三菱UFJキャピタル 投資第6部 次長 渡辺洋行
先日、マイクロソフトから携帯音楽プレイヤーZuneが発売された。
ZuneはWi-Fi通信で楽曲を友達と機器同士で直接交換することができることが特徴だが、動画対応やソフトウェアの追加ダウンロード対応、フレンドリスト機能など、iPodの後発ゆえか何をウリにしているのかやや分かりにくい印象を個人的には持っていた。
しかし、CNETが行ったビル・ゲイツ氏へのインタビューを読んでみると、Zuneは「(携帯音楽プレイヤーというよりも)携帯音楽プレイヤーとしての性格を強調したマイクロソフトのネットワークデバイスの一つ」であることが分かる。
http://japan.cnet.com/interview/biz/story/0,2000055955,20326808,00.htm
現在、マイクロソフトは一つのアカウントで様々なデバイスから共通のサービスを受けることが出来るLive Anywhere構想を推進している。これは様々なデバイスによるアカウント認証であり、ネットワーク接続技術でもある。
これによって、例えば、ゲーム機であるXBOX360のゲームソフト利用者と、OSであるXPやVista上で動作するゲームソフト利用者が対戦することが可能になる。対戦時に相手がどういう環境でアクセスしているかは関係がない。自宅ではXBOX360で遊び、友人宅では友人のVista上ゲームソフトで(自分のIDを用いて)遊ぶということもできる。
つまり、IDに利用者情報が記録されているので、デバイス上でアカウントを認証させれば、デバイスを変更しても、ゲームの続きを行うことができるのである。また、Live Anywhere構想に対応したデバイスであれば、携帯電話を用いてゲームの成績を調べたり、町で出会った友人のIDを携帯電話を使って自分のフレンドリストに追加しておき、帰宅してからゲームに誘って一緒に遊ぶことなどもできる。当然、その友人がXBOX360を使っているか、Vistaを使っているかは関係ない。
長々とゲームの話を書いてしまったが、ZuneはこのLive Anywhere構想に対応したデバイスの一つだということだ。
Live Anywhere構想はすでに日本の携帯電話に搭載されているJava環境やBREW環境にも対応する計画が打ち出されている。これはどういうことかというと、携帯電話でLive IDの認証をし、ゲームの対戦やコミュニケーションを楽しむ。そこで作った友達のリストをZuneに持ち出すこともできる。そしてLive IDを使ってSNSの一種であるLive Spaceでコミュニケーションを楽しみ、Live Messengerでチャットが出来る。こういうライススタイルの提案が可能になってくるということだ。
実際、北米でのZuneプロモーションにおいては、大ヒットしているXBOX360(日本ではあまり売れていませんが)との連携が重視されたようだ。日本ではZune単体の発売のような印象を受けるが、北米ではXBOX360ユーザーを第一のターゲットとみなした効果的な販売戦略(つまりデバイスだけではなく、ライフスタイルとしての提案)が採用されている。
他メーカーもこうした戦略は当然採っており、例えば、ソニーはPS3とPSPの連携、任天堂も据え置き型(Wiiやゲームキューブ)と携帯機(NintendoDSやGameboy)の連携を強く打ち出している。しかし、OSやネットサービス、携帯電話、PDA、ゲーム機までが直接連携してしまうというのは、マイクロソフトにしか打ち出せない戦略だろう。
ユーザーによってはZuneと携帯電話しか使わないかもしれない。しかしそこでもLive IDは使えるし、パソコンを買ったらそのままVistaでLive IDを使い、Liveサービスで広告をクリックするかもしれない。つまり、マイクロソフトはユーザのデバイスとその共通IDを押さえることで、どこからでもお金の取れるビジネスを構築したい、ということだ。
かなり露骨な囲い込み戦略といってしまえばそこまででしょうが、ここまで壮大だと、マイクロソフトが今後どのように事業展開していくのかかなり興味深いですね。まさにマイクロソフトの面目躍如といったところですが、Googleは今後どのように対抗するでしょうか?予想外のM&Aを仕掛けたりするとかなり面白いのですが。
※このエントリはVENTURE VIEWブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および VENTURE VIEW編集部の見解・意向を示すものではありません。
コメント ( 0 )