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急成長ベンチャーの技術者たち

ネット広告の新サービスを生み出す

 2006年度のインターネット広告の市場規模は約3600億円(電通調べ)。数年前と比べ徐々に落ち着いてきているとはいえ、年間成長率は依然として25%前後の高い水準を維持しており、2007年度には4500億円規模に達する見通しだ。

 そんな伸長著しい業界にあって、市場の成長率を凌駕するペースで発展を続けているのが、2004年2月にジャスダック上場を果たしたオプトだ。インターネット広告専業代理店としては、ネット広告取扱高業界トップクラス。2006年にYahoo!JAPAN 優秀代理店賞を23期連続受賞した実績を誇る「eマーケティングカンパニー」である。

 また同社は、広告代理に限らず、効果測定システム「アドプラン」に代表されるテクノロジー事業のほか、ソリューションおよびコンテンツ事業など、ネット上のビジネス全般をサポートする幅広いサービスを手がけており、新規事業開拓にも積極的だ。同社事業戦略本部に所属するエンジニア、佐藤康智氏も、コンテンツ配信に関する新規プラットフォーム事業に携わっているひとりだ。

佐藤氏.jpg事業戦略本部の佐藤康智氏

 「2007年6月に立ち上がったばかりですが、金額的に大きなプロジェクトであるだけでなく、プロジェクトマネージャーという立場で中心的に関わっているので、これまでの人生で最も印象的な仕事になる。そういう期待感を持っています」

 佐藤氏は現在30歳。ISPでネットワークエンジニアとしての経験を積んだ後、2006年9月にオプトへ転職した。入社後、プロダクト開発部へ配属され、「アドプラン」の運用・保守を担当。新規プロジェクト開始にあわせ、事業戦略本部への転属希望を出したという。転職先にオプトを選んだ理由について、佐藤氏はこう述べる。

 「30歳を目前にして、ネットワークエンジニアとしてこのままやっていくのか、あるいは上流工程を目指すのか、という岐路に立ち、後者を選んだんです。プログラム開発やネットワーク・サーバ運用を担当するのは、20代ならともかく、それ以降は体力的にも厳しい。3日徹夜などもザラですからね。それに、私のようにエンジニア経験をある程度積んでいて、上流工程を目指す人間にとって、サービス全体に自分の意見を反映させることができるオプトは魅力的でした」

 「本音をいうと」と佐藤氏は続けた。給料面で比べると、より良い条件の会社は他にもあるし、エンジニアとして技術を磨き続けてきた人にとって、広告代理店のイメージの強いオプトは転職先としての視野に入りにくい。しかし、「だからこそチャンスは大きいと思ったんです。大企業と比べ、与えられる権限は圧倒的に大きいし、技術側の人間としてやれることの幅は段違いです。チャレンジしたいことのある人、攻め続けたい人の欲求に応えるだけの土俵が、オプトには確実にある。お金はあとからついてくるんじゃないでしょうか」

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 ウェブおよびブログデザインやCMSホームページソリューション、クチコミメディア開発・運営などの事業を展開するアライドアーキテクツ。2005年8月創業の若い企業ながら、持ち前の高い技術力を駆使し、「ゴルフダイジェスト・オンライン」のHP制作や、セプテーニへの「エディタエンタープライズ」(クチコミポータルサイト作成システム)提供など、着実に実績を積み上げてきた注目のベンチャーだ。

 そうした技術の数々が、どんな環境で生み出されているのか---。そう思って訪れた同社のオフィスは、東京・広尾の閑静な住宅街の一角にあった。外国人駐在員向けの広々とした庭付き一戸建て。22人の全社員を収容しても、手狭な印象はない。庭にはテラステーブルが並べられ、隣家はインターナショナル・プリスクールと、サイバーとはおよそ縁のなさそうな環境だ。

