2007年8月23日 08時00分
文:David Hornik
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、平本尚美、國分真人
たまには少し趣向を変えてみようと思って書き始めたベンチャービジネス成功物語も、思い のほか回を重ねてしまった。といっても、予定外の企業のことまで紹介しているわけではないし、 私がAugust Capitalを代表して投資してきた企業のエピソードを取り上げるという方針は変わって いない。ただ、そうした素晴らしい企業を称えるのは予想以上に時間がかかるものだと実感してい る。
7月初めの金曜日、Craig Syverson氏と私は、カリフォルニア州パロアルトのダウンタウンにあ るUniversity Cafeで、VentureCastにアッ プする番組の新しい回の収録をしていた。それより少し前に私と友人で話していたことだが、 University Cafeはまさに再び新興ビジネスの一翼を担うようになっている。Rajeev Motwani氏やRon Conway氏といった人々が、この店でさまざまな企業と会合をもってい るのだ。このカフェに来れば、店内のそこかしこで商談がまとまってゆく様子を目にすることができ る。事実、Syverson氏と私がVentureCastの収録を始める少し前には、隣のテーブルの連中が 何やら資金調達に関する詳細を次々と手際よく取り決めていた。残念ながらその交渉ごとは我々 が収録を開始する前に終わってしまったが、タイミングがよければ一部始終が録音されていただ ろう。
数年前、私のポートフォリオ企業の1つである某社の幹部とUniversity Cafeで会ったときの ことだ。私たちが話をしていると、ふいにMotwani氏が近づいて来て、帰る前に自分たちのところ に顔を出してほしいと言う。Motwani氏と一緒にいたのは、ある新しい会社からやって来た才気あ ふれる人々だった。彼らは、自社が地域広告の分野で展開するビジネスについて話し合っていた。 その人々というのが、DoneRight (当時の社名はPerform Local)の創設チームだった。私は彼らのビジネスに興味をそそられ、彼 らに感銘を受け、結局その後まもなくDoneRightに出資することになった。
DoneRightの最高経営責任者(CEO)は、当時も今もPaul Ryan氏である。 彼は並外れた技術者だ。それまでOverture Services(2003年にYahoo!が買収)で最高技術責 任者(CTO)を務めていた彼は、当然のことながら検索連動型広告(Pay for Performance:P4P) を開発したチームの一員だった。DoneRightでのビジネス構想は、出来高契約(Pay for Performance:P4P)方式のローカル広告ネットワークを構築し、地域のサービス産業の業者が DoneRightを通じて重要なリード(見込み客)を獲得できるようにするというものだ。DoneRightは、 ウェブサイトおよび印刷物でのリードジェネレーション(見込み客獲得)手段によって需要を収集す る。サービス業者は、DoneRightをあたかもマーケティング代行会社として利用し、獲得したいリ ード数に応じた金額をDoneRightに前払いする。また、DoneRightは消費者の立場に立ってサー ビス業者の審査も行う。たとえば、事業許可証や免許、ベタービジネスビューロー(Better Business Bureau:BBB)に寄せられた苦情などをチェックし、そのサービスの提供元として DoneRightが十分に保証できる専門業者だけを受け入れる。DoneRightのこのようなデータ集約 型、データ駆動型ビジネスを構築するのに、Ryan氏以上の適任者はどこにもいなかった。
地域のサービスとは、その地域で提供されるものだ。したがってDoneRightのネットワーク は各都市ベースで展開されている。DoneRightは新しい都市に進出するたびに、消費者が知識 に基づいてサービスを決める上で必要な情報、およびサービス業者がその事業を拡大するため に必要なチャネルの、最善の提供方法を見抜く術を究めていった。彼らのビジネスはサンディエゴ に始まり、この1年間でデンバー、シカゴ、ヒューストン、ダラスへと展開された。そして2008年に は、最初の5都市で蓄積したノウハウを駆使してDoneRightのサービスを全国規模で最適化する ことにより、大幅な事業規模の拡大が計画されている。これまでのところ、ホームインプルーブメン ト(住宅の改修や修繕、ホームヘルプサービスなど)に関する1000社以上の業者が、DoneRight と前払い制の出来高契約を結んでいる。ほかのオンラインサービスが地域ビジネスの売り上げを 増進する有意な牽引力を獲得できていないのに対し、DoneRightは最初の1000社との契約を記 録的短期間で達成した。その要因は、具体的に把握できる成果を顧客企業に示していることにあ る。ほんの数箇所の大都市圏における短い営業期間で、DoneRightは認定したサービス業者1 社に対し、50万件近くの消費者からの依頼を処理して紹介している。この数字は、DoneRightが 全国規模で事業を拡大するにつれて劇的に増加するはずだ。
DoneRightは、私がデータを何よりも重視するがゆえに投資した新たな企業だ。リードジェ ネレーションビジネスとは、極言するなら数当て賭博のようなものである。1件のリード獲得にかか るコストはいくらか、サービス業者がそのリードに支払う代価はいくらか、そして採算は取れるのか。 DoneRightではこうした問題の答えを出す必要があった。そして私は、Ryan氏のそれまでの実績 があったからこそ投資した。彼なら、このような問題に答え、拡張性に富んだビジネスを創出する ために必要な基盤を築きあげるだろうと確信したからである。彼はそのとおりにやってくれた。さら に素晴らしいことに、Ryan氏とDoneRightは1つの地域でのリードジェネレーションに精通してゆ くにつれ、そのノウハウを他の地域にも応用できるようになる。その結果、各都市圏のビジネス効 率がますます高まり、ビジネス全体の収益性が確実に向上している。皆さんがもしサンディエゴや デンバー、シカゴ、ヒューストン、ダラスなどに住み、折り紙つきのサービス業者を探しているのな ら、DoneRight.comにアクセスする に限る。それ以外の場所に住んでいるならDoneRightに注目していてほしい。彼らが全米に事業 展開する日は、もうまもなくだ。
世界では、今この瞬間にもユニークなアイデアを持った起業家たちが成功を信じて会社を興している。ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーであるDavid Hornik氏やSix ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストが、VentureBlogを通じて、ベンチャーキャピタルの本場であるシリコンバレーはサンドヒルロードから米国のベンチャー事情や注目すべきウェブサイト、起業のヒントを伝える。
David Hornik氏は、ベンチャーキャピタル「August Capital」のパートナーで、2000年に同社へ加わって以来、ベンチャーキャピタリストとしてIT系企業を中心に投資し、Six Apartの社外取締役も兼ねている。August Capitalに加わる以前には、複数の法律事務所で知的財産や企業法律顧問などの弁護士として、Yahooなど複数のベンチャー企業の設立や資金調達、運営に関する法律実務のキャリアを有している。Six ApartのAndrew Anker氏をはじめ、複数のベンチャーキャピタリストらと米国のベンチャー事情をレポートするサイト「VentureBlog」を運営する。
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