが海外と結びつけばたくさん線が生まれると思います。そういうことをやっていきたいと思います。
太田:先ほども言いましたが、「不可能を可能にする」「たくさんの笑顔を創造する」を企業理念として掲げているので、この軸に乗っ取った上で自分たちのやりたいことを実現できる組織にしていきたいと思ってます。
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