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2007年5月18日 12時20分

ブロガーと企業の幸福な関係とは

永井美智子(編集部)

 アライドアーキテクツとセプテーニ・ホールディングスが設立した合弁会社、バズマーケティングが5月1日に営業を開始した。ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用した口コミマーケティングが注目されている中、企業とブロガーを結びつけて企業のマーケティングを支援するとともに、ブロガーに対しても企業に生の声を届ける機会や収益を提供する考えだという。

 会社設立に至った経緯や今後の展開など、代表取締役社長の瀧口和宏氏(アライドアーキテクツ取締役)と代表取締役副社長の東明宏氏(セプテーニ・ホールディングスひねらん課課長代理)に話を聞いた。

企業とブロガーのニーズをマッチング

――アライドアーキテクツとセプテーニ・ホールディングスが合弁会社を設立するに至った経緯を聞かせてください。

瀧口氏:2006年の11月、セプテーニ・ホールディングスさんの協力で「クチコミエディタ」というブログアグリゲーションサービスを作りました(編集部注:クチコミエディタはサイト運営者が指定した複数のブログの記事を自動収集してサイトを制作する企業向けのサービス)。その際、企業がブロガーとどうコミュニケーションを取り、企業に対するロイヤリティを作るかが本質的に重要だと感じたのです。そこの仕組みやサービスを提供していくために新会社を作って一緒にやろうということになりました。

 私はもともと人材紹介業界の出身で、企業と人材のマッチングを手がけてきました。お互いの「Can、Will、Want」が合えば、企業と個人が出会うことで大きな力が生まれるんです。

 クチコミエディタでも、成功したケースはコンテンツを提供する個人のブログのコンセプトと、それを集めてメディア化した企業側の提供したいものが合っている場合でした。たとえば旅行に関するクチコミエディタのサイトがあるとします。ブロガーは旅行に行ったり、地方に住んでいたりして、良い場所を紹介したいとか愛着のある土地に多くの人が来て欲しいと思ってブログに書く。一方、旅行会社はより多くの人に旅行して欲しいと思って、旅行ブログを集めたサイトを作る。このように意味と意義がマッチングすると、非常に良質なコンテンツが高サイクルで生まれるんです。

 しかし、現状の企業とブロガーの関係を見ると、企業からの一方的なアプローチが多い。そうではなく、相互がコミュニケーションを取れるようにしていくことが必要なんです。

東氏:企業の「Can、Will、Want」に比べて、ブロガーの「Can、Will、Want」は企業には見えにくいようです。そこで、この部分を見やすくして企業とブロガーのコミュニケーションをスムーズにできるようなサービス、またはツールを提供していきたいと考えています。

――人材紹介のように、ブロガーのスキルや関心事などのプロファイルを用意するということですか。

瀧口氏:一番良いのは実際にブロガーの方にどんなことを思ってブログを書いているかを聞けることです。でも、それは難しい。ですので、ある程度はシステムを使って履歴書のようなものが作れるようにする必要があります。

 ただ、履歴書の場合は本人がアピールしたい部分だけが強調されますが、ブログの場合は本人が気付かないけれども第三者が読むと分かる長所というのも出てくる。そういうものを分かりやすく見せられるようなものを作りたいですね。

東氏:自分のことを客観的に語るのは、なかなか難しいですよね。そこを支援できればと思っています。

ブログの登場で企業と個人の立場が変化

――企業はブログマーケティングに関してどういったことを期待しているのですか。

瀧口氏:いろいろありますが、ブロガーをオピニオンリーダーとしてとらえれば、ブロガーからから意見を引き出したいというニーズがあります。企業が保有するある製品についてのコミュニティを作って、消費者の使用感を知るというようなものですね。また、ブログコンテンツを収集してメディア化したいというニーズもあります。

東氏:ただ、まだどうやってブログをマーケティングに使っていいかわからないという企業も多いですね。ブログやSNS盛り上がってきたのはここ数年ですから、まだまだ理解するには時間がかかると思います。

――口コミの場合、必ずしも企業の思い通りにいくわけではありません。

瀧口氏:そもそも、口コミを作ることはできないんです。あるものを大きくしたり、波及速度を速めるといったことはお手伝いできますが、商品やサービス自体が良いものでなければ無理なんです。それは嘘になりますから。もしまずいカレーを「おいしい」と言ってみても、勧められた人はほかの人に「おいしい」とは言わないので、口コミは起きないわけです。意図的にお金を使えば一次伝播までは作れますが、それ以降は難しい。二次、三次と伝わって初めて口コミと言えると思います。

――逆に、ブロガーにとって企業との接点ができるメリットは何ですか。

瀧口氏:自分が商品のマーケティングに関われるということ、また、普通では教えてもらえない情報を先に知れることですね。ブログもメディアですから、他が出していない情報を掲載すればメディア力が上がる。また、自分の意見を聞いて企業が何かアクションを起こすことは普通なかなかありませんから、面白いことだと思います。

東氏:自分が議論した製品が世に出れば面白いですよね。今まで、企業と個人には力の差があり、企業が絶対的な力を持って製品を消費者に提供すればよかった。でも個人が発信できるツールを持ったことで、その立場が変わってきていると感じます。そこに企業が気がついて、うまくバランスを取れるようになったら、もっと良くなっていくと思います。

瀧口氏:自分の趣味が社会に対してインパクトを与えるようになると、それはライフワークになったりします。企業は宣伝、口コミだけを求めてブロガーとの接点を持とうとしていますが、もう少し意義のある繋がりが作れると良いと思います。

――ブロガーに対して企業から金銭的な報酬は支払われるのでしょうか。

瀧口氏:ブロガーにとって記事は魂ですから、お金をもらってタイアップ記事を書くことに抵抗を感じる人は多いようです。ただ、広告枠を作って広告の露出を売ること自体は、さほど抵抗がないようです。ですので、ブロガーが望むやり方で報酬を受け取れる形にしていきたいです。

東氏:インセンティブとしてお金をもらうことがあってもいいと思いますが、ブロガーはそれだけを求めているわけではないと思います。

「ブログの価値を最大化する会社に」

――バズマーケティングはどこで収益を上げていくのですか。

瀧口氏:ブログへの広告掲載や企業へのブロガー紹介による手数料などがあります。このほか、アライドアーキテクツのクチコミエディタなどを企業に販売します。ほかにもブロガーの好みに合ったサービスを開発していきます。

――バズマーケティングのサービスを利用できるブロガーは、何か一定以上の条件をクリアしている必要があるのでしょうか。

瀧口氏:1カ月に1度しか更新しなくても、良質な記事を書いている人もいます。どのブロガーを選ぶかは企業の自由ですので、当社がブロガーを拒む理由はありません。元々ブログは玉石混交で、日常的な話題から専門的なものまでさまざまです。ただ、その中から玉を捜す仕組みは用意したいと思っています。

――アライドアーキテクツとセプテーニ・ホールディングスのほか、東さんも個人でバズマーケティングに出資していますね。

東氏:より真剣にこの会社、事業に関わっていきたいと考え、私のほうから出資したいとお願いしました。

――将来的にはどのような会社になっていきたいと考えていますか。

東氏:SNSの場合、ユーザーは身の回りの人と繋がることが多いのですが、ブログの場合はオープンで世の中に向けて発信しているというのが大きな違いだと思います。そのブログの価値を最大化できる会社であればいいと思っています。