庭付き一戸建てオフィスの理由

 創業メンバーの一人で、システムグループを率いる取締役の西田貴一氏は、この場所にオフィスを構えた理由についてこう解説する。

西田氏 システムグループを率いる取締役の西田貴一氏

 「普段リラックスできるだけでなく、集中するために一人で部屋にこもることもできる。寝泊まりも苦になりません。ただ、そういう実務的な理由以上に、『私たちはここからスタートするんだ』というガレージベンチャーの雰囲気を出して、社員の一体感を高めたかったんです。その狙いが功を奏したのか、営業や開発といった垣根を越えて、常に誰とでも話し合える環境になっていますね」

 ミスマッチに見えて、実に理に適ったオフィス。現在6人が所属するシステムグループ内でも、交流は盛んで、情報共有も万全だという。休日を利用し、各人の習得した技術の発表会や、開発合宿なども行われているが、「スキルアップに役立っているだけでなく、楽しいから参加する」と所属メンバーは口を揃える。

 「4人がコンシューマーサービスをメインに扱うB2C部隊、残り2人がB2B部隊で、弊社の全6事業を、各人がメインで1事業ずつ、さらにサブで1事業ずつ分担して受け持っています。だから、B2B、B2Cの偏りなく、おのおのが事業全体に関わり、互いに補完し合っているイメージですね」(西田氏)

 そんな同社システムグループの最も基本的な方針は、「常にユーザー視点で開発を行う」こと。開発者として、実際に使っている人の意見をダイレクトに聞き、反映させることこそが最重要、との認識は、創業以来一貫している。サイトの息づかいを直に感じるため、出社後まずサイトの健康状態、会員登録数などの前日の動きをチェックするのが、システムグループ各員の日課だ。

 もちろん、営業部隊からの要望、相談に対応し、的確なソリューションを打ち出すことも、同様に重視している。そのために、ビジネスを成立させるためには避けて通れないが、部署間のボトルネックともなりかねない専門用語をピックアップし、部署をまたいだ“共通言語”として共有化するなど、単にサービスや製品をプロダクトアウトするだけでなく、システムグループが、社内の“良き相談役”として営業部隊との連携とバランスをはかっているのだ。そうした“スーツとギークの融合”こそが、同社発展の原動力となっているのである。

 「エンジニアは、単にサービスや製品を作り出すだけではなく、トータルプロデューサーであるべきだと思います。加えて、やはりエンジニアのハートが込められたサービスや製品だけが、競争力を持てると思う。エンジニアが、“会社に作らされている”のではなく、“自ら作っている”という感覚を持てることこそ大事なんです。その意味でもシステムグループの各人には、事業部長になったつもりで取り組んでもらいたいと思っています」(西田氏)

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 情報・ナレッジマネジメントソリューションの専業ベンダーであるリアルコムが進める「Software Innovation Laboratry」(SIL)。起業を目指す技術者に、1年以内に会社を設立させるというミッションを与えて、シリコンバレーに派遣するというインキュベーション&研究開発プロジェクトだ。

 同社の狙いについて、同プロジェクトのディレクターを務める同社取締役CTOの竹内克志氏に訊いた。

10年間で計50人をシリコンバレーに派遣

竹内:私はリアルコムに入社する以前、長い間アメリカで仕事をしていたのですが、「日本人のエンジニアがあまり活躍できていない。日本人でもできるところを見せたい」と思っていたんです。リアルコム入社後も、この構想をずっと温めていました。それがやっと実現したわけです。

画像の説明 リアルコム取締役CTOの竹内克志氏

 また、弊社の現在の事業だけでは、研究者をなかなか採用しづらいという問題がありました。内部で研究開発を進めて製品化するのが本来の在り方だと思うんです。しかし、研究開発部門をつくると、どうしてもリスクやコストがかかりすぎてしまう。研究開発は、一度スタートすると、止めようと思ってもなかなか止められません。

 そこでもう少しオープンに、我々だけでなく外部にもテクノロジーや利益を提供できるような仕掛けにしてリスクを減らし、成功したらリアルコムの子会社化、あるいはバイアウトするという方法を考えたんです。これなら、新しいアイデアをより効率的に研究目的で事業化できると思います。

