三菱UFJキャピタル 投資第6部 次長 渡辺洋行
既にウィジェット(ガジェット)については各所で議論がされてきおり、今後、WindowsVistaの登場にあわせ更に盛り上がるものと思う。ウィジェットをマイクロソフトとグーグルの対立軸で捉えるのもなかなか興味深いのだが、個人的にはウィジェットはWebの世界が次のステージに移行する中で生まれようとしている一つの現象だと思っている。そんな観点で雑感を。
Webブラウザとウィジェットを簡単に比較するとこんな感じでしょうか。
・Webブラウザは汎用のクライアントとして、相手のサーバーの Webサイトに接続し、その Webサイトが操作を代行してWeb全般のサービスを引っ張り出すもの。そのため、天気予報を調べるにも、辞書を利用するにもブラウザを起動し、ティッカーやブックマークバー等に表示面積を占められながら、特定の箇所にマウスをあてて操作をする必要がある。
・それに対し、ウィジェットはスマートクライアントであり、サービスに特化したクライアントをデスクトップに配置し、Webサービスを用いて相手から情報を引き出すことが可能。つまり「中間にXHTMLで表示するサイトは不要」、「人間はサービスだけを享受すればよい」というSOA(サービス志向アーキテクチャ)をベースにしている。
そういう意味では、ウェブブラウザがあくまでコンテンツの閲覧を目的としたブラウザであるのに対し、ウィジェットは人間がサービスを使用する仕組みというふうに捉えることができると思う。
ユーザーはこのウィジェットがどこと繋がっているのか?何をしているのか?外部から情報を取ってきているのか?それとも内部から情報を取ってきているのか?ということを気にかける必要がない。
つまり、正しく抽象化されている状態、というのがかなり実現されているように思う。
もちろんウィジェットは独自にアルゴリズムを積んでもいいし、ウィジェット上で本格的なプログラムを動かすのも十分アリ。例えば、Mac OS Xにはウィジェットで動作するブラウザというのもある。
そういった意味ではウィジェットとアプリケーションの境界線は、今後、時代とともに薄れていくのだろうなぁ、などと思う。
現在のところ、OS 組み込みで先端を切ったMac OS Xのダッシュボードのほか、Googleサイドバー、Yahoo!ウィジェットがあり、来年には本命(と思われる)のVistaのガジェットが登場する。
これらのメカニズムを使用すれば、Web上にあるサービスを使用するためにWebブラウザを起動してページを見に行く必要はなくなる。
こうした抽象化が進めば、例えば、OS右下に表示されている時計がPCの時計なのか、Web から引き出した世界標準時刻なのか?ということを気にする必要性はなくなる(あんまり気にする人はいないか)。
とはいえ、これはWebの世界が次のステージへ移行しつつあることの現れだと思う。
ページに広告を出し、そのWebページにユーザーを囲い込むことで広告費を取る、というのが現在の代表的なビジネスモデル。一方で、Linux、Mac OS、VistaといったツワモノのネットワークOSが登場してきており、かなり近い将来に、デスクトップ上の機能とWeb上のロジックをシームレスに接続するのが一般的なものになると思う。
例えば、Xbox 360、PLAYSTATION 3、Wiiなどもネットワーク接続機能を持っているが、これらのマシン上でブラウザを稼働して天気予報を見るなど、まぁ、ありえないと思う。これらも専用のスマートクライアントを搭載し、通信サービスと接続して表示を行う形でネット上のサービスを使用するのではないか?、ユーザーは「Webページ」を使用するのではなく「Webサービス」を使うようになるのではないか?などと思う。
そうなると、サービスを享受するためにブラウザを立ち上げるという習慣そのものが無くなってしまうかもしれない(もちろん「ページビューア」としてブラウザは残ると思うが)。
ネットビジネス=広告モデル的な発想からどうやって抜け出るかかなり議論されてきたものの、これといったアイデアが生まれていない状況だったりしますが、こうしたWebの世界の環境変化により、ネットビジネスのあり方も予想より早く変わるかもしれませんね。
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