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2008年1月 29日 09時28分

伸び悩むウェブサービスの三大疾患

上原仁 マイネット・ジャパン 代表取締役 上原仁

先日友人達と深夜に話しているとき、そのうちの一人が「伸び悩んでいるウェブサービスに共通する3つの病気がある」と話し始めた。またおもろいことを言い出しよったな、と笑いながら聞いていたのだが、後で反芻してみると「これはより多くの人に知ってもらった方が日本のネットのためになるだろう」と感じたので晒す。特定のサービスについて語られたものではないので悪しからず。

1.ハイエンド病
自サービスのコアユーザー向けの機能追加ばかりを優先して、どんどんとエントリーユーザーを疎外していってしまう病気。コアユーザー向けの機能追加は数値的にも効果が出やすいため、ユーザーベネフィットと数値のバランスを追求しようとする勤勉な開発者ほど発病することが多い。

2.広告肥大症
売上げノルマ達成責任のために、ユーザー視点を忘れてひたすら広告枠の拡大に走る病気。コアユーザーは実質上広告枠を視野から外す能力を身に付けているので、ここでもユーザビリティ低下という被害を受けるのはエントリーユーザー。主に真面目な熱血営業担当者に発症。低俗高単価広告症と併発する症例も多い。

3.ホームラン病
サービスの伸びが滞ってきたことに焦る気持ちから、ホームラン狙いの新機能・新サービスばかり出してことごとく外してしまう病気。手を広げず着実にコアベネフィットの拡充に努めていたら・・と気づいたときには手遅れなことが多い。新奇性の高さからメディア露出は獲得できてしまうため症状の発見が遅れがち。

解説は脚色入れましたが、著作者は別の人です。こんなこと書いているけど、自分自身も全疾患の予備軍(もうかかってる?)かもと感じている。

ウェブサービスの本質は何かと考えるときに、そのスタート地点はいつも「ユーザー視点」。しかもユーザーとはそのサービスの潜在ユーザーかまだ利用度の低いエントリーユーザー。ネットワーク効果がビルトインされていることが成功法則であるユーザー参加型サービスの場合、エントリーユーザーが増えれば増えるほど結果的にコアユーザーにも便益は帰ってくる。

そんな基本を忘れて、短期的な数字(だけ)を追いかけることはそのサービスの、ひいては参加型ウェブサービス全体のライフサイクルを縮めることになる。上のような病気にかかることは誰でも時々あることだし、経営者や事業責任者は全く別の視点で数字にこだわらなくちゃいけないけど、根っこの根っこは決して忘れないでおこう。

※このエントリはVENTURE VIEWブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および VENTURE VIEW編集部の見解・意向を示すものではありません。

上原仁

上原仁

マイネット・ジャパン 代表取締役

1974年滋賀県生まれ。神戸大学経営学部卒業後、1998年NTT入社。光サービスの企画等の後、2001年にNTTのインターネット映像配信事業の立ち上げに参画。2004年NTTレゾナントに転じ、ポータルサイトgooのサービス統括。gooではマーケティング、新事業戦略を担当。Web 2.0関連の執筆・講演多数。2006年7月マイネット・ジャパンを創業し、日本初のソーシャルニュースサイト『newsing(ニューシング)』や無料携帯サイト作成ツール(CMS)の『katy(ケイティ)』を運営。著書に『アルファブロガー』(翔泳社)、『口コミ2.0−正直マーケティングのすすめ』(明日香出版社)。