 2006年2月、同社は全額出資の米子会社「REALCOM TECHNOLOGY, INC.」をカリフォルニア州に設立。さらに同年10月には、起業家で米「NetServis Ventures Group」創業者兼パートナーであるリチャード・メルモン氏とアドバイザリー契約を交わした。またすでに3名の同社社員が製品開発のためにシリコンバレーに駐在している。現地でのサポート体勢は比較的整っていると言えるだろう。

竹内: シリコンバレーには、リスクマネーを投じてくれるエンジェルやベンチャーキャピタルが揃っているので、彼らにプレゼンして、納得させられれば起業できます。日本人だとハードルが高くなりますが、我々は2006年2月にカリフォルニアに子会社を設立したので、アメリカで成功を目指す若者を現地でも支援できます。

 リアルコム社員として駐在してもらうので、もしその過程でマーケティングが必要であれば、リアルコムの予算で行えますし、人が必要なら雇えばいい。本人、ベンチャーキャピタル、我々の3者が、win-win-winできるための仕組みになっています。

 計画では、毎年2人、10年間で計50人をシリコンバレーに派遣する予定だという。長期的かつ公的な狙いは、シリコンバレーに日本人技術者を定期的に送り込むことで、日本人投資家のエンジェルを増やすことにある。事業に成功した人が投資家になり、新たな技術者に投資する連鎖を生みだそうとしているのだ。

竹内:日本人の成功者もいますが、絶対数が少ないので、インド人コミュニティのような投資と技術開発の連鎖が起きていないんです。アメリカに渡る日本人は、独立して動く人が多いですが、彼らを巻込めれば、もっと大きな連鎖が起きるんじゃないかと思っています。

 日本には、アイデアを持っている人に、20億円くらいの大金をぽーんと投資する投資家がいないんです。でも、それでは事業は立ち上げられません。しかも、短いリターンを求められて、2年後に上場しろと言われても、できるとは限らない。

 しかし、シリコンバレーならもっと長い眼で見てもらえます。そこが大きな違いです。もちろんうまくいかない場合もありますが、向こうのVCは短期的なゴールを目指せと言いません。彼らは、2〜3割の上がりを得るためにやってるわけではなく、何百倍ものリターンを得て、その会社に投資した目利きとしてのステイタスを得たいんです。

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 2002年の開設から5年で100万人超の会員を獲得した「ちょびリッチ。」とそのモバイル版「ちょびリッチ mobile」。提携サイトでの買い物やミニゲームなどで得たポイントを、現金や電子マネー、あるいは他社各種ポイントなどに交換できる、いわゆる「ポイント交換サイト」だ。会員登録時などに、リアルタイムでポイント加算される新サービス「即P加算」などがインセンティブとなり、業界で五指に数えられる地位を確立している。同サイトを運営するちょびリッチは、2004年8月に株式会社化された、社員数約20名の新進気鋭の企業だ。

「日々リリース」が開発者にとっての喜び

 新高円寺駅にほど近い同社オフィスに一歩足を踏み入れると、まずはその開放感に驚かされる。円形のガラスで仕切られたエントランス。その中心には、同社マスコットキャラクター「ちょびくん」の着ぐるみが、来訪者を出迎えるかのように据えられている。全面絨毯敷きのフロア、低密度のデスク配置とも相まって、オフィスというより、一種のテーマパークのような、柔らかな明るい雰囲気だ。

2.jpgマスコットキャラクター「ちょびくん」が来訪者を迎える。

 そんな開放的なオフィスで、日々同社のシステムを支え続けているのが、開発部の大野雄一郎氏だ。その業務内容は、社内のネットワーク管理からプログラム・コンテンツ開発、サーバ運用、果ては社員個々のPCのサポートに至るまでと多岐に渡る。システムの「シ」の字の付くありとあらゆることが、彼の仕事なのだ。

