収益成長率に着目したテクノロジー系の企業ランキング「Fast50」。受賞した企業は自動的にアジア太平洋地域の同ランキング「Fast500」にノミネートされるなど、企業が海外に認知度を高めるきっかけとなる注目度の高いランキングだ。過去4年間、国内のこのプログラムを運営してきたトーマツの浅枝芳隆氏に、テクノロジー系企業の最近の傾向と将来の展望について聞いた。
評価基準は、前々期の1年間の売り上げから当期の売り上げまでの伸び率です。対象期間の初年度の売り上げが5万ドル(600万円)以上という設定はありますが、基本的に売り上げ規模の大きさは問わないという方針で上限も設けていません。また、上場と未上場の両方を対象とします。ただし、未上場でもアーリーステージではなく、IPOに近い企業が対象です。この選定基準は2002年の第1回開催時から変わっていません。
トーマツが権威を持って格付けするわけではなく、参加企業を募集しています。上場企業は参加して欲しいと応募奨励して承認を得る形です。
ちまたに出ている情報を集める部門があります。日頃付き合っている企業や証券会社にアンテナをはって、ネガティブなものも含めてさまざまな情報を日々集めています。ランク付けのためには、多くの情報の中から取捨選択することも重要な要素になります。
「傾向として、コンテンツの力はだんだん強くなっている」とトーマツの浅枝芳隆氏もともとFast50は、TMT(Technology、Media、Telecommunications)の3つの業界が融合するという仮定を前提にスタートしてきました。Technologyと言っても、当時強かった半導体分野を含みます。2007年秋の発表が5回目ですが、3つの業界はまだ融合しきっていない。融合の後の分離もしていない途中経過だと思っています。
テレビとインターネットは融合し始めていますが、ビジネス的な絵は誰も描けていない。儲かるツールはあっても、ビジネスモデルまで考えると勝ち負けは決まっていないのが現状だと思います。
だからこの3つの業界は、まだ伸びていく、将来ウォッチしていくべきポイントだと思っています。今後伸びていく企業や分野などは(運営している立場上)具体的に話すことができませんが、まだ過去からの延長上に変化があると思う。
過去の受賞企業の傾向で見ると、最初はPCのインフラに近いところや技術が伸びて上位に入っていました。それが音楽配信をはじめとしたモバイル技術などが多くなり、それと平行して技術系からソフトウェアやインフラ、サービスにシフトしてきた。サービスの内容を見ても、インフラ的なものからよりユーザーに近いものへと移っています。それを極端な例がコミュニティーやweb 2.0と呼ばれるものです。
この変遷はスパイラルの一環だと思っています。技術が低い時にはインフラに限度があり、サービスの内容やコンテンツのレベルも低くなる。技術レベルが高くなると同時にインフラであるネット回線も太くなってスピードが早くなるし、サービス内容やコンテンツのレベルが高ければ海外の展開も見込める。このスパイラルでだんだん上がって、それぞれが伸びるに従って3つの業界が融合していくものだと思います。まだ今は進行中ですが。
ただ、コンテンツについて言えば、傾向としてだんだんコンテンツの力が強くなっていく時代です。コンテンツそのものか、コンテンツをビジネスモデルに仕立て上げている企業が成長しています。今後もコンテンツをビジネスモデルにできている会社が伸びていくと思う。
今の世の中では、1社だけが成長するということはありません。みんなでシェアしながら一緒に伸びていくのがこれからのモデルだという意見も聞きます。大企業も自分が大資本で全部買収して抱え込むという構図は失敗すると思います。あるべき姿としては、大企業でも一緒に利益を得ながらシェアするのが良いのでしょうね。
共存共栄でやっていくのがこれからの時代です。ベンチャーの新しいアイディアとパワーはすごい。その力がこの業界を動かしているので、大きい方もこれを考えないといけないと思います。
ベンチャー企業は、お金が入ってこなければ大企業に頼らざるを得ません。ある程度の資本は必要です。でもある程度自分で稼いでいけるなら、そのエリアではニッチでも大企業と対等だという認識をベンチャーに持ってもらいたい。そしてそのエリアでは大企業との交渉を堂々とやってもらいたい。それがポイントでしょう。ベンチャー企業は、大企業を恐れず、お金だけでなく夢や仕事に自信を持ってもらいたいと思います。
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