2007年3月9日 20時05分
三田隆治
2月14日にヘラクレス上場を果たしたウェブドゥジャパンは、携帯電話向けのロボット型検索エンジン「CROOZ!」を核に、モバイル事業と人材アウトソーシングを手がける。NTTドコモのiメニューに検索エンジンを提供する13の事業者のひとつとなったことで俄かに注目を浴びることとなった。
設立して5年。右肩上がりの急成長で上場を果たした同社社長の小渕宏二氏に、これまでの経緯と今後のビジョンについて聞いた。
大きく3つの事業分野があります。ご存知のとおり、検索エンジン「CROOZ!」を軸としたキーワード連動型の広告事業がひとつ。2つめは、創業当初から行っているモバイルの受託ビジネスと、自社が手がける携帯キャリア公式サイト上でのコンテンツ配信。3つめは、特にIT分野を中心とした人材紹介などの人材総合サービス「CROOZ! career(クルーズキャリア)」。どれもIT・インターネットに特化したサービスです。
システム開発案件の受託からはじめました。自社内では開発せず、「IT-PROワーカー」というフリーランスのエンジニアなどを組織化して再委託を行うものです。
それから2002年のはじめに、モバイルのコンテンツプロバイダーがぐっと伸びていった時期がありました。そこにタイミングを合わせてモバイルにフォーカスしてやってきましたが、受託の経験を積むと当然開発力が付いてきますから、2003年の5月には自社自身でもサービスを開始しました。最初に手がけた自社コンテンツは、あの「熱血硬派くにおくん」というゲームの携帯アプリへの移植でした。
そこまでの実績で、開発力は付いてきているという自信はありましたが、「今後はモバイルコンテンツビジネスも飽和するかも」という懸念もありました。そこで、今後はモバイル広告市場が伸びると見て、検索エンジンの「CROOZ!」をリリースしたのが2004年の8月です。
えっと、ぐんぐん右肩上がりに伸びてきました。これだけじゃだめですか(笑)
初年度(2001年度)の売上は3200万円に終わりましたが、翌年度からは、2億6200万円、9億7400万、18億5000万円、28億円と急激に成長してきました。普通、業績や売上を伸ばすときには、先行投資をしたり営業マンを採用したりと、資本がかかるわけですが、我々の場合、18億円の段階まで、銀行からの借り入れは一切ありませんでした。非常に投資効率の高いビジネスモデルだったと思っています。
どれも伸びましたね。うちが大きく伸びることができた理由は、どの部分も倍々ゲームで伸びていったからでしょう。今まで、一度手がけて止めた事業は一つもありません。
あえて言えば事業開発力があったからだと思います。しかし、実はどの事業も経験者がいてはじめたものはないんですよ。人材アウトソーシングについては、僕はもともとIBMの子会社にいたので少しは知っていましたが、僕は営業畑だったので、決しては詳しくはありませんでした。
モバイル検索エンジンもコンテンツも、すべて未経験のところからはじめてきました。個人の能力に依存した「営業突破力」のようなものはありましたが、やはり目的意識が強かったことが勝因だと思います。優秀な人を集めることができた。あとは、根性論のように聞こえてしまうかもしれませんが、まるで蛇のように、一度お客さんに巻きついたら離れないところでしょうか(笑)
「熱血硬派くにおくん」にしても、当時の業界ではみな版権を取りたいと思っていたけど、オリジナルを作った会社がすでに解散していたので、版権を持つ人に誰もコンタクトを取れずにいた。しかし僕は、掲示板で「くにおくん」のファンサークルを探して、そこにいた人に「どうしても開発者を知りたい」とメールして、そこから元上司、元社長へとたどり着いたんです。もしも当社がなくなったら、東京地検特捜部に就職できるんじゃないかと思ったぐらいですよ(笑)
僕は技術出身ではないですよ。ホテル学校を出てホテルマンになり、それからIBMの子会社でセールスマンをやっていました。そこは、CSKとIBMの合弁会社で、ITソリューション提案をやっていましたが、仕事も大好きだったから続けたいと思っていましたよ。そこで、新たに自分で事業企画を立ててプレゼンして分社化させてほしいと言ったんですが、やはり、メインの事業ドメイン以外を手がけるとなると、なかなか決断してもらうことはできなかったので、2001年に退職して当社を設立したんです。
モバイルクーポンだったんですよ。今にして思えばちょっと早すぎですね。企画が通らなくて良かったですよ(笑)
モバイルコンテンツなどのネット系の仕事は、実にいい加減なところが多いんですよ。「ちょっと開発ならできるから受けますよ」というような乱暴なところが多い。コンテンツの開発のプロセスがいい加減で、「よくこんなので発注するな」と思いました。でも実際は、やはり発注するクライアント側も、そうしたいい加減な開発で苦しんでいるケースが多いんですよ。
でも我々はIBM系の会社にいて、ずっと大規模なシステムを受託してきましたから、まずは納期を遵守してキッチリと開発することなんて、当然のことだと思っていました。そうした姿勢が信用に繋がっていったと思います。
いや、それは気持ちの問題でカバーできるんですよ。しっかりやればコストはかかりません。キッチリとやっても、大規模なシステム開発に比べたらモバイルコンテンツの開発は規模が小さいですから、コストはかからないんです。
簡単に言えばgoogleと似たようなモデルです。「CROOZアドサーチ」に対して広告代理店が広告を取ってきてくれて、ウェブドゥジャパンのポータルに提供する一方、自社ポータルだけでは力が弱いので、個人・会社を含めてさまざまなサイトに検索窓を貼り付けてもらっています。広告主から見れば、広告を出していただければ、そうしたCROOZ!ネットワークのすべてに広告が配信されるという仕組みになっています。
はい。当初は検索結果に連動しない広告を、検索結果ページに出していました。後に、検索キーワードに連動した広告も出るように改良しました。
企業にも個人にも、無料で検索機能を提供しています。個人ユーザーに対しては、サイトにタグを用意して、自由に貼ってもらうようにしているし、企業サイトについては我々が足で営業しています。
それで広告収入はお客さんとレベニューシェアをするというモデルです。ただし個人ユーザーに対しては、不正クリックの危険性がありますし、携帯電話ではIPアドレスを特定できませんのでレベニューシェアにはしていません。
具体的なものは公表していませんが、企業への提供はガールズウォーカーさんなど200社を超えて、今も月に数十件のペースで増加を続けています。
確かに、精度は上げないといけないでしょうね。うちは「CROOZ!ラボ」というところで、ずっと研究開発を続けています。あとは品質もさることながら、まずは使われないと意味がない。モバイル検索自体の認知は、ヤフーやgoogleが積極的にPRしてくれているので伸びているとは思う。あとは、携帯電話のブログなども伸びているので、「ケータイで何か読む」という行為自体もますます一般的になっていくでしょう。
具体的なことは話せませんがもちろんありますよ。現在手がけている主力部分だけでも伸びると思いますが、どんどん競合相手も入ってきて競争も激化しているので、CROOZ!の強みを生かした新商品を開発しないといけないなと思っています。まずは、現在の検索連動広告を改変して、商品力を高めたものにブラッシュアップする予定です。
広告費です。事業に直結する集客手段や広告戦略の部分に使う予定です。人材アウトソーシング事業は、まずは人を集めないと商売にならないですし人さえ集まれば上手く回っていきます。モバイルについては、広告しなくても儲かるビジネスモデルが出来てきているので、主として人材アウトソーシング方面ですね。
とにかく、人が優秀なことが原動力でしょう。やはり、我々ぐらいの規模のベンチャーは、なんだかんだいって人なんです。奇麗事は言っていられない、根性があって気持ちがあって、目標達成力があり、頭がいいやつ。それをどれだけ集められるか。ですから当社では、かなり特殊な選考・育成方法を採用していて、そこにかなりのお金と時間をかけています。
うちの社是は「21世紀でもっとも感動を与えた会社になる」。ここがブレているとダメなんです。当社独自の育成プログラムを受けた人は、たいてい最後には感動して泣きますね(笑)
結局、社長の仕事は何かというと「採用」なんですよ。会社が小さいときも、大きくなっても、社長の目利き能力でコンセプトを明確にして、人材を見極められる方法を作り上げないといけない。1000人だろうが1万人だろうが、採用は社長が直接関わっていかなくてはいけない部分なんです。
社員が50人ぐらいまでは、トップが直接メッセージを発信すれば届いたけど、それを超えるとなかなか伝わらなくなってくるので、会社にある全てのものが一貫したコンセプトでメッセージを発信していなくてはならない。うちの会社案内を見てくださると分かりますが、モチーフが「海賊」なんです(笑)
まだ一貫していないのはオフィス環境だけなので、3月以降はオフィスも全部海賊船にしますよ(笑)。もう少ししたら、再度見に来て下さい。
僕は事業そのものには興味がなくて、別にどの事業でもいいんです。「無敵の事業」を作るよりは、「無敵の会社」を作りたいんです。最近のベンチャーは、どちらかというと事業重視で、ソリューションとかビジネスモデルとか言うことが多いですが、それはあって当たり前だけど、「事業作り」は上手いけど「会社作り」が下手な人が多いなと感じます。
それでもやはり自分は後者になりたい。特にモバイルだけにこだわらなくても、「感動を与えられる会社」になれるなら全然別のものでもいいんです。
資金的な制約がまったくなかったら飲食業をやってみたいです(笑)。要するに、人々のライフスタイルに関わる物、日々人生の中で利用頻度が高いもの、感動があるもをやっていきたんです。僕はもともとホテルマンだったしね。
もちろん現時点では資本の制約もありますから、とにかく今は資金力を付けて、しっかり基盤を作って現在の事業を進めていきたいと思っています。
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