レッドクルーズ 代表取締役CEO 保延裕子
民主予備選、長期化へ−今日の日経一面の見出しだ。クリントン候補はもうだめかなとも見えていたが、大票田州のオハイオ、テキサスと連勝した。代議員数ではまだオバマ氏が上だが、これがきっかけでクリントン氏に勢いがつけば、この先どうなるかはわからない。崖っぷちに置かれようがお互いに一歩も譲らない、この長い選挙戦を戦い続ける両者の粘り強さには敬服する。似たような状況、心境に日々おかれているベンチャー経営者の私としては、この戦い方に目が釘付けだ。
人間はいかなる戦いでも劣勢に置かれると精神的に追い詰められる。最近「品格」という言葉がはやっているが、人の品格は追い詰められたときに最も顕著に出てくる、と私は思う。クリントン、オバマ両候補も、今後も何度と無く追い詰められるだろう。そのときどのような戦術に打って出るのだろうか。品格ある勝利にこぎつくのであろうか。
オバマ氏の場合特に踏み込んだ政策提言なしに(実際は私が知らないだけであったのかもしれないが)「Yes, We Can」に国民が酔いしれていることに多少の危うさを感じないわけでもないが、それはとりあえずよいとして、特に選挙戦の場合、一般に品格の無い勝ち方として想定できるのは、うわべの人気取りに走ることだ。悔しいが民主主義は神聖不可侵だと思うが完全無欠ではない。そのセキュリティーホールにつけこんで、例えば、基本的には相反する「小さな税+大きな政府」的なウケ狙い政策のリップサービスなどは、手っ取り早く票をかきあつめる常套手段だ。「指導者たるもの、時に世の大多数の人々と争う覚悟を持たなければならない・・指導者の仕事は、人々になるほどそうかと納得させることにある」とアラン・グリーンスパン氏も綴っており、まさにその通り!!!だと私も思うのだが、悲しいかな、そういう指導者が選挙で勝つとは限らない、いや負けることのほうが多いのが現実だ。かつて米大統領選で、政府の介入を嫌うゴールドウォーター氏が主張すべきを主張したが、のちのち社会福祉費とベトナム戦争の軍事費で財政を悪化させたジョンソン氏に負けたことを、グリーンスパン氏は「私の履歴書」でその一例として挙げていたが、今の日本の政局も私が思うにそんな感じで困ったものだ。しかし、この手の品格の無い戦い方は、集票力はあるだろうが、見る人が見ればわかる。
さてクリントンVSオバマに話を戻すと、彼らにはそんな戦い方、勝ち方をしてほしくない。これまでのところは対象州の世論を読んだ上で相手の論点のブレを探したり弱点をつついたりしながら(あくまで私がメディアで読んでる限りだが)、ここまで立派に戦ってきたのだから、品格ある勝利を目指してほしい。もっとも、この大統領選を戦い抜き栄冠を掴んだ後は、経済問題、イラク戦争、医療問題、環境・エネルギー問題、その他、プーチン院政(?)ロシアや中国の軍備拡張等も目が離せないわけで、もっともっとタフな戦いが待ち受けている。安易に品格の無い勝ち方をした大統領ではとても、その後を戦っていけないだろう。
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