 2006年10月入社、在籍1年未満にもかかわらず、すでに同社にとって不可欠なエンジニアとなっている。

1.jpgちょびリッチのシステム開発全般を担当する大野雄一郎氏

 「システム全体に指先が届いているというか、自分が社のシステムを作り、支えている、という充足感はありますね。また、弊社のサイトはコンシューマー向けのサービスですから、ユーザーからの要望や意見に対し、自らの手でダイレクトに応えられている、という実感もあります。本当におもしろいし、やりがいがありますよ」

 そう語る大野氏は、ちょびリッチ入社以前、ヤフーに在籍していた。入社当時のヤフーの社員数は200人ほどと、現在の10分の1未満。一人のエンジニアが、あらゆる分野に関わらざるを得ない状況下で、大野氏は「オールラウンダーSE」へと鍛え上げられた。

 しかし、企業規模が拡大するにつれ、社員一人ひとりに任される範囲は狭まり、事業全体のほんの一部分にしか携われなくなる。社のシステム全般で自分の力を発揮したい、という欲求が、大野氏に転職を決意させた。

 「開発者にとって最も嬉しいのは、サービスなり機能なりをリリースした瞬間です。ヤフーが大企業へと成長し、ふと気付くと、そうした瞬間は2年に1回程度しか味わえなくなっていた。ちょびリッチなら、小さな喜びを日々味わえる。それが決め手でした」

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 有力企業の成功ストーリーを支えてきた技術者たちの実像を探る本企画。第2回目は優秀なプログラマーであると同時に、世界展開を視野に入れたブラウザを武器に経営するLunascape代表取締役CEOの近藤秀和氏が語る。

「地球にはたった60億人しかいない」

 2001年の公開以来、700万ダウンロードを達成している国産タブブラウザソフト「Lunascape」。学生時代に同ブラウザを独自に開発した近藤氏によって率いられているLunascapeは、名前からも分かるように、Lunascapeの開発•改良を事業の中心に据えたベンチャーだ。

 近藤氏は大学卒業後、1年ほどソニーに勤めるが、「みんなが楽しく仕事をしながら、世の中を変えていく組織をつくりたくて」、2004年に同社を立ち上げた。

画像の説明 lunascape代表取締役CEOの近藤秀和氏

 「ブラウザは、インターネットの世界を最も変えられるツールです。マーケットもとにかく広い。世界のブラウザの10%をシェアしているということは、インターネットのトラフィックの10%をコントロールできるということです。ウェブサイトに100万人の閲覧者がいるということと、ブラウザが100万人のユーザーを持っているということは、全然次元の違う話なんです。

 GoogleGearなど、ここのところ再びブラウザが進化し始めています。ブラウザが変わると、これまでのウェブの常識が通用しなくなる。大手ポータルサイトの仕組みなども全部無効化されてしまうんです。我々はそこをつくりだしていける側にいます」

 Lunascapeの一番の優位性は、やはりタブを開くときの速度や軽さに現れる。「3〜4年ずっと研究しているので、そこでは負けない自信がある」のだ。そもそも、近藤氏がブラウザの可能性に気付いたのは、学生時代の2001年だったという。Internet Explorer(IE)がNetscapeとの争いに圧勝して、圧倒的なシェアを獲得していた頃だ。

 「Lunascapeを発表した2001年当時は、みんなブラウザの開発はあきらめて、ブラウザの内側でどうやるかを考えていた時期でした。そういう状況だったので、2002年にはすでに、全ブラウザのなかで、2〜3番目のシェアになったんです。

 しかも、タブブラウザというコンセプトが回り回って、FirefoxやIEも最終的にはタブを採用するようになった。タブそのものは私の発想ではないのですが、自分のアイデアの一部が世界中に伝わって、何十億人というネットユーザーの利用手順に影響を与えたんです。

 それまでは自分が考えていたことが世界を変えられるなんて思っていなかったんですが、このことで、世界がすごく小さく見えるようになったんですね。”地球上にはたった60億人しか人間がいないんだ!”と思えるようになったんです」

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