2007年6月18日 12時39分
小林 ミノル
有力ネットベンチャーには、独創的な発想で考え出したビジネスプランを具現化する優秀な技術者たちが存在する。新しい商品やサービスは、彼らの存在なくして日の目を浴びることはない。有力企業の成功ストーリーを支えてきた技術者の実像が今、語られる。
2007年5月、ついにmixiのユーザー数が1000万人を突破したミクシィ。単純計算すると日本人の約12人に1人がmixiユーザーということになる。
ここまで巨大化したmixiは、いったいどのように運営されているのだろうか──。同社CTOでmixi生みの親である衛藤バタラ氏に、mixi開発部の内実を聞いた。
ミクシィCTOの衛藤バタラ氏
インドネシア•メダン出身のバタラ氏は、1979年生まれの28歳。日本の大学に留学中の1999年からインターンとして、イー・マーキュリー(現ミクシィ)の転職情報サイト「Find Job !」の開発運営にコミット。そして、大学卒業後も日本に留まり、同社に入社する。
そして、2004年にmixi開発を笠原社長に進言し、日本最大のSNSサイトに成長させる重要な役割を担い続けてきた。
「mixiの運営は、常に負荷分散との戦いで、ひとつひとつ課題を乗り越えながら運営している状況です。ユーザーが1万人の時代は、比較的気楽に新しいアプリケーションも追加できたんですが、1000万人規模のユーザーとなると、導入にも慎重にならざるをえません。システムを改善するにしても、サービスをストップさせるわけにはいかないので、いつもオン・ザ・フライでやっています。しかし、どれだけユーザーが増えても、迅速にアプリケーションを追加できるフレームワークの構築を目指しています」
同社の開発部は、Find Job !グループ、mixiグループ、システム運用グループ、研究開発グループ、ウェブデザイングループの5つに分かれている。開発部の社員は、現在30名で、平均年齢はおよそ26歳。システム開発には、「LAMP(Linux、Apache、MySQL Perl/Python/PHP)」を利用しているため、オープンソースの専門家が多いという。
「さまざまなバックグラウンドを持った人間が集まっているので、お互い刺激を受けながら仕事をしています。開発部は5つのグループに分かれていますが、完全な縦割り組織ではなく、クロスオーバする部分もあり、フレキシブルで、情報共有もスムーズです。オープンソースコミュニティの研究会やセミナーにも積極的に参加して、これまでに培ったデータを分析して発表しています」
mixiの人気の秘密は、ユーザーインターフェースの使いやすさとシステムの安定性にある。これは開発部だけでなく、営業部や企画部を含めた全社的なポリシーに因るそうだ。
「自分自身も入社以来、プログラミングに専念させてもらってきたので、なるべく他のプログラマーにも、そういう環境を提供したいんです。ただ、プログラマーは、集中するとどうしても視野が狭くなりがちなので、そうなったときは、回りの部署やグループから、アドバイスやサポートを受けて、ビジネスとして成立しやすい方向に修正できるよう心がけています」
「ODF」と呼ばれる技術者向けのユニークな制度も存在する。
「新しいアイデアや企画があれば誰でも提案できるのが、我が社の特徴です。まず、『レベルAミーティング』という会議で検討され、承認された場合は、スケジュールやスタッフを調整したのち、プロジェクトがスタートします。また、1週間のうち、1日だけ自分の好きな仕事ができる『ODF(One Day Free)』という制度もあります。現在は金曜日が対象日なのですが、その日は、各自が新しい言語の勉強をしたり、自分の興味があるカンファレンスに足を運んだりしています」
今後、新しいサービスや新しいシステムなどを展開していく予定はあるのだろうか。
「mixiのインデックス数は、グーグルなどの検索エンジンの数百分の1しかありませんが、日記やコミュニティサイトなど膨大なメタデータがあります。そういったデータを、今後より活用していきたいと思います。そのためには、膨大なデータを扱いなれているプログラマーに、我が社に来てもらって、技術的なチャレンジをして欲しい。トラフィックは常に分散しなくてはいけないほどあるので、トラフィックの研究もできます(笑)」
ゆくゆくは「日本人1人に1アカウントを持ってもらいたい」と語るバタラ氏。
すでにネットを超えたコミュニティカルチャーとして日本に定着した感のあるmixiは、今後もより広範にユーザーを広げ、より日常的なものになっていくだろう。
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