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個人も企業も「強靱な底力の開発」は選択と集中がすべて

安達裕哉(トーマツイノベーション)
2008年04月11日 19時32分


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(c)個人の強みに集中して能力開発を行う

 実は、人材像を設定して、これに基づいて教育を行うだけでは、うまく人は育ちません。うまく育ってもらうためには、個人個人の強みに基づいた能力開発が必要です。能力開発がうまくいかない理由は、「何でも人並みにできる人」を育てようとしているからです。

 ピーター・ドラッカーは以下のように述べています。

 「無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする。しかるに、多くの人たち、組織、そして学校の先生方が、無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても時間にしても、強みをもとに、スターを生むために使うべきである」

 まずはとにかく、やらせてみるということは重要ですが、人は万能ではありません。必ず得意分野と不得意分野が存在します。成果を出せる分野に、その人の時間と会社の資源を集中しなければ、能力開発は思うように行かないでしょう。

 逆説的ではありますが、研修に行かせるとすれば「話すことが得意な人に、さらにレベルの高いプレゼンテーションの研修を受けさせ、プログラミングの得意な人に、さらに生産性を高めるための技術研修をうけさせる」ことが最も効果的なのです。

 これは、資源の潤沢ではない中小企業であれば、なおさらです。全員がなんでも並程度にこなせる会社よりも、全員がそれぞれ人に負けない何かを持っている会社の方が成果を出すことができます。

 したがって、「能力開発」と「組織設計」は切り離すことが出来ません。

 「一つの重要な分野で強みを持つ人が、その強みをもとに仕事が出来るよう、組織をつくることを学ばなければいけない」

 こうドラッカーが述べたように、能力開発は組織作りなのです。

 余談ですが、「強みに集中する」ということは企業であっても全く同じことが言えます。中小のシステム開発会社において、「専門領域に特化している会社のほうが1人月あたりの単価が高い」傾向があることが知られています。大きな成果をあげるためには、企業であっても強みに集中することが必要なのです。

 ここまでお読みいただき、「強みに集中して能力開発を行う」ことの重要性が理解いただけたことでしょう。

 ですが、また一つ疑問が浮かんだ方がいらっしゃるかもしれません。「自分自身の強みとは?」という疑問です。

 「実は、よくわからないんだよ・・・」という方、最後です。(d)をお読みください。

(d)結果を個人へフィードバックする

 ドラッカー氏は「強みに集中する」ことを述べた後、このように付け加えています。

 「誰でも、自らの強みについてはよく分かっていると思っている。だが、たいていは間違っている。分かっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。(中略)強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかを直ちに書き留めておく。

 9カ月後、1年後にその期待と実際の結果を照合する。私自身、これを50年間続けている。そのたびに驚かされている。これを行うならば、誰もが同じように驚かされる。(中略)こうして、2、3年のうちに自らの強みが明らかになる」

 このように、いわゆるPDCAサイクルを自身でまわすことにより、2、3年のうちに自らの強みが明らかにされるとドラッカー氏は述べています。非常に具体的にかかれていますので、実践もたやすいことでしょう。

 以上をまとめると、新入社員には、まず3年程度、自分自身の強みを見つめる機会を与え、出来るだけ多くの経験をさせます。その後、強みに基づいた専門領域の能力開発を行い、同時にその人々が十分な活躍が出来るような組織作りを同時に進める、という手順になります。

 下の図に今回の内容をまとめました。

01 ※クリックすると拡大します

 次回以降は、人材能力モデルに記載した「システムの設計〜開発能力」「コンサルティング能力」「プロジェクト管理能力」――の3つの能力について、その適性と能力開発の勘所の各論を述べていきます。

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