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 情報・ナレッジマネジメントソリューションの専業ベンダーであるリアルコムが進める「Software Innovation Laboratry」(SIL)。起業を目指す技術者に、1年以内に会社を設立させるというミッションを与えて、シリコンバレーに派遣するというインキュベーション&研究開発プロジェクトだ。

 同社の狙いについて、同プロジェクトのディレクターを務める同社取締役CTOの竹内克志氏に訊いた。

10年間で計50人をシリコンバレーに派遣

竹内:私はリアルコムに入社する以前、長い間アメリカで仕事をしていたのですが、「日本人のエンジニアがあまり活躍できていない。日本人でもできるところを見せたい」と思っていたんです。リアルコム入社後も、この構想をずっと温めていました。それがやっと実現したわけです。

画像の説明 リアルコム取締役CTOの竹内克志氏

 また、弊社の現在の事業だけでは、研究者をなかなか採用しづらいという問題がありました。内部で研究開発を進めて製品化するのが本来の在り方だと思うんです。しかし、研究開発部門をつくると、どうしてもリスクやコストがかかりすぎてしまう。研究開発は、一度スタートすると、止めようと思ってもなかなか止められません。

 そこでもう少しオープンに、我々だけでなく外部にもテクノロジーや利益を提供できるような仕掛けにしてリスクを減らし、成功したらリアルコムの子会社化、あるいはバイアウトするという方法を考えたんです。これなら、新しいアイデアをより効率的に研究目的で事業化できると思います。

 2006年2月、同社は全額出資の米子会社「REALCOM TECHNOLOGY, INC.」をカリフォルニア州に設立。さらに同年10月には、起業家で米「NetServis Ventures Group」創業者兼パートナーであるリチャード・メルモン氏とアドバイザリー契約を交わした。またすでに3名の同社社員が製品開発のためにシリコンバレーに駐在している。現地でのサポート体勢は比較的整っていると言えるだろう。

竹内: シリコンバレーには、リスクマネーを投じてくれるエンジェルやベンチャーキャピタルが揃っているので、彼らにプレゼンして、納得させられれば起業できます。日本人だとハードルが高くなりますが、我々は2006年2月にカリフォルニアに子会社を設立したので、アメリカで成功を目指す若者を現地でも支援できます。

 リアルコム社員として駐在してもらうので、もしその過程でマーケティングが必要であれば、リアルコムの予算で行えますし、人が必要なら雇えばいい。本人、ベンチャーキャピタル、我々の3者が、win-win-winできるための仕組みになっています。

 計画では、毎年2人、10年間で計50人をシリコンバレーに派遣する予定だという。長期的かつ公的な狙いは、シリコンバレーに日本人技術者を定期的に送り込むことで、日本人投資家のエンジェルを増やすことにある。事業に成功した人が投資家になり、新たな技術者に投資する連鎖を生みだそうとしているのだ。

竹内:日本人の成功者もいますが、絶対数が少ないので、インド人コミュニティのような投資と技術開発の連鎖が起きていないんです。アメリカに渡る日本人は、独立して動く人が多いですが、彼らを巻込めれば、もっと大きな連鎖が起きるんじゃないかと思っています。

 日本には、アイデアを持っている人に、20億円くらいの大金をぽーんと投資する投資家がいないんです。でも、それでは事業は立ち上げられません。しかも、短いリターンを求められて、2年後に上場しろと言われても、できるとは限らない。

 しかし、シリコンバレーならもっと長い眼で見てもらえます。そこが大きな違いです。もちろんうまくいかない場合もありますが、向こうのVCは短期的なゴールを目指せと言いません。彼らは、2〜3割の上がりを得るためにやってるわけではなく、何百倍ものリターンを得て、その会社に投資した目利きとしてのステイタスを得たいんです。

自律判断中心のワークスタイル

 しかし、新たな試みだけに、もちろんリスクも伴っている。もし、その事業化が失敗した場合、派遣された技術者はどうなるのだろうか?

竹内:たとえシリコンバレーでの起業が失敗したとしても、その社員は、リアルコムとして欲しい人材なんです。ですので、引き続き社員として、別のプロジェクトに入って働いてもらうこともあり得えます。

 また、それがセイフティネットにもなります。ですので、学生ならノーリスクですね。お金をもらってシリコンバレーに行き、自分のアイデアを事業化して、たとえ失敗してもいい経験になるわけですから。別の会社にいる場合は、リアルコムに転職したのと同じことなので、その会社を辞めることがリスクです。

 同社は、実現すべき将来像として、「ITを通じて新しいワークスタイルを実現する。プロセス・組織中心ではなく、『人』中心のワークスタイル。決め事中心ではなく、自律判断中心のワークスタイル」というビジョンを掲げている。今回のプロジェクトもそのビジョンのもと行われている。同社はシリコンバレーのどこに先進性を見ているのだろうか?

竹内:すでにシリコンバレーでは、会社組織ではなく、プロジェクトごとにユニット単位で人材が集まることも珍しくありません。非常に流動性があるんです。新しくマーケティングを行うにしても、その期間だけ雇用すればいいし、ダメならそこで終了すればいい。硬直した会社組織のように、半年の仕事に対して1年契約で給料を払わなくていいんです。非常にコントロールされていて、無駄がない。

 また、シリコンバレーにはネットワークがあって、人と出会うチャンスが非常に多い。パーティに出席して、知り合いを掴まえ、自分の企画について説明すると、さらにその知り合いを紹介されたりするわけです。エンジニアも個のつながりを非常に大事にしていて、会社が潰れても問題ないという自信を持って働いています。リアルコムもそういう組織に究極的にはなりたいですね。

 社としても、会社の枠を超えて飛び出す人は大歓迎です。シリコンバレーに行っている石川雄樹が開発したRSSフィードサービスの「Social feed」も、空いた時間で作って、回りに見せていたものがその原型になっていますし、ぜひ、我こそはと思う技術者に、SLIを利用してほしいです。

プロジェクトはまだ立ち上がったばかりだが、SILが日本のSE•プログラマ業界に風穴をあけることになるのかどうか、今後に注目したい。

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