レッドクルーズ 代表取締役CEO 保延裕子
株安で個人投資家の心理もすっかり冷え込んでしまったようだ。しかし、この乱高下局面でチャンスを狙う個人投資家もそろそろ出てきそうだ。発想を変えれば、極端な下落時は優良銘柄のバーゲンセールとも見てとれるからだ。ひとつの目玉を、クリーンエネルギーセクターと見る。
地球温暖化対策として、太陽光、風力、水力、バイオマスなど、石油に替わるCO2フリーのクリーンエネルギーが注目されているが、今後10年間で収益規模が約5倍に拡大するという試算もある。日経によると、ブッシュ米大統領は途上国への代替エネルギー技術導入支援のための数十億ドル規模の「クリーン・エネルギー技術基金」なるものを設立する構想も打ち出しており、あさってからのハワイでの「エネルギー安全保障と気候変動に関する主要国会合」にて、日本など先進諸国に協力を働きかけるらしい。温暖化対策分野はEUや日本も主導権を狙っているため、米国主導の構想がどこまでサポートされるかは別問題として、クリーンエネルギーの普及に向けてさらに弾みがつく可能性は高い。長い目で見れば確実に普及していく分野=メガトレンドである可能性が高く、株価暴落時を投資の好機ととらえることができる分野でありそうだ。
実際、この分野では2006年後半〜2007年の間投資信託がいくつか設定されている。私もこの分野のファンドに投資しているが、一年以上も前の設定時から投資していて昨年末時点ではプラスだったのに、一月は顔面蒼白レベルの急落で元本割れすれすれだ。それでも私はこれを優良ファンドとして長期保有するつもりだ。今投資する人であれば、基本的にはタイミング的には一番おトクとされるファンド設定時から投資している人とほぼ同じぐらいの価格で購入できることになるので、とてもおトクな時間限定激安バーゲンだ。そのうえ地球温暖化防止に貢献できるのだから一石二鳥だ。
ただし、投資家の心得として、メガトレンドを見誤らないよう要注意だ。ITバブルがはじけた頃、IT分野を固く信じるがあまり、かたくなに売らなかった投資家が大損したという。クリーンエネルギーも同様の運命をたどるのか考えてみた。IT自体は成長性の実体がないものでは全く無かったが、メディア市場全体の規模は必ずしも急拡大していない中で、経営基盤の脆弱な企業が既存メディアの牙城を急速に切り崩しながら収益を上げていくのは、投資家が見込んだ以上に難しかった、という側面があったと思う。一方クリーンエネルギーは、石油など既存エネルギーと競合しても、世界的な温暖化防止の流れがCO2削減を推しているし、既存エネルギー自体も長期的に枯渇の危機にさらされている。その上、中国やインドだけでも合わせて人口20億人を超える巨大な新興国群が本格的な経済発展の時期を迎えており、エネルギーの総需要自体が急拡大しているのだ。昨年、バイオエタノールブームが投機を招きとうもろこしなどの食料や飼料の価格が高騰したといった負の側面がクローズアップされたが、クリーンエネルギー全体としての普及を阻む性質のものではないだろう。これは、バブルがはじけた当時のIT以上に堅牢なトレンドであると、私は思う。
株安パニックはまだ続くだろう。でも短期でリターンを狙わないといけない機関投資家と異なり、個人投資家は長期保有できるのが強みだ。だから、損して泣くだけでなく、こういう時こそメガトレンドに乗った分野をしっかりと物色するのがよさそうだ。まだしばらくはさらなる急落も数回はありそうだから、何回かに分けて購入するなどリスクを分散するのもいいだろうと思う。
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