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2006年8月11日 12時06分

アフィリエイトの雄が語る、強さの真の理由

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:坂本和弘

 インターネット広告市場において、急激な成長を見せているアフィリエイトプログラム。このアフィリエイトの仕組みを日本に初めて導入したバリューコマースが7月31日、東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たした。

 アフィリエイトとは、インターネットユーザーが、ウェブサイトやメールマガジンなどに掲載されているリンクを経由して広告主の商品を購入したり、資料請求をしたりすると、そのリンクを掲載した運営者に成功報酬として紹介料が支払われるシステムを指す。

 ブログの利用が一般のインターネットユーザーの間で広まるにつれ、アフィリエイトの認知度もどんどん高まってきている。月に数万円から数百万円を稼ぐ個人アフィリエイターも存在し、アフィリエイト関連書籍も多い。

 8月2日にはインターネット業界大手のヤフーと提携し、「Yahoo!オークションアフィリエイト」という新サービスを開始した。

 このサービスは、ヤフーが提供している「Yahoo!オークション」とアフィリエイトプログラムを連動させるというもの。Yahoo!オークションの出品者が希望した場合、その商品の広告バナーがYahoo!ジオシティーズや一般のウェブサイトなどに掲載される。サイト訪問者がその広告経由でオークションを訪れ、商品を落札した場合、広告掲載者に紹介料が支払われる。

 バリューコマースは現在、アフィリエイトマーケティング事業で培ったノウハウと2005年に子会社化したSozonの技術を元にした検索エンジン最適化(SEO)サービスや、携帯電話とアフィリエイトを結びつけたモバイルアフィリエイトなど、さまざまなサービスを提供している。

 代表取締役社長兼最高経営責任者のBrian Nelson(ブライアン・ネルソン)氏によれば、同社の強みは直販の営業体制と、ロシアを拠点とした開発力にあるという。現在の状況と今後の展望について聞いた。

--バリューコマースはアフィリエイトのビジネスモデルを日本で最初に手がけた企業ですが、アフィリエイト専業企業の上場はファンコミュニケーションズ、アドウェイズに次ぐ3社目です。なぜこのタイミングを選ばれたのですか。

 我々は、上場する順番というものに意味を感じてはいません。上場は、あくまで通過点のひとつと思っています。逆に、上場する順番を重要視する人がいることが不思議なくらいです。ただ、上場は、ビジネスを拡大するための重要な第一歩であるとは考えています。

 実を言うと、去年、上場することも考えていました。しかし、ヤフーとの資本提携の話が同時期に重なってしまった(編集部注:2005年4月11日にヤフーはバリューコマースの株式49.71%(当時)を取得して筆頭株主となった)。ヤフーと提携するか、それとも上場するか。その決断を迫られたとき、当社は、上場をするのを遅らせてでもヤフーと提携するべきだと判断したわけです。

 アフィリエイト事業者の中には、上場時期や提携企業、提携サイトの数で自社の強さをアピールするところもあります。しかし当社は違います。例えば、ヤフーの中には、Yahoo!ジオシティーズやYahoo!ブログなど、約200万ものサイトが存在していますが、当社はすべて含めてヤフー1サイトとして数えています。だからといって、我々が弱いわけでは決してない。我々が考えているのは、提携企業の数や上場の早さなどではなく、あくまで質なんです。

--そのヤフーは2007年3月期第1四半期決算で、広告事業の伸び悩みが原因で業績が当初予想に届きませんでした。広告市場が厳しくなってきているようですが、今後のアフィリエイト業界の市場環境をどう見ていますか。

 私は、市場が厳しいとは思っていません。それどころか、むしろ拡大の時期に入っていると思います。

 現在、日本には約700万の企業が存在するといわれています。その中でも、アフィリエイトマーケティングを利用している企業はまだわずか。ということは、残りの数百万社が、アフィリエイトマーケティングを使う可能性があるのです。しかも、アフィリエイトに使う企業の予算は年々倍に増えています。この点を考えても、アフィリエイト市場はこれからもどんどん伸びていくと思っています。

--パートナーの話に戻りましょう。2005年4月にGMOインターネットと合弁会社「GMOアフィリエイト」を設立したものの、2006年2月にはこれを解消しましたね。

 GMOアフィリエイトはもともと、GMOグループがアフィリエイトをする際の窓口として設立した会社でした。しかし蓋を開けてみると、GMOグループの各企業は、GMOアフィリエイトを通さず、当社と直接取引をしたいということになった。そこで、熊谷さん(GMOインターネット代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏)と話をして、「必要がないのであればやめよう」ということになったんです。しかし、GMOグループとは引き続き良いパートナー関係を築いていますよ。

--今回上場で得た約16億円の資金は、どこに使っていきますか。

 人材の強化と新サービスです。まず、人材については主に営業を強化します。当社は高い品質と利益水準を守るために、営業はほとんどすべて直販で、代理店は使っていません。これは顧客のニーズを早く、的確につかむためです。また、顧客と直接話すことで、より多くの予算をアフィリエイトに向けてもらうことも可能になります。現在は60名体制ですが、これを増やしていきます。

 新サービスについては、アフィリエイターがすぐに商品紹介ができるようなものを提供していきます。

--開発体制はどうなっていますか。

 当社のソフトは、50名の自社スタッフが開発しているんですが、開発はすべてロシアのモスクワで行っています。開発チームはJava言語の経験が10年以上で、博士レベルの技術を持った人間で構成しています。

--なぜロシアなんですか?

 3年前、我々は、インドや中国など、世界12カ国18カ所を見て回りました。その上で、技術的にもコスト的にも、研究開発にはロシアが最適だという結論に達したのです。科学技術の分野では、ロシアの水準は米国や日本に匹敵します。にもかかわらず、人件費は低い。

 最近では、ロシアの技術力に気づいてMicrosoftやDellなどもロシアを開発拠点の1つにしていますが、大手の日本企業でロシアに人材を派遣したのは当社が最初だと思います。

--世界という言葉がでましたが、海外事業について聞かせてください。

 現在、韓国、中国、台湾、オーストラリアの4カ国で現地のインターネット企業と組んでSEM事業を展開しています。今後は、海外での提携をより強化していくつもりです。

--バリューコマースはモバイルアフィリエイトでも草分け的な存在ですね。今後、モバイルアフィリエイトではどのカテゴリが伸びていくと思われますか?

 現在、我々はいろいろな業種を51種類のカテゴリに分けて分析しているんですが、月ごとに売り上げが変わるため、一概にどれが1番伸びていくかとは言えません。ただ、常に人気があるのは、旅行、金融、物販の分野ですね。

--広告主は、パソコンとモバイルの媒体に広告を出す傾向にあるんでしょうか。

 どちらか一方にのみ広告を出す企業もありますが、最近では、モバイルアフィリエイトの効果が高いことを知って、パソコンとモバイルの両方を利用する企業が増えています。具体的には、ブログとモバイルサイトを組み合わせたものが多くなっていますね。

--バリューコマースが最終的に目指す姿は?

 もちろん、当社の企業ビジョンである「インターネットによる販売とマーケティングサービスで、グローバルリーダーとなること」です。これは日本に限った話ではありません。市場が伸びている韓国や中国などをはじめとした全世界に拡大し、本当の意味でのグローバルリーダーを目指していきます。