2008年5月7日 13時16分
安達裕哉(トーマツイノベーション)
さて、人材育成というテーマを5回ほど解説して参りましたが、今回は最終回です。早速、今回の話題を取り上げたいのですが、その前に、前回までのまとめをご紹介しましょう。
会社として必要な人材は、「成果を挙げる人材」でした。そして、「成果を挙げる人材」とは下の図のように考え方、熱意、能力をバランスよく持った人材です。(→第1回)
まずは、「考え方」についてです。会社の考え方に共感してもらえる人材とは、下の3ステップで育成します。(→第2回)
(1)会社の基本理念を作り、なんども繰り返し考え方を伝える
(2)社員から信用される会社になる
(3)どうしても考え方に共感できない一部の人には会社を辞めてもらう
つぎに、「熱意」です。熱意(やる気)を持った人材は、下の4ステップで育成します。(→第3回)
(1)人を正しい配置にする
(2)仕事に高い基準を設定する
(3)自己管理に必要な情報を与える
(4)経営トップと同じ目線になってもらう
そして「能力」です。能力の高い人材は、下の4ステップで育成します。(→第4回、第5回)
(1)会社の成果を明確に記述する
(2)会社が必要とする人材像を明らかにする
(3)個人の強みに集中して能力開発を行う
(4)結果を個人へフィードバックする
これらの活動をすべて実行している会社であれば、間違いなく人材は育成できていることでしょう。
しかし、そのような人材に確実に成果を挙げてもらうには、まだ教えなければいけないことがあります。それを今回は解説いたします。
「まだ教えることがあるのか?」と、思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今から解説することを知らなければ、せっかくの人材も、十分に力を発揮することは出来ないでしょう。
有能な人材が力を発揮できずにいる場合、次の2点を改善することで劇的に成果が挙がるようになります。
今回のテーマは、
(1)目標の決め方を教える
(2)時間の使い方を教える
──です。
目標を決めることは、最も難しい仕事の一つです。適切な目標がセットできれば、仕事は半分終わったようなものです。
どのようにすれば、適切な目標がセットできるのでしょうか──。下の図を見てください。
目標は、常に高い視点から決めることが必要です。社内だけを見て目標を決めてはいけません。必ず会社が社会とお客様に果たすべき貢献から考えます。そして、それに基づいて本人が貢献できることを考えさせればよいのです。
また、「やっただけ」で終わらない目標を立てることも大事です。次の図を見てください。
「活動目標」ではなく、「成果に貢献できる目標」を持たなければ、せっかくの目標達成も意味がありません。
さて、目標が出来たところで、通常であれば目標達成のための計画を立てます。しかし、それは間違った行動です。
「ええ?どういうこと?」と驚かれる方もいるでしょう。「目標達成のためにはPlan(計画) Do(実行) Check(チェック) Act(対策)のマネジメントサイクルを回す」と、多くの方は認識しているはずですから、無理もありません。
しかし、理想としては間違っていませんが、実務的にはもう一工夫必要です。
一体どういうことなのでしょうか。例によって、ピーター・ドラッカー氏の言葉を引用いたします。
「通常、仕事に関する助言というと、計画することから始めなさい、というものが多い。まことにもっともらしい。だが問題は、それではうまくいかないことにある。計画は紙の上に残っているが、やるつもりで終わる。実際に行われることは稀である。私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」
ほとんどの場合、「計画が実行できないのは、無駄な仕事をしており、時間が足りないから」です。つまり「目標の達成に貢献しない仕事は行わず、結果得られた時間をまとめて目標のために使う」ことが必要です。
皆様の時間の使い方はいかがでしょうか。下に時間の使い方をチェックするためのリストを示します。
本連載を契機に、皆様の会社で1人でも多くの成果を上げることのできる人材が育つことを、願ってやみません。
筑波大学大学院環境科学研究科修了後、大手コンサルティング会社を経てトーマツ イノベーションに入社。現在、主としてIT業界を対象にプロジェクトマネジメント、人事・教育制度構築などのコンサルティングに従事する。そのほかにもCOBIT、ITサービスマネジメント、情報セキュリティにおいても専門領域を持ち、コンサルティングをはじめとして、企業内研修・セミナー活動を積極的に行う。
コメント ( 1 )
毎回身を乗り出すように読んでました。
ありがとうございました。
是非新書出してください。加筆必要ならば、手伝います。
ところで、仕事の成果の法則は
学力向上の法則にも置き換えることができるような気がします。
最近おもしろいこと発見しました。
仕事の法則は3個のKPIで8種類に分類できますね。
ウェルチの、辞めてもうらい人材の分類は2個のKPIによる
4種類の分類になってますよね。
これらは、
「n個のKPIを持つ事象は、少なくとも2のn乗に分類できる。」
と一般化できます。
ちなみに、人間は3次元空間に住んでいるので、
2〜3つのKPIが丁度理解しやすいようです。
では、また。飲み屋で!