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2007年9月13日 08時00分

eBay前COO、メイナード・ウェッブ氏がコールセンターを運営する理由

文:David Hornik
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、谷口茜、國分真人

 LiveOpsの最高経営責任者(CEO)であるMaynard Webb氏に初めて会ったとき、同社の何が彼を現役に復帰させたのか質問してみた。なんといっても、Webb氏は、最高執行責任者(COO)を勤めていたeBayを辞めたばかりなのだ。eBayでは技術部門の責任者として、当時崩壊の危機にあったプラットフォームを安定させるという功績を残している。テクノロジ面の大混乱を収めたことが認められ、COOとして会社全体を立て直すことになったが、その難局にも見事に対処した。Webb氏は、そのたゆまぬ働きで高い評価を得ている。どう見ても1年や2年(10年でも)休んでもよさそうだ。しかし、LiveOpsの話を聞いたWebb氏は経営の最前線に戻ってしまったのだ。

 話を戻そう。Webb氏にとってLiveOpsの魅力とはなんだろう。彼の話では、それは社会に貢献しながら業績を上げることができる点だという。LiveOpsがコールセンターのソフトウェアとサービスプラットフォームであることを考えるとこれは意外かもしれない。LiveOpsの中核となるのはきわめて洗練されたVOIPソフトウェアプラットフォームであり、従来のシステムには不可能な方法で電話の転送、トラッキング、管理ができる。LiveOpsの総IP化システムによる最も重要な副産物の1つは、エージェントはウェブ接続ができる場所ならばどこにいてもいいということだ。オハイオのコールセンターでも、全米各地にあるそれぞれの自宅でもかまわない。

 LiveOpsは自社のコールセンターソフトウェアの最大の顧客である。エージェントのパフォーマンス管理向上を(エージェントの働く場所に関係なく)模索する大手企業にプラットフォームを販売するのと同時に、LiveOpsでは自社のソフトウェアを使用して分散コールセンターを運営している。このコールセンターは1万3000人のエージェントを擁し、急速に拡大を続けている。LiveOpsのエージェントには全体として主婦や在宅勤務者が多い。彼らは、個人的な事情から、働く場所や時間を自分の都合に合わせて決めながらお金を稼げる方法を探している。Webb氏を引き付けたのはまさにこの点だ。彼に聞いたところ、eBayでの仕事で最も誇りに感じたことの1つは、多くの起業家がそれぞれの生活環境に最も合ったビジネスを立ち上げられるようにしたことだという。LiveOpsにもこれは当てはまる。仕事を外国にアウトソーシングするのではなく、国内にいる、高い教育を受けていながら、柔軟に働ける環境を必要とするために仕事がない人材に委託するのだ。さらにWebb氏は、LiveOpsでは、コールセンターが顧客サービスの効率と効果を高めていけば、より多くのエージェントが自分の裁量で環境をコントロールできるようになると指摘している。

 この大規模な分散エージェント部隊にはもう1つ副産物がある。LiveOpsは、実質的にあらゆる顧客のニーズに合わせてすぐに大幅な拡大縮小が可能な、世界で唯一のコールセンターなのである。この高い拡張性を示すよい例がある。ハリケーン「カトリーナ」災害の直後、米国赤十字社には被災者への寄付の申し出が殺到した。国民の善意に応えるために、米国赤十字社では膨大な寄付の電話を処理するコールセンターを探し始めた。結局、圧倒的な数の電話をさばけるだけの拡張性を持っている会社はLiveOpsだけだった。数時間のうちに、LiveOpsは米国赤十字社のフリーダイヤルにかかってきた電話を全米各地に散らばる数千人のエージェントに転送し、彼らはすぐに膨大な善意の寄付を受け付け始めたのである。

 LiveOpsは最近、テレビ番組「アメリカン・アイドル」が実施した「Idol Gives Back」キャンペーンでもその能力を発揮した。2夜連続で放映された「アメリカン・アイドル」では、番組でスターがチャリティプログラムへの参加を呼びかけ、テレビ画面とウェブサイトにフリーダイヤルが表示された。「アメリカン・アイドル」のプロデューサーは、参加者が膨大な数に上ると考えてはいたものの、具体的にどの程度の規模になるかは予測できなかった。しかしそれは、LiveOpsにとっては問題ではない。需要に応じて電話を受けるエージェントを増やし、深夜まで善意を受け付けたのである。従来のコールセンターの限界を取り払ったのだ。それだけではなく、「アメリカン・アイドル」のプロデューサーにキャンペーンの規模と進み具合についてフィードバックまでしている。そして最終的には、LiveOpsは3400人以上のエージェントを動員しておよそ20万件の電話を受け、600万ドルを超える寄付を集めた。こんなことがあるから、Webb氏は毎朝仕事に来るのが楽しみでたまらないのだ。それはまた、LiveOpsに投資する私にとっての楽しみでもある。

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 世界では、今この瞬間にもユニークなアイデアを持った起業家たちが成功を信じて会社を興している。ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーであるDavid Hornik氏やSix ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストが、VentureBlogを通じて、ベンチャーキャピタルの本場であるシリコンバレーはサンドヒルロードから米国のベンチャー事情や注目すべきウェブサイト、起業のヒントを伝える。

筆者の紹介

 David Hornik氏は、ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーで、2000年に同社へ加わって以来、ベンチャーキャピタリストとしてIT系企業を中心に投資し、Six Apartの社外取締役も兼ねている。August Capitalに加わる以前には、複数の法律事務所で知的財産や企業法律顧問などの弁護士として、Yahooなど複数のベンチャー企業の設立や資金調達、運営に関する法律実務のキャリアを有している。Six ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストらと米国のベンチャー事情をレポートするサイト「VentureBlog」を運営する。

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