三菱UFJキャピタル 投資第6部 次長 渡辺洋行
前回に引き続き(しつこく)ウィジェット(スマートクライアント)を切り口に。
iCart というフリーウェアがある。これはかなり高性能なプログラムを積んでおりウィジェットではないが、スマートクライアントの一種と言えると思う。但し、名前からも分かるとおりMac OS専用です(Windows版、誰か開発して下さい)。
このアプリケーションを使うと専用ブラウザ上でかなり快適にAmazonの買い物ができる。検索した商品をアプリケーション内のカートに登録し購入することが可能。非常に高速で、明らかにAmazonのWeb ページにアクセスするより便利なので(広告も表示されない)、Macユーザーにはかなり評判が良いらしい。
ドラッグで商品をカートやブックマークに次々と移動可能だし、Amazonでは「カートを保管」することで複数のカートを使用できるがWebだと反応が遅くて使いづらい。このソフトだとボタンをクリックするだけでカートを追加し、ドラッグ&ドロップで簡単にカート間の商品を移動できる。
これはAmazon にとっては非常に良いアプリケーションだろう。豊富な商品を持つAmazonの魅力を再発見することもできる。また、同様のものを携帯に組み込んで、購入は携帯の決済機能に処理させては?などなど、更にビジネスを展開できそうだ。
そんな訳で、Amazon としては歓迎すべきスマートクライアントやウィジェットだが、他方、これがユーザーにウェブサイトに訪問してもらい、広告をみてもらうことで利益をあげているサイトにとってはどうだろう?
ユーザーがページを訪れない以上、広告を表示する機会がないし、強制的に広告を表示するウィジェットを書いても、フリーのプログラマ達がWebサービスのみにアクセスするウィジェットを書けばそこまで。
しかし、Web 2.0をどちらかといえば(少なくとも日本よりも)文化的なものとして捉えている欧米では、この方向でWebの世界が進化していると思う。企業がやらなくてもオープンソースの開発者がどんどん進めてしまうので。
そうなると、Googleのスマートクライアントやウィジェットへの取組みの目的は?、という疑問が当然出てくる。Googleは(広告フィーを得ることのできる)ブラウザを通じたサービスによってOSを骨抜きにしよう、などという戦略を今更練っているのではなく、将来的にサービスが抽象化され、人がブラウザをクライアントとして使わなくなった時に、ユーザーを顧客として囲い込む(=アカウントを取らせる)ことを念頭に入れているのではないか、という気がしている。つまり、(スマートクライアントやウィジェットである)Googleサイドバーなどはその壮大な戦略における駒の一つだろう。
日本はWeb 2.0をビジネス的な発展と捉える傾向が強すぎるのかなぁ、と最近感じている。そうすると、結局、トラフィック至上主義から抜け出せず、新たなビジネスモデルが生まれづらい。それに対して、Web 2.0を文化的に考える傾向がある欧米とでは「次のビジネスモデル」が生まれる土壌がそもそも異なるのだろうなぁ、などと思う。
トラフィックにこだわり過ぎるのはそろそろ考えものかもしれませんね。
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