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 ウェブおよびブログデザインやCMSホームページソリューション、クチコミメディア開発・運営などの事業を展開するアライドアーキテクツ。2005年8月創業の若い企業ながら、持ち前の高い技術力を駆使し、「ゴルフダイジェスト・オンライン」のHP制作や、セプテーニへの「エディタエンタープライズ」(クチコミポータルサイト作成システム)提供など、着実に実績を積み上げてきた注目のベンチャーだ。

 そうした技術の数々が、どんな環境で生み出されているのか---。そう思って訪れた同社のオフィスは、東京・広尾の閑静な住宅街の一角にあった。外国人駐在員向けの広々とした庭付き一戸建て。22人の全社員を収容しても、手狭な印象はない。庭にはテラステーブルが並べられ、隣家はインターナショナル・プリスクールと、サイバーとはおよそ縁のなさそうな環境だ。

庭付き一戸建てオフィスの理由

 創業メンバーの一人で、システムグループを率いる取締役の西田貴一氏は、この場所にオフィスを構えた理由についてこう解説する。

西田氏 システムグループを率いる取締役の西田貴一氏

 「普段リラックスできるだけでなく、集中するために一人で部屋にこもることもできる。寝泊まりも苦になりません。ただ、そういう実務的な理由以上に、『私たちはここからスタートするんだ』というガレージベンチャーの雰囲気を出して、社員の一体感を高めたかったんです。その狙いが功を奏したのか、営業や開発といった垣根を越えて、常に誰とでも話し合える環境になっていますね」

 ミスマッチに見えて、実に理に適ったオフィス。現在6人が所属するシステムグループ内でも、交流は盛んで、情報共有も万全だという。休日を利用し、各人の習得した技術の発表会や、開発合宿なども行われているが、「スキルアップに役立っているだけでなく、楽しいから参加する」と所属メンバーは口を揃える。

 「4人がコンシューマーサービスをメインに扱うB2C部隊、残り2人がB2B部隊で、弊社の全6事業を、各人がメインで1事業ずつ、さらにサブで1事業ずつ分担して受け持っています。だから、B2B、B2Cの偏りなく、おのおのが事業全体に関わり、互いに補完し合っているイメージですね」(西田氏)

 そんな同社システムグループの最も基本的な方針は、「常にユーザー視点で開発を行う」こと。開発者として、実際に使っている人の意見をダイレクトに聞き、反映させることこそが最重要、との認識は、創業以来一貫している。サイトの息づかいを直に感じるため、出社後まずサイトの健康状態、会員登録数などの前日の動きをチェックするのが、システムグループ各員の日課だ。

 もちろん、営業部隊からの要望、相談に対応し、的確なソリューションを打ち出すことも、同様に重視している。そのために、ビジネスを成立させるためには避けて通れないが、部署間のボトルネックともなりかねない専門用語をピックアップし、部署をまたいだ“共通言語”として共有化するなど、単にサービスや製品をプロダクトアウトするだけでなく、システムグループが、社内の“良き相談役”として営業部隊との連携とバランスをはかっているのだ。そうした“スーツとギークの融合”こそが、同社発展の原動力となっているのである。

 「エンジニアは、単にサービスや製品を作り出すだけではなく、トータルプロデューサーであるべきだと思います。加えて、やはりエンジニアのハートが込められたサービスや製品だけが、競争力を持てると思う。エンジニアが、“会社に作らされている”のではなく、“自ら作っている”という感覚を持てることこそ大事なんです。その意味でもシステムグループの各人には、事業部長になったつもりで取り組んでもらいたいと思っています」(西田氏)

「役職名は自分で決めて」

 それを実現するために同社では、興味深い、独自の“ルール”を導入している。それは、役職や肩書きを自分で考え、公称できる制度だ。例えば、「エディタ」と呼ばれるコミュニティサービスの中心的開発者、石井泰輔氏の名刺には、「準匠」との肩書きが添えられている。

 「入社時に、『役職は自分で決めて』といわれたので、“匠を目指す”という意味を込めて『準匠』としました。自分で名乗った以上、何としても“匠”を目指そう、という気になるし、名刺交換の際も、必ずといっていいほど聞かれるから、自分という人間を知ってもらういいキッカケにもなっています。もっとも、日々進歩する技術を完全に極めるのは不可能ですから、“準”の取れる日は永遠にこないでしょうけど(笑)」

開発風景 天気の良い日は庭に出て開発を行うことも(左から高橋啓氏、西川貴一氏、石井泰輔氏)

 この制度は、社内の、特にシステムグループのフラットで自由な雰囲気の象徴的存在だ。同社では、出社・退社時刻は特に決められておらず、タイムスケジュールは個々人に委ねられている。プロセスは問わず、ベストパフォーマンスを発揮することだけが求められるわけだ。逆にいえば、同社の社員たるには、自己管理能力と任務を着実に遂行する固い意志、やる気が不可欠の要素となる。

 「以前は完全な“SI屋”でしたが、自分で考えたモノを自由に作れる同社の雰囲気に惹かれて入社しました。私は、自宅の方が開発がはかどるので、サイト管理や打ち合わせなどを会社で済ませ、午後は早めに帰宅して集中する、というパターンが多いですね」

 そう語る高橋啓氏の現在の肩書きは、「クリエイティブデベロッパー」。自分で考え、自分で事業を作り上げたい、という願いが込められているという。

 社員への信頼をベースに与えられる自由。社員の側からも、それに応えたい、という気持ちを強く感じる。オフィスの件といい、社員のモチベーションを高める同社の方針は、実に巧みだ。

 「創業期と比べ、システムグループ各員が、中長期的な視点で事業展開を見通せるようになり、それと並行して、業務のスピードも格段にアップしました」と西田氏は述べるが、そうした成長には、それなりの理由があったわけだ。

氾濫する情報から、特定の切り口でコンテンツを収集、精査し、コンシューマーに提供する技術の需要は高まる一方だ。西田氏は、同社の現状をこう分析する。

 「対マーケティングの視野を持っている人材はある程度揃っているものの、ラボにこもってとことん開発にのめり込めるエンジニアは不足しています。弊社にとって、両者は不可欠ですから、今後、募集に力を入れたいですね」

 作りたいモノがあるのに、それを実践できない、あるいは伝え切れていない技術者は多い。自由な開発環境で、かつコミュニケーション能力の高いエンジニアの集う同社なら、そうした “職人中の職人”タイプのエンジニアの能力を、これまで以上に引き出すことができるだろう。

集合写真 アライドアーキテクツのオフィス前