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2007年10月25日 08時00分

「TechCrunch40」からJaxtrまで〜テクノロジビジネスの近況雑記

文:David Hornik
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、平本尚美、國分真人

  読者の皆さまがたには、いつも読んでいただき恐縮することしきりである。私はVentureBlogをたまにしか更新しないので、毎日規則正しくブログを書けるFred Wilson氏のような人々には脱帽する。Vox Blogに公開しているパーソナルブログのほうには毎日1、2本を投稿しているのだが、そのほとんどは写真やビデオ、短いコメントばかりで、きちんとした文章を書くのはボーナスのように特別なことだ。だから、構成力や深みに欠ける部分は、自分の子どもたちの愛らしい写真やビデオで補っている。私の母は自発的にVentureBlogを読み、残余財産優先分配権の話題にも少しは興味があるふりをする。それは自分の息子が書いたものだから、という程度の理由だ。ところが、私のパーソナルブログに掲載されている孫の写真のこととなると、脅迫神経症なみの細かさで整合性をチェックし始める。しかし、いくら母に孫たちの情報をせがまれるからといっても、それはVentureBlogの更新をおろそかにする口実にはならない。そんなわけで、こうしてVentureBlogの神聖なページに向かうのである(願わくば神聖(hallow)であって空疎(hollow)ではないとよいのだが)。

 読者諸氏も新聞を読んでいて経験があると思うが、決定的なテーマも構成もなく、取るに足りない断片的な事柄を寄せ集めただけのコラムにはイライラさせられる。まったく、手抜きにもほどがあるというものだ。かくいう私のブログも、今回ばかりはそうした類いのコラムと同じ体たらくになりそうなのだが、久しぶりの復帰を楽に行うためだと思ってお許しいただきたい。次回はもっと読み応えのある内容にしたいと思っている。

 さて、大半の読者にとっては驚くほどの話題ではないはずだが、私は2007年9月17日から2日間にわたって開催された「TechCrunch40(TC40)」カンファレンスに行ってきた。Walt Mossberg氏、Kara Swisher氏Chris Anderson氏John Battelle氏といった人々の手にかかると事もなげだが、カンファレンスビジネスというのは決してたやすいものではない。新しいカンファレンスを成功させるには、山ほどの企画作業と、膨大な時間のかかる準備作業、そして担当者のパーソナリティに加え、かなりの幸運も必要なのである。しかし、TechCrunchのMichael Arrington氏とHeather Harde氏、MahaloのJason Calacanis氏の3人は、この難しい仕事を首尾よくやってのけた。カンファレンスの立ち上げに必要なエネルギー、いくつものホールを渡り歩く投資家たち、ニュースを追いかけるジャーナリストたち、そしてアイスクリームの売店といった要件を、TC40はちょうどよい感じで満たしていた。すばらしいカンファレンスのご成功おめでとう。TC40に行くことができなかった皆さんは、VentureCastをチェックしてみてほしい。Craig Syverson氏が私と一緒に収録した番組をまもなく公開してくれるはずなので、会場のエネルギッシュな雰囲気を味わっていただけると思う。

 そのTC40のイベント会場で、私はMichael Copeland氏とばったり出くわした。彼はすばらしい人物であると同時に、優れたジャーナリストでもある。しかし、彼のネームタグに入っていた「Fortune」という文字を見て、私は悲しい気分になった。別に「Fortune」誌との間に何か問題を抱えているわけではない。私の好きな雑誌だし、現在Copeland氏がそこで記事を書いているのを嬉しく思っている。ただ、その名前を見て、Time Incが同社のFortune Groupから発行していた「Business 2.0」誌を廃刊にするというひどい決定を思い出してしまったのだ。「Business 2.0」のスタッフは、現行のインターネットイノベーションに活力を与え続けている潜在的な動向を把握し、明確に伝えるために、精力的な活動をしていた。ブロゴスフィア(ブログ圏(blogosphere))で見向きもされなくなった一時的な流行を後追いで記事にするような仕事に甘んじることなく、彼らはさまざまな動きを徹底的に調べ上げていた。「Business 2.0」は、同誌のブログ「Next Net」で取り上げた企業を集めて会合も主催していたが、私は幸運にもその数回ほどに出席することができた。いずれも、Erick Schonfeld氏を初めとする「Business 2.0」の編集チームの采配が奏功した、活発な討論会だった。こうした催しがもう二度と行われないというのは、本当に残念でならない。しかしCopeland氏なら、同誌の素晴らしい伝統を「Fortune」に受け継いでくれるかもしれない(私はこの投稿を9月20日朝の飛行機の中で書いたのだが、その夕方にSchonfeld氏がTechCrunchにArrington氏の共同編集者として迎えられたという記事を読んだ。これはTechCrunchにとって最高のニュースだ。Schonfeld氏、Arrington氏、Harde氏の3人に心からお祝いを言いたい)。

 よくあることだが、私はTechCrunch40の開催期間中、カンファレンスホールにはあまりいなかった。しかし、ある興味深いセッションで、NetscapeのMarc Andreessen氏とYahoo!のDave Filo氏がいかにしてインターネットを作り上げたかをYouTubeのChad Hurley氏に説明しているとき、私は最高の高揚感を味わっていた。そして同時に、最前列でEric Savitz氏が猛烈な勢いでブログを打ち込んでいるのが見えた。今までSavitz氏についてVentureBlogに書いたことがあるかどうか定かでないが、彼は実に偉大な人物だ。Savitz氏は投資週刊誌「BARRON'S」のライターであるため、そのブログは大半が公開市場に関するものなのが残念だが、ともかく彼は、収益説明会に関する投稿を楽しい読み物に仕立て上げることさえやってのけた。そんな彼がTechCrunch40のようなトピックをブログに書くとなると、その本領があますところなく発揮される。Savitz氏のブログを読んだことがないのなら、今すぐチェックしてみてほしい。彼のブログが、またたく間にテクノロジブログの分野を支える標準の1つになったことには、本当に感嘆させられる。

 これまで書き続けてきたベンチャービジネス成功物語の締めくくりとして、私がこの夏に資金を提供していたJaxtrという優良企業のことを紹介しておきたい。Jaxtrは「ソーシャルテレフォニー」とでもいうべきサービスを提供している企業だ。ユーザーは、自分のブログやソーシャルネットワークサイト、eBayのリストなどにJaxtrのウィジェットを追加し、1クリックで電話をかけることができる。すると、Jaxtrによって発信者の所在地域に対応する仮想電話番号が割り当てられる。したがって、インドから電話をかけるユーザーはインドの仮想電話番号を取得することになる。ヨーロッパ、中国、またはアイオワ州の場合も同様だ。これはVoIPプラットフォーム上で使われるバーチャルな番号であるため、この番号にかかってくる電話については転送先を自由に設定することができる。たとえば携帯電話、自宅の固定電話、Jaxtrのボイスメールなど、任意の転送先を指定できるわけだ。さらに、それらの転送先を発信者ごとに設定できる点も便利だ。こうした機能はJaxtrのごく一部にすぎない。Jaxtrは今後ますますVoIPとソーシャルグラフ(人と人との相関関係図)を活用して、ユーザーの役に立つ新しい制御機能や利用方法、コスト効率や楽しみをもたらしてくれるはずだ。私は(Skypeに最も早く投資した人々の多くとともに)Jaxtrという企業に関われたことがうれしくてたまらない。ついでに書き添えるが、こうしたベンチャービジネス成功物語の連載について、不愉快だ、削除すべきだというご意見やメールをかなり頂戴してしまった。もっともなことだ。そこで次回からは本来の予定どおり、尊大さと皮肉に満ちた内容に戻ることにする。

 どうやら頃合いのようだ。あれこれと、とりとめもなく書いてしまったが、VentureBlogを更新できるのはうれしいことだ。

VentureBlogとは

 世界では、今この瞬間にもユニークなアイデアを持った起業家たちが成功を信じて会社を興している。ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーであるDavid Hornik氏やSix ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストが、VentureBlogを通じて、ベンチャーキャピタルの本場であるシリコンバレーはサンドヒルロードから米国のベンチャー事情や注目すべきウェブサイト、起業のヒントを伝える。

筆者の紹介

 David Hornik氏は、ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーで、2000年に同社へ加わって以来、ベンチャーキャピタリストとしてIT系企業を中心に投資し、Six Apartの社外取締役も兼ねている。August Capitalに加わる以前には、複数の法律事務所で知的財産や企業法律顧問などの弁護士として、Yahooなど複数のベンチャー企業の設立や資金調達、運営に関する法律実務のキャリアを有している。Six ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストらと米国のベンチャー事情をレポートするサイト「VentureBlog」を運営する。

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