レッドクルーズ 代表取締役CEO 保延裕子
ピンチがチャンスとはこのことだ。崖っぷちにあった福田首相が昨晩突然、最も大胆なカードを切った。道路特定財源を全額一般財源化すると国民に向けて緊急表明したのだ。日銀総裁人事での敗北と止まらぬ支持率低下でそろそろ衆議院解散・総選挙での負け試合が避けられない、とそんな声さえささやかれはじめていた矢先のことだ。福田首相は構造改革路線復帰に向けて腹をくくったのだろう。なんだか私が30年近く前ロンドンに住んでいた頃によくテレビで見たサッチャー首相(当時)を彷彿とさせる。一部メディアが報じているような単なる民主党への歩み寄りというしょぼいレベルのものではないだろう、そう思いたい。日本の政治もやっと変わるかなと思わせた一瞬だ。
福田首相は今回つわものぶりをみせつけた。与党内、野党との調整・根回しをすっとばし真っ先に国民に約束するという異例の手続きをとった。すごい。道路特定財源ほどのタブーものは調整など試みたりしたら絶対に日の目を見ないからだ。またそのタイミングも絶妙だ。ちょうど道路財源の無駄遣いが問題になっており世論を強力な味方につけやすい。
道路特定財源の全額一般財源化は、この先もいばらの道が待ち受けているだろう。与党内の調整もすんでいないため実現の可能性も疑問視されている。しかし、ここまで大胆なスタートを切ったのは十分な評価に値する。それに実現の道筋を描くことだって不可能ではないはずだ。抵抗勢力などが負の材料をいろいろ持ち出してくる前にどんどん先手を打ってマスコミや世論を味方につけるのもひとつの手だ。それに、与党内も抵抗勢力ばかりではないらしいし、政治家は主流派から外れるのが最も恐いはずだから世論を押さえてしまえばどっちつかず組も取り込みやすくなる。与党内の抵抗勢力や野党(対民主党については暫定税率を廃止する・しないの件)もマスコミと世論を味方にして封じ込めるのが一番だ。海外のマスコミもきっと一役買える。世界第二位経済大国日本の構造改革の足踏み状態は世界経済の足引っ張り要因になっていたのだからこの動きを歓迎するだろう。外国人投資家が戻り株価だって底入れするだろう。
昨晩のテレビでは麻生渡福岡県知事や東国原英夫宮崎県知事のコメントがオンエアされた。意外と落ち着いた様子だったのでコメンテーターが「福田政権から次の政権に替わればどうなるかわからないと思っているのではないか」(どんな言葉を使ったかよく覚えてないのだが)みたいなことを言っていたが、私にはそう思えなかった。両知事は、この問題は多少の時間稼ぎはできてもいつかは真正面から向き合わねばならない、時代の流れには逆らえない、そう思ったに違いない。
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