2008年5月2日 12時45分
藤原直美(未来予想)
新製品や新サービスにはじまり、企業の発表を外部に発信する広報業務。特にベンチャー企業ではその存在は重要なものです。
しかし、ベンチャー企業の経営管理部門の支援業務をしていると、広報業務に関する大きな誤解がしばしば見受けられます。この連載では、そんな広報業務の重要性やその効果、具体的な広報の方法などを解説していきたいと思います。第1回目となる今回は、まずは原理原則論としての「広報」と「広告」の違いについて考えていきたいと思います。
そもそも広報、広告ともに、同じ受信者が目にすることになります。必ずその受信者は、エンドユーザーであり、企業からするとお客様になりえる人がそれに該当します。ともなると、広報と広告の決定的な違いは、受信者に伝える発信者に違いがあります。
受信者の立場では、広告として企業からの売り込みをかけられるよりも、第三者の社会/メディアからの発信の方が安心するという効果があります。
たとえば、ポータルサイトのトップページにダイエットグッズのバナーがあっても興味がなければクリックしません。しかしそれが、会社の同僚から「○○ってダイエットグッズがすごく効果があるってテレビでみましたよ…」などと言われてしまうと、その商品が気になってしまうものではないでしょうか。
そういった観点からも、ベンチャー企業側では圧倒的に「広報」のほうが魅力的に見えます。ですので「どんどん広報しましょう」と言いたいところではありますが、広報というのは広告と違ってお金で買えないところが難しいところです。
なぜならば、発信者が社会/メディアといういわゆる公共機関に近い存在だからです。従って、社会的に意義があることでなければ、社会/メディアはなんら興味を示すはずもありません。よって、仮に取材をうけたとしてもそれが掲載されるかどうかは発信者であるメディアの人間が判断するところによってしまいます。とはいえ、ベンチャー企業にとって広報というのは非常に強力な武器になることは間違いありません。
例えば、あなたの会社が新商品を発売することになり、それに当たって広報活動を実施したとしましょう。
無事広報実務を終えた結果、いろんなメディアでその商品が紹介されるはずです。しかし、その掲載された記事や放送を見てみると驚くべきことに気がつくのではないでしょうか。自社が伝えたいことをそのまま掲載するメディアあれば、想定しない評論をつけるメディアもあります。また、お褒めの言葉であればいいですが、軽いバッシングともとれる文章も見られました。
そうです、広告は企業が伝えたい情報をそのままに掲載することが可能です。なぜなら広告を掲載する媒体に対して広告費を払っているからです。しかしながら、広報は情報をコントロールできません。
もちろん広報の方針を明確化することで、ある程度の内容はコントロールできます。しかし、それが正確に伝えきれなかった場合、意図しないことも記事としてコメントされることは少なからずありえます。なぜなら、広報活動の内容について、メディアは第三者として内容を判断し、情報を発信するからです。
広報と広告の違いを認識したところで、「どちらに力を注ぐのか」という意思決定をしなくてはなりません。そういった際、わたしたちは少なからず誤解を生んでしまうかもしれませんが、それを覚悟の上で、「広報力アップに力を注いでみてください」ということを多くの局面で伝えるようにしています。
これには時代背景もあります。テレビや新聞に始まりさまざまなメディアから個人までもが情報を発信し、情報過多ともいえる現代では、氾濫する情報の真偽を自己責任で判断しなければならないようになってきました。それ故、大量の広告よりも、社会性のある公器、つまりマスメディアを通じて発信される情報を信頼する傾向にあります。
自社でお金を払って情報コントロールするという広告での訴求をする前段階として、社会に受け入れられる内容であるか否かを広報的に培ってから進めてみてはいかがでしょうか。広報とは、広告費を削減するコストカット手段ではありません。あくまで広告とは別次元での訴求方法なのです。広告宣伝に力をいれる一歩手前で広報面にウェイトをかけてみてはいかがでしょうか。
特にベンチャー企業からすると広報に力をいれることで、非常に大きなチャンスを得ることがあります。思いもよらないビジネスパートナーがメディア経由でチャンスを運んできてくれるかもしれません。
今回は「広報」と「広告」の違いについてお話ししましたが、次回は、もう少し経営者目線にたった具体的なビジネスシーンでの広報効果と、広報の副次効果について紹介したいと思います。そして今後、連載では具体的な広報活動についても解説していきます。
東京都出身。衆議院議員秘書の経歴をもち、その後ベンチャー企業管理部門機能の経験を経て、現在ベンチャー企業向けの経営企画・管理部門コンサルティングならびに実務支援の専門家として活動をしている。 未来予想グループの主なベンチャー支援向けサービスは「ベンチャー経営支援総合ポータル MiraiZ」「EIP型マネジメントASP Mirai'z V1」「プレスリリース配信代行 @press」「インキュベーションオフィス CROSS.COOP」
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