2007年7月18日 12時51分
松島拡
2002年の開設から5年で100万人超の会員を獲得した「ちょびリッチ。」とそのモバイル版「ちょびリッチ mobile」。提携サイトでの買い物やミニゲームなどで得たポイントを、現金や電子マネー、あるいは他社各種ポイントなどに交換できる、いわゆる「ポイント交換サイト」だ。会員登録時などに、リアルタイムでポイント加算される新サービス「即P加算」などがインセンティブとなり、業界で五指に数えられる地位を確立している。同サイトを運営するちょびリッチは、2004年8月に株式会社化された、社員数約20名の新進気鋭の企業だ。
新高円寺駅にほど近い同社オフィスに一歩足を踏み入れると、まずはその開放感に驚かされる。円形のガラスで仕切られたエントランス。その中心には、同社マスコットキャラクター「ちょびくん」の着ぐるみが、来訪者を出迎えるかのように据えられている。全面絨毯敷きのフロア、低密度のデスク配置とも相まって、オフィスというより、一種のテーマパークのような、柔らかな明るい雰囲気だ。
マスコットキャラクター「ちょびくん」が来訪者を迎える。そんな開放的なオフィスで、日々同社のシステムを支え続けているのが、開発部の大野雄一郎氏だ。その業務内容は、社内のネットワーク管理からプログラム・コンテンツ開発、サーバ運用、果ては社員個々のPCのサポートに至るまでと多岐に渡る。システムの「シ」の字の付くありとあらゆることが、彼の仕事なのだ。
2006年10月入社、在籍1年未満にもかかわらず、すでに同社にとって不可欠なエンジニアとなっている。
ちょびリッチのシステム開発全般を担当する大野雄一郎氏「システム全体に指先が届いているというか、自分が社のシステムを作り、支えている、という充足感はありますね。また、弊社のサイトはコンシューマー向けのサービスですから、ユーザーからの要望や意見に対し、自らの手でダイレクトに応えられている、という実感もあります。本当におもしろいし、やりがいがありますよ」
そう語る大野氏は、ちょびリッチ入社以前、ヤフーに在籍していた。入社当時のヤフーの社員数は200人ほどと、現在の10分の1未満。一人のエンジニアが、あらゆる分野に関わらざるを得ない状況下で、大野氏は「オールラウンダーSE」へと鍛え上げられた。
しかし、企業規模が拡大するにつれ、社員一人ひとりに任される範囲は狭まり、事業全体のほんの一部分にしか携われなくなる。社のシステム全般で自分の力を発揮したい、という欲求が、大野氏に転職を決意させた。
「開発者にとって最も嬉しいのは、サービスなり機能なりをリリースした瞬間です。ヤフーが大企業へと成長し、ふと気付くと、そうした瞬間は2年に1回程度しか味わえなくなっていた。ちょびリッチなら、小さな喜びを日々味わえる。それが決め手でした」
ちょびリッチは、2006年から2007年にかけて、ブログサービス「ちょびリッチ。得するブログ」や、中古品買取サービス「ちょびリッチリサイクル」など、休むことなく新たなサービスをリリースし続けている。中でも、2007年4月にピーヴィーとの提携によって開始した動画投稿サービス「ちょびリッチVISION」は、視聴数に応じてポイントが加算されるシステムを、国内で初めて導入し、注目を集めている。
ここでも、開発部の果たした役割は非常に大きいが、その分、大野氏の双肩にかかる負担と責任も巨大だ。不安を感じることはないのだろうか?
「確かに、自分のダウンが全社的なストップに直結する、という恐怖感、プレッシャーはありますよ。でも、開発部の人数の少ない分、意志決定を素早く、かつ柔軟にできる。いい意味で“文化祭チック”なノリがあるんです。開発部の雰囲気がいいからなのか、単に自分が楽天的な性格だからなのかはわかりませんが、毎日の業務が楽しいですよ」
同サイトのキャッチフレーズは「サイフもココロもハッピーに!」。「楽しい」という要素が、開発部にとってもひとつのキーワードになっている。例えば、「ちょびリッチ。」について。単にポイントを貯めることだけを目的としたサイトでは、急激な会員数増加は望めない。それを踏まえ、大野氏はいう。
「ゲームなどのコンテンツ自体を楽しんだ結果、自然にポイントも貯まる、というエンターテインメント性が、これまで以上に重要となるでしょう。そして、ユーザーの楽しめるコンテンツを作るためには、エンジニア同士が妥協せず、率直に意見をぶつけ合って、楽しみながら開発に取り組む必要があると思うんです」
「コミュニケーションが非常に潤滑に行われています」とデザイナーの前野わこ氏同じく開発部に所属し、キャラクターからオフィスの内装まで、同社のあらゆるデザインを手がけたデザイナー、前野わこ氏も、開発部の雰囲気についてこう述べる。
「コミュニケーションが非常に潤滑に行われているのが特徴ですね。大野はいつも明るくておもしろいし、意見の交換もしやすい。自分の意見を持っていて、それを提案できる人、ゼロから何かを作り上げたい人には最適な環境になっていると思います」
とはいえ、現在の同社開発部は、わずか数人の小集団。個々がいかに優秀でも、今後よりモバイルに力を注ぎたいとする同社の業務量に対し、マンパワーが絶対的に不足しているのも事実だ。セキュリティーやユーザー・インターフェースなど、システム面の強化に関するヴィジョンはすでに描けているものの、それを実行に移すだけの時間の捻出が、事業の拡大とともに難しくなってきている。
「ユーザーが楽しめるためには、エンジニア同士も楽しみながら取り組む必要があると思うんです」大野氏の本来の専門分野は、ウェブとデータベース。特に、ネットワーク分野の専門家の獲得が急務だ。欲をいえば、分野を問わず幅広い知識を持つ人材が欲しいところだろうが、「元気で責任感のある人なら大歓迎」という大野氏。開発部が現在のフランクな雰囲気を維持しつつ、大野氏に匹敵する人材が集ったとき、同社はさらなる飛躍を遂げることになるだろう